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転生ヒロインに国を荒らされました。それでも悪役令嬢(わたし)は生きてます。  作者: 古芭白あきら
番外編『小さき聖女シエラ』

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11. それは『勇者』の旅立ち


 そう……

 私はユーヤさんに謝らなければならないの……



 出発の日の早朝、私はユーヤさんの家へと来ていた。

 今、ユーヤさんは準備した旅の荷物を(まと)めている最中。



 私はどうにも話を切り出せず、扉にもたれながら黙ってユーヤさんの作業を眺めていた。


 ずっとこのままって訳にはいかないのは分かっているんだけど……



「どうした?」



 纏めた荷物を軽々と抱えると、私と向き合ったユーヤさんの問いかけ――



「俺に話があるんじゃないのか?」



 ――それは私のために話すきっかけを作るためのユーヤさんの優しさ。


 だから、私は意を決して口を開いた。



「ユーヤさん……どうしても行くの?」

「ああ、『魔王』をこのままにしていては、いつかリアフローデンも『魔族』によって蹂躙(じゅうりん)されてしまうからな」

「それはシスターのため?」


 ユーヤさんは躊躇(ためら)わず頷いた。


「昨夜、彼女に俺の気持ちを伝えた」

「そっか……それじゃユーヤさんはもう日本に帰るつもりはないんだ」


 ユーヤさんは目を見開き驚いた。


「シエラ、お前はまさか!?」

「うん、転生者だよ。だからユーヤさんが召喚された『勇者』だってのには初めから気づいてたの――」



 私はユーヤさんに全てを告白した――


 私は転生者であると。

 この世界が『聖なる花に祝福を』に類似していると。

 私がそのゲームの2作目『ヒロイン』であると。

 シスター・ミレが前作の悪役令嬢であると。

 カッツェが『攻略対象』の1人であると。


 そして『魔王』は本来2作目『ヒロイン』が『攻略対象』と共に倒す存在なのだと言う事も全て……



「エリーが言ってたのとだいたい同じだな」



 黙って私の話を聞き終えたユーヤさんが、ポツリと独り言の様に漏らした。



 エリー……

 それって確か……



「処刑された元王太子妃?」

「そうだ……あいつも転生者だった」



 やっぱりそうだったんだ。



「ごめんなさい……もしかしたら私がちゃんと『ヒロイン』をしてなかったから、ユーヤさんが『勇者』として召喚されたのかも」



 しゅんと項垂(うなだ)れた私に向かって、ユーヤさんの大きな手が迫ってきたので、私はびくりと体を震わせた。


 叩かれるのかなと思って身構えたんだけど、その手は私の頭にポンと軽く乗せられただけだった。



「俺が召喚されたのは10年以上前だぞ。シエラはまだ小さかったんだ。お前のせいじゃない」



 慰めてくれてるんだ。

 やっぱりユーヤさんは優しい。


 だけど……



「『魔王』討伐は本来なら『ヒロイン』の私の仕事で……」

「バカ」



 突然、乗せられていた手がくしゃっと私の頭を撫でた。



「シエラが『ヒロイン』で、『攻略対象』のカッツェと『魔王』を倒すのが本来の辿る道だったとしても、俺はミレの子供達にそんな責任を押し付けるつもりはないぞ」

「ユーヤさん……」

「任せておけ。俺が全て終わらせてやる」



 そう言って泣きそうになる私にユーヤさんは優しく笑いかけてくれた。



「シエラはカッツェとのことだけ気にしておけばいい」

「ユ、ユーヤさん!」

「あいつを好きなんだろ?」

「それは……分からないんです」



 ずっと抱えていた悩み……

 私のカッツェへの想いが本物なのかどうか、その全てをユーヤさんに打ち明けた。



「そんなことを悩んでいたのか」

「だって私の好きって気持ちが偽物だったら……カッツェの私への想いも『攻略対象』として作られたものだったら……」

「シエラが『ヒロイン』だとか、カッツェが『攻略対象』だとかそんなのはさして問題じゃない」



 ユーヤさんは扉を開けて外に出るといったん立ち止まった。



「お前もカッツェもこの世界で確かに生きている。重要なのはお前がそれを信じるかどうかだけだ」



 それだけ言い残してユーヤさんは旅立った……


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― 新着の感想 ―
[一言] ユーヤ(´;ω;`)ウゥゥ ありがとう(´;ω;`)ウゥゥ
[良い点] ユーヤさん、カッコいいーーーーっ!(* ゜Д゜) シエラさんはちゃんとシエラさんの人生を生きて、好きな人への想い……自分の気持ちを疑う必要なんかないんだよーっ!!(* ゜Д゜) ミレさんの…
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