ep.04 リン酸を多く含む加工食品は美味しいんだが……老化にいい、身体には悪い
広報を兼ねての投稿ですね。
いよいよ十章で終わります。今は八~十章を書きかけて纏め上げていますが、中々に難しい。ここが短編たる所以なのかな~。内容を一気に詰め込むという気難しさに苦労しています。
これだけ詰め込みました、充分に楽しめる読み物だと思います~♡
こんな事ならばいきなりの長編なんて手を付ける前にね、短編集で練習をすれば良かったと考えている。
2024年4月13日 東京千代田区
*)自主休校日
自主休校日となる土曜日で、葉桜をベランダから眺めるのも乙なものよ。(医学部に自主休校日なんて作れません)
私のマンション? は千代田区の九段に在る。前は細い道路で傍は雑草が生える遊歩道も平行して通っていて、散歩やお花見にと利用されている。山奥育ちに雑草なんて別に怖くはない、そう思っていたのは大きな間違いだった。
そんなこんなの今日よ、スーパーに行こうとマンションを出たらいきなり都会の獣に遭遇した。田舎の方が珍しいと思える?……タヌキくんだった。遊歩道を散歩でもしていたのか、このタヌキは藪から棒みたいに飛び出して私を怯ませてくれた。
「あらあら……私に道案内でもしてくれるのでしょうかね?」
フワフワな尻尾を立てて走る姿に感動かな?
スマホが着信を伝えてきた。
お姉ちゃんから?……スマホを出して見れば08009190636から着信があった。姉以外では友人と、あまり掛けてきて欲しくない学生課の佐藤舞さんの個人番号でもないからと無視する。他は田中さんの家電だけが登録されたスマホに重みはない?
田舎ならばお隣のような距離に中学校高等学校の一貫校があり、昨日は帰宅中にすれ違う女子高生に幼さをつい感じてしまって、いや~私はもう「オバン」になったとつい認めてしまった瞬間だ。
今宵もふて腐れてビールを飲もう……おー!
今日は土曜日だし可愛い女の子は歩いてもいなかったが、その代わりが古狸とか滑稽すぎだ。スーパーに行けば買いだめもしたいからと両手にいっぱい提げて帰宅している。主に……お菓子という類いだ、悪いか!
でも今日は田舎染みた小さなお店へと行く。ここは大きくて綺麗なスーパーよりも遙かに品揃えは少ない、少なすぎるからついついと余計なものは購入が出来ない。主に副食の品物に限定されようか。
歩道にも商品棚(箱)を出して商品を並べたらいいのに、そう思える都会は歩道の占拠が御法度だとか。その点、田舎はルーズでいいみたい。
奥行きのないお店だから殆どが歩道上で済んでしまう。お肉は店内の奥になるから、そこは……、
「いらっしゃい、」
「こんばんは~。」
と、必然的に挨拶が飛び交う。イヤ~ン見切り品に手を伸ばす私を見つめて欲しくないのよ~、という心の悲痛な趣が態度に出てしまう。でもやはり国産牛なんて贅沢過ぎるわ。
若鶏のセセリかな、これを切り込んで野菜炒めにしたら美味しそう。セセリは割と少ない商品みたいで常に売りに出される事が無いと知った。……これは買いよね。あとは豚肉の細切れ、これで十分に栄養は摂れるものよ。
朝食用の食パンも一斤を買う。ベーコンも欲しいけれどもリン酸を多く含む加工食品は老化にいいらしい、だから買わないんだ。若い身体を故意に老けさせる食品は敵よ!
……リン酸を多く含む加工食品は美味しいんだが……老化にいい、身体には悪い、そういうこと。
「お願いします。」
「いつもありがとうございます。」
ピッピ・ピッピと音を立てて商品が右から左へと移動していく。ここはセルフレジでもなければ袋詰めもセルフではない、だから好き!
「おやおや多過ぎじゃないかい?」
「アハハ……女将さんの言葉とは思えませんね。」
「明日はお休みだからって……これはアレだね。」
「いいんです、最近になって目覚めてしまいました。」
「……これで二キロ超だよ、頑張って持ってお帰り。」
「はい、頑張ります!」
発泡酒の三百五十ミリリットル缶の六本をまとめ買いだった。勝手に脳がカロリー消費をしてくれる、ありがた~いお勉強をすれば全て問題なし。
勉強すればって……もう今日は勉強疲れでお終いね。早く寝て早起きして散歩してトースト食べてまた勉強か。鉄は熱いうちに打てって言うから、新一年生のこの時期が大切なんだからね。
スーパーからの帰り道に襲われそうになった。私を襲うって訳が分からない、夜道だとは言えないまでも暗くなってしまった黄昏時だ。
神田川だと思っていたらよ、牛込濠だと言うから驚いた。お洒落なカ*ルカフェを睨むのは僻みからだな。
お店を出て大きな道路を横断して細い道を牛込濠の方へと進む。突き当たれば右に折れて進むのが帰り道なんだ。でもね、遊歩道へ登る階段に小さな女の子が泣いているの。
母親とはぐれた迷子かな?
「エ~ンエ~ン……、」
「どうしたの? ママとはぐれたのかな。」
歳にして五歳くらいか、長い黒髪に幾つもの赤い髪留めが目立つ綺麗な女の子だ。顔は俯いて泣いているから確認は出来ない。重いビールを置きながら私もしゃがみ込んだ。
「エ~ンエ~ン……、」
「どうしたの? お買い物でママとはぐれたのかな。」
……にた~っ……
「うん、お姉ちゃんを待っていたのよ、早く家に連れて行って!」
「へ?……うわ~お化け~……いやー……、」
「お姉ちゃん、遊ぼうよ~お姉ちゃ~ん……、」
……うわ~お化け~……いやー……と心の中では叫んでいても声は出ない。人間ってね、本当に驚いて終えば鳥肌が立って瞳孔が開き大きく口も開ける動物なんだ。書き直しよ。
「うん、お姉ちゃんを待っていたのよ、早く家に連れて行って!」
「え?……うわ~ぅ……ぅ~~~………………、」
……走って逃げる、辺りには誰もいない……走って逃げる、
「お姉ちゃん、遊ぼうよ~お姉ちゃ~ん……、」
「いやー来ないで~ぅ……、」
「お姉ちゃ~ん…………、」
……走って逃げる、辺りには誰もいない……走って逃げる、辺りには誰もいない。短い距離を走ったというのにとても長く走っていたように思う。目標のマンションの建物は部屋の灯りで視認できても、とても遠くに感じて必死に走った。
その時、私が逃げる方向方から黒い動物が走ってきているのが見えるも、直ぐにすれ違う。後を振り返るなんてできっこない。悪戯好きな女の子にからかわれていたと考えたのは、マンションのエレベーターに乗ってからだった。
マンションの玄関ドアを開ける時間がもどかしい、重たいビールを置いて再度鍵を差して解錠を試みる。開けば缶ビールをひったくるようにしてブリ回し、ガツンとガラスドアにぶつけてしまった。
イヤよ怖いよと思いながら後を振り返る事が出来たのは、それこそエレベーターが降りてきてドアが開いた時だけだった。
エレベーターのドアが開けば飛び乗り、直ぐさま「閉」のボタンを連打していた。
全身の皮膚が逆立ち悪寒も……もの凄く感じて怖かった。十二階の通路へ出ても下を覗く勇気なんてとてもではない、度胸もなかった。玄関ドアを開ける余裕はあったらしいが、ドアを開けて入る勢いがもの凄いのなんの。本当に余裕なんてなかったみたい。
……ガチャン……カチャ・カチャ……勢いよくドアを閉めて急いで錠を回してドアチェーンを掛ける。高鳴る心音にようやく気がつけば、血圧は二百を超えたかもしれない。
「もう~なんなのよ~妖怪なんている訳ないよね~、あの子の悪戯だよ……ふうぅ……。」
……ドクンドクン……
……ピンポーン……
……ヒィ~……
……ピンポーン……
「もういや~……誰よ……?」
「こんばんは……こんばんは~。」
この前の……マンションの前で声を掛けてきた初老の男性が立っていた。でも返事をしたらあの時の私が今の私と同一人物だとバレてしまう。
ボタンは押さずにモニターを見ていたら、
「驚かれたでしょうか、先ほどの悪戯妖怪は追い返してきました。もう大丈夫ですから安心して下さい。ではおやすみなさい……いい夢を。」
「へ……?」
……どういうことよ。
今度は見えていた? 見る事が出来たというのかしら?
奇々怪々、意味深な言葉を残して初老の男性はエントランスより出て行く。ベランダ側の窓を開けて道路を覗きたい衝動にも駆られても、今すぐの行動をどうしたらいいのか分からない……へたり込む。
人がへたり込むなんて意味も解らない言葉だったが、今にして理由が判った気がした。こんなにも恐ろしい経験をすれば人は動けない、へたり込むのだと理解した。
「う~なんなのよ~……もういや!」
……パンパン……頬を両手で叩いて活を入れる。……痛いっ~の、喉が渇いた気がする。
……ブルブル……寒い。お風呂に入ると決めてリビングや寝室、それとトイレと勉強部屋にも明かりを灯す。リビングと台所に荷物をおいてお風呂に湯を張り、
「ファー……。」
テレビを点けてソファに座れば深いため息だけが口を衝く。
「あ、……。」x5
靴を履いたままだった。オカルトなんて信じない、ど田舎でも暗闇の藪だって気にもしてこなかった。熊以外は……怖くはなかった筈なのに、都会はこんなにも怖いと処なのかと思い知る。
……ピンポンパンポン……お湯張りが終わりました……
うんうん今時代のお風呂は優秀だぞ! 缶ビールを冷蔵庫へと仕舞って服を脱ぎ出す。
「書いてやらないぞ!」
洗髪するのに目を瞑る事が出来ない、必死になって目を開けていたが心が折れた。途中でシャンプーをやめて湯船に浸かる。身体も洗わないと決めた。身体はブルブルと震えていて一向に温まるふうでもない。
最後は湯船に浸かってほんの二十秒で顔を洗った。とにかく目を瞑る事が出来ない、怖かったのだ。
お風呂から上がれば着信のメールよ、光が見える。メールは姉貴だけだからなにも考えずに開いて見る。
「お姉ちゃん。もう~怖い思いをしたんだからね。」
……癒衣、ご苦労さま……ってなによ~意味ふめ~い。直ぐにまたメールが届く。
……うふふ……
クソ姉貴~「こちらは妖怪に襲われた、こわい。」とメールを送るのだが返信はない。
暖房のスイッチオン! 冷蔵庫を開けてプッシュと開ける音の響きが好きになった。
「先に晩ご飯の用意だったか、ならば奥の手よ。」
……サバ缶、非常食の缶詰に手を出した。ご飯は……パックのライスを温めてインスタントのお吸い物で済ませる。最後はプリン! これで決まりよ。
常日頃のテレビなんて煩いばかりだが、こんな時は気分も安らぐものだった。誰それがMCを務める番組なんて教養も感じられない、やはりチャンネルを回して変える。
冷蔵庫を開けてプッシュと開ける音の響きが二個目を告げる。今宵は腹の虫が治まらないのかゲップが出ない。
今夜はリビングで寛いでいたが呼び鈴が鳴る事がなかった。あんな事は二十時を過ぎれば鳴らされないのだと気がつくまでは常に恐れていた。
翌日からは本当に女の子の妖怪は出てこない。
副題を「リン酸を多く含む加工食品は美味しいんだが……老化にいい、身体には悪い」に決めたのは読者の方に構えさせない為なんだ。
遭遇と書いていた小見出しも訂正したぞ。妖怪と遭遇なんて書いたらどうよ、今回は妖怪癒衣が出るのか~って思われたらヤだもん。
第一章 プロローグと幼い女の子……完
直ぐに終わるものですから次回はできあがり次第で……よろしくお願いします。




