第4話: 「無駄削減の女神、貴族に挑む!」
「さて、次はあの悪徳貴族たちか…」
香織は深いため息をつきながら、広間に向かっていた。前回の無能王子アルバートとのやり取りは予想以上に疲れたけど、これからが本番。そう、この国の腐敗の根源、貴族たちにメスを入れる時が来たのだ。
「でも、あの王子を丸め込めたんだから、次もいけるでしょ?」
香織はそう自分に言い聞かせつつ、覚悟を決める。だが、正直、この国の貴族たちとどう渡り合うかは未知数。何しろ彼らは何百年もかけて築いてきた特権階級だし…。
「でも、だからこそ私のコンサルスキルが活きるんだよね!」
広間に入ると、そこには貴族たちがずらりと並んでいた。金ピカの服に、無駄に豪華なアクセサリーの数々。見た瞬間、香織は思った。
「うわっ…金かける場所、完全に間違ってない?」
彼らの姿を見ただけで、この国がどうしてこんなに非効率なのか、一発で分かった。
「ようこそ、勇者様!」
壇上にはバルド伯爵が立っていた。彼こそ、この国の悪徳貴族の筆頭であり、労働者たちを搾取し続けている張本人だ。
「えーと、勇者じゃなくてコンサルタントですけど」
香織が即座に訂正したが、バルド伯爵はにっこり笑っている。その笑顔、完全に何か企んでる顔だ。
「まあまあ、勇者でもコンサルタントでもよろしい。我々の国の運営に関して、貴殿のお力をお借りしたくてね」
「(あっ、これは絶対建前だけだ…)」
香織は内心でツッコむ。明らかにこの伯爵、全然協力する気なんてないだろう。むしろ、香織を利用してさらに搾取を加速させるつもりだ。
「それで、どのような案をお持ちなのかね?」
バルド伯爵はにっこりと問いかける。香織は一瞬ためらったが、すぐに笑顔を浮かべて返した。
「はい!まずは、貴族の皆さんが無駄に浪費しているお金を見直すことから始めます!」
「…え?」
一瞬、場の空気が凍りついた。
「無駄に浪費?我々が?そんなこと、あるはずがないだろう!」
バルド伯爵は笑い飛ばそうとするが、香織はすかさず食い下がる。
「いやいや、ありますよ!見てください、その金ピカの服!そして、その無駄に大きな椅子!なんでそんなにデカい必要があるんですか?あんなの座るだけで腰痛めそうじゃないですか!」
「な、なんだと!?この椅子は王家の伝統だぞ!」
「いやいや、伝統って言っても、ただの無駄遣いですよ。労働者の血と汗で得たお金をこんな風に浪費してたら、そりゃあ国が傾くに決まってるじゃないですか!」
香織は軽くツッコミを入れつつ、畳みかける。
「もっとシンプルにしましょうよ。余計なものを削れば、その分お金は労働者のために使えるし、効率も上がる!」
「…ぐぬぬ…」
バルド伯爵は顔を真っ赤にして怒りを抑えようとしているが、他の貴族たちも徐々にざわつき始めていた。
「確かに、最近の浪費は目に余るものがあるな…」
「無駄を削れば、我々の収入がさらに増えるのではないか?」
「いや、むしろ王家の支持を失ってしまうのでは…」
香織はその場の雰囲気が変わっていくのを感じ、勝負の時が来たと確信した。
「皆さん、よく考えてください。このままではこの国、いずれ破綻しますよ?」
「な、破綻だと!?」
バルド伯爵が驚愕の表情を浮かべる。香織は冷静に続けた。
「はい、労働者が疲弊しきっていて、生産性がどんどん落ちています。そんな中で、貴族だけが贅沢を続けていれば、いずれ国全体が崩壊するんです」
「…」
会場は静まり返った。香織の言葉が重くのしかかる。
「だからこそ、今改革を始めるべきなんです。無駄を削り、労働者を大切にすることで、国全体の生産性が上がり、結果的に貴族の皆さんもより豊かになるんです!」
「ふむ…」
貴族たちは香織の提案に耳を傾け始めた。バルド伯爵も、その場の空気を読み取っていたが、まだ引き下がる気はなさそうだ。
「…しかし、そんなに簡単に国が変わるものか?」
「もちろん、一朝一夕にはいきません。でも、やらなければこの国に未来はないですよ!」
香織は真剣な表情で訴えかける。
「…いいだろう。貴殿の提案、少しばかり聞いてみるとするか」
バルド伯爵は渋々ながらも頷いた。
こうして、香織はついに貴族たちとの改革会議を取り付けることに成功した。
「よっしゃー!これで一歩前進!」
香織は内心でガッツポーズを決めながら、次のステップに向けて動き出す。
「さぁ、これからが本当の改革の始まりだ…!」
次回!香織、労働者たちの声を聞き、さらなる大改革へ!?