表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生ヒロインに国を荒らされました。それでも悪役令嬢(わたし)は生きてます。  作者: 古芭白あきら
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/75

38. 王都からの使者


 ジグレさんの予想は当たってしまいました。



 この辺境の地(リアフローデン)に王都より使者がやってきたのです。


 ジグレさんの情報によればエリーは春先に処刑されたそうです。ですから、まだそれほど時間が経っていない筈ですが、かなり性急に事を進めたようです。



 何の先触れも無く数名の騎士に守られた馬車が教会に横付けにして、横柄な使者がどかどかと礼拝堂の中へと入ってきました。



「シスター」

「大丈夫よシエラ」



 この時、私はシエラと礼拝堂で日課の黙祷の最中でした。突然の来訪者にシエラが怯えるので、彼女を背後に隠してその無礼な使者に相対しました。



「お静かに。ここは神と対話する場。ここには神がおられるのですよ」



 私は静かに叱責しましたが、しかし使者は全く気にした風もありません。

 彼は私の前に立つと薄ら笑いを浮かべて一礼しました。



「お久しぶりでございますミレーヌ・フォン・クライステル様。覚えておいででしょうかマルクス・ガーグでございます。この度は王命により貴女様をお迎えに参上いたしました」

「迎え?」

「左様。前王太子妃エリーの悪行が明るみにでたのです」



 芝居がかった口調で語り出すマルクス。


 要約すると私の冤罪をエリーの責任として全て無かった事にし、再び私を貴族に復権させてアルス殿下の妃とするとの王命でした。


 ジグレさんの話では国王はエリーに代わる聖女と王太子妃を欲しており、それも国民の信望を集められる人物を望んでいるのだとか。


 それに該当するのが私らしいのですが、最初に聞いた時には何の冗談かと思いました。ですが、こうして国王陛下が使者を寄越したのですから、ジグレさんの読みは正しかったようです。


 どうやら私はいつの間にか有名になっていたようで、ジグレさんから『辺境の聖女』の呼び名を教えられた時には顔から火が出るくらい恥ずかしさを感じました。



「しかし、さすがアシュレインの翠玉と呼ばれたミレーヌ様。以前とお変わりなくお美しい。アルス殿下もお喜びになることでしょう。冤罪も晴れたのです。王都にお戻りになれば皆が諸手を挙げて歓迎しましょう」



 慇懃無礼(いんぎんぶれい)なマルクスに私は表情を消しました。



「何を仰っているのですか?」

「え?」

「私はミレ……この教会の尼僧のただのミレです」

「な、何を言って……」

「ミレーヌ・フォン・クライステルは10年前に死んだのです。お引き取りを」



 拒絶されると思っていなかったのでしょう。マルクスは鼻白みましたが、直ぐにあの手この手で私を懐柔しようと試みてきました。



「何を仰っておいでなのです。これは王命ですぞ!」

「私の言葉が理解できなかったのですか?」



 懐柔が無理と思ったら今度は威圧してきましたが、そんなマルクスを私は内心で笑いました。



「ミレーヌ・フォン・クライステルは死んだのです。死人に王命は届きません」

「き、詭弁だ!」

「それにクライステル家は滅びました。それを成したのは他でもない国王陛下ではありませんか」

「そ、それは……」



 私は妃教育を受けてきたのです。見え透いた媚びや虎の威を借ることしかできない小物に弁で負ける筈もありません。



「王太子妃になれば行く行くは王妃になって、こことは比較にならない暮らしが約束されるのですぞ!」

「神の教えに生きる私に贅沢など興味はありません」

「ぐっ……ですが、国母となれば様々な特権が与えられます。ここの孤児達も、いえこの地の者達が貴女様のお力で裕福な暮らしをできるようになるやもしれません」



 こんどは辺境の人達を出しにしてきましたか。



「ここはアシュレイン王国の領土と言っても今までも打ち捨てられてきた地です。それでも我々はここで生きているのです。今更どの様な助けが必要だと言うのでしょう」



 私が素っ気ない態度で聞く耳を持たないので、マルクスは焦り額から汗を流しながらあの手この手で私を懐柔しようとしたり、恐喝したりと大忙しです。


 ですが私はそれを頑なに拒みました。



 ――王都へ戻る気持ちなど私の中には欠片も残っていないのですから。



「全ては無駄ですよ。私は尼僧なのです。この身を神に捧げ、生涯を神の伴侶とすると決めたのです」

「げ、還俗なされば宜しいではないですか!」

「私にそのつもりはありません」

「へ、陛下のお力で強引にでも……」

「できますか?」



 私は冷たい視線をマルクスに向けると、彼は口を(つぐ)みました。



「今の王家はただでさえ教会を蔑ろにしています。それなのに尼僧の意思を無視して強引に還俗など……これ以上教会を怒らせれば、王家は信用を失墜するだけでは済まなくなりますよ」

「わ、私を脅されるのですか!?」



 先程まで散々に私を恐喝しておいて、彼はどの口でそんな戯言を吐くのでしょう。



「お、表には騎士達がいるのです。あまり聞き分けが無いようなら実力で当たらせて頂きますぞ!」



 遂にマルクスは強硬手段に訴えました。


 そして彼が腕を私に伸ばそうとした時、私と彼の間にいきなり小さな影が割り込んだのでした……



いつも誤字報告を賜りありがとうございます(∩´∀`)∩

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 個人であれ国家であれ、見栄えだけをどうにかしても内面腐っていたらどうしようもないって気付かない時点でどうかしてるのですぅ( ´Д`)=3 フゥ もはや腐ったみかん問題どころじゃないのですぅ(…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ