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転生ヒロインに国を荒らされました。それでも悪役令嬢(わたし)は生きてます。  作者: 古芭白あきら
番外編『小さき聖女シエラ』

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2. それは異世界転生


 私が前世の記憶を取り戻したのが何時(いつ)なのかは判然としない。

 多分かなり幼い頃だったんじゃないかと思う。



 それと言うのも、前世としての私の意識はあったんだけど、『シエラ』は私の思い通りには動いてくれなかったからなのよね。


 好き勝手に動き、喋り、感情を振り撒く『シエラ』に私は何も出来ず任せるしかなかったのよ。


 この頃の私はただの傍観者でしかなく、気が付いたら『シエラ』に振り回されていたって感じ。


 だけど、この『シエラ』が私の身体であるという認識はあったし、実際に彼女が受ける痛みも苦しみも、喜びも幸せも自分の事として感じられたから、私と『シエラ』は同一なんだって分かったわ。


 最初は異世界転生したって喜んだものだったけど、『シエラ』が私の意図とは反して動き回ると分かると軽く絶望したもんよ。


 なんせ『シエラ』はまだ幼女で、前世の私は高校生。その思考のずれは激しいし、子供のめちゃくちゃな行動を自分の体で実行されるのだから(たま)ったもんじゃなかったわ。


 自分の思考も感覚もあるのに、身体が私の意に反して勝手に動き、子供の喜怒哀楽の感情が自然と湧いてくるのって最悪でしょ?



 そんな状態にあって唯一の救いは、私を拾い育ててくれたシスター・ミレがとっても優しく良い人だった事かな。



 シスター・ミレ――


 私……『シエラ』にいっぱいの愛情を注いでくれた女性(ひと)



「ひっく、ひっく……しすたぁ~」

「まあ、どうしたのシエラ?」

「だっこ……」

「くすっ、寂しかったのね」



 幼い頃はとって泣き虫で、寂しさにグズるシエラをよく胸に抱きかかえてあやしてくれた……



「しすたぁは何をしてるの?」

「神様にありがとうって、お祈りしているのよ」

「こうやるの?」

「そうそう……良くできたわね。シエラは偉いわ」



 何かあれば彼女はシエラを褒めて頭を優しく撫でてくれた……



 いけない事をしたら叱り、危険があれば身を挺して守り、いつも穏やかな笑みを向け、たくさんの温もりを与えてくれた。


 それが嬉しかった、温かかった、幸せだった。


 だから『シエラ』はいっぱいいっぱいシスター・ミレに甘え、そして誰よりも(した)った。



 私は自分の意思で体が動かず、シエラが勝手に動き回り、私の声はシエラに届かず、シエラがシスター・ミレに甘えるのをジッと見ているしかできなかったけれど、私も彼女のあったかい優しさはいつも感じていたわ。


 だから、『シエラ』だけではなく、私にとってもシスターは誰よりも誰よりも大切な女性(ひと)になっていたの。



 私と幼い『シエラ』は同一人物でありながら、その思考も言動もまるで別人だったんだけど、これだけは完全に一致していたのよね。



 シスター・ミレ――


 この美しく慈愛に満ちた素敵な女性(ひと)が大好きだってこの想いだけは。



 だから……


 シスター・ミレの愛情がシエラの全て……

 シスター・ミレのいる世界が私の全て……


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― 新着の感想 ―
[一言] 良かったなぁ、転生者さん(´;ω;`)ウゥゥ
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