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転生ヒロインに国を荒らされました。それでも悪役令嬢(わたし)は生きてます。  作者: 古芭白あきら
本編

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20/75

20. 告白


「シ、シスター・ミレ……いやミレさん!」



 突然、声を掛けられて振り返った私の目の前にずいっと花束が差し出されて、びっくりした私は目を(しばたた)かせました。



 このリアフローデンには、夏の初めから終わりまでにかけて行商人が訪れます。最も多いのは今の様に本格的に暑くなる前の初夏で、昨日その旅商人の一団が町を訪れ本日より市を開いていました。


 私は必需品を仕入れる為にその市へとやって来ていたのですが、そこで一人の若い男性に呼び止められたというわけです。



 この方は私の務めに同行してくれている自警団の一人で、名前は確か――



「あのベックさん?」

「こ、こ、これを!」



 何やら緊張した様子で目の前の花束をぐいぐいと押し付けてくるので、私はそれをそのまま受け取りました。



「ありがとうございます。とても可愛らしい花ですね」



 青く小さい花は5枚の花弁で華やかさはありません。ですがそれはとても可憐だと思いました。


 その素朴な愛らしさに理由も無く嬉しくなり笑顔でお礼を述べるとベックさんは顔を真っ赤にされました。この夏の暑さに当てられてしまったのかもしれません。



「大丈夫ですか?」

「ミ、ミ、ミレさん!」

「きゃっ!?」



 心配して声を掛けたのですが、突然ベックさんが私の両手を花束ごと握りしめてきました。



「お、俺と、け、け、結婚して下さい!!」

「あっ!」



 私はこれが求婚であると理解すると、一気に熱が頭まで駆け上り硬直してしまいました。きっと耳まで真っ赤になっていることでしょう。



「あ、あ、あの……ベックさん……お、お気持ちは大変、う、嬉しいのですが……」

「そ、それじゃあ俺の気持ちを受けてくれるんですね!」

「い、いえ、そう言う意味では……」



 私がこのリアフローデンに来て早4年が過ぎました。


 実はその間に町の多数の男性から何度もこうやって求愛をされてきたのです。その度にお断りしてきましたが、どうしても男性からの直接的な好意を向けられるのに慣れず狼狽えてしまいます。


 それに昨年のエンゾ様の訃報以来この様に求婚される方も減ってきていたので油断しておりました。



「俺ずっとミレさんのことが好きでした!」

「べ、ベックさん落ち着いて」



 ぐいぐいと迫るベックさんに私は気圧されてしまいました。



「こらベック!」

「それはルール違反だよ!」



 その強引な求婚に、近くにいた町の奥様連の皆様より待ったが掛かりました。



「だ、だってミレさんが嬉しいって言って……」

「あんたバカなの!」

「それは断り文句でしょうが!」

「そ、そんなぁ~」



 年配の奥様方の突っ込みにさっきまでの勢いが削がれ、ベックさんは(しお)れてしまいました。その落ち込み様に大変心苦しくなります。



「あの決してベックさんが魅力の無い男性だと言っているわけでは……」

「あ~ダメダメ、シスター。そんなんじゃダメ!」

「そうそう、こいつは忖度の分からん朴念仁なんだから」

「ストレートに言わないとぉ」



 私がベックさんにやんわり断りを入れようとすると、今度は私の方に駄目出しが飛んで来ました。



「こいつは直接的な言葉じゃないと都合の良いように勘違いしちまうよ」

「べ、ベックさんに限ってそんな……」

「間違いないよ。って言うか、今そんな状況だったろ?」

「そ、それは……」

「それともシスターはベックとくっつくかい?」



 その言葉に項垂(うなだ)れていたベックさんがパッと期待を込めた明るい顔を私に向けてしまいました。私にそんなつもりはないのです。



「その気が無いんなら、さっさときっぱり止めを刺しな!」

「は、はい!」



 奥様連の中心的存在リビアさんに叱咤され、私はその勢いで言い放ってしまいました。



「ベックさん申し訳ありませんが私は貴方と結婚をするつもりはありません!!」

「うわあぁぁぁぁぁ!!」



 私の少しも言い回しを使用しない拒絶の言葉に、ベックさんが泣きながら走り去ってしまわれました。



「ベックさんを傷つけてしまいました。もう少し差し障りの無いお断り方をするべきだったのではないでしょうか?」



 その後ろ姿を見送りながら心配になった私はそう呟きました……


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― 新着の感想 ―
[一言] こういう輩はきっぱり言わんと。 下手に曖昧に言うとストーカーになっちゃう( ゜д゜)
[良い点] おばちゃん達が強いっ!(笑) ミレさんは綺麗だし、リアフローデンの人達からも慕われてるし、そりゃモッテモテですよねー( *´艸`)
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