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転生したら…… 始祖の吸血鬼!?  作者: RAKE
四章 ライガ獣王国 王都編
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ヨナVS勇者サテラ

さてさてさーて。

遂に始まりました。ヨナVS勇者。

勝ち星はどちらに輝くのか。

緊張感が張りつめる会場に先に入場してきたのはヨナ選手。

監督。これをどう思いますか?

いや、誰が監督だし。


訓練場は広々としているけど中央には土魔法で形成された円形のバトルフィールド的な物が設置されている。そこから分かる通り冒険者たちはあの場を使えば仲間たちと自由に切磋琢磨できるわけだ。僕は興味ないけど。


「おい。あれ勇者じゃねえのか?」

「それより見ろよ。あの勇者と戦う青髪の子。めっちゃ可愛くね。俺すっげー好みだわー」

「聖王国で『極光』の二つ名を持つ勇者に挑むやつがいるなんてな」

「そんなことより売店で酒買ってこようぜ。美女、美少女の戦いは飯と一緒って相場が決まってんだ」

「へー。勇者ねぇ。最強を目指す俺にとっては天敵かもな」


好き勝手に喰っちゃべるギャラリー達。

珍しくヨナがちょっかいを掛けられていないと思ったらどうやら勇者の威光からみたい。空気読めないのに有名なんだねあの人。そんな冒険者たちの気持ちが理解できん。


「先行は譲りますよ。ハンデとして」

「へー。じゃあお言葉に甘えさせてもらう、よ!」

おうおうおう。遂におっぱじめやがったぞあいつら。

すわっ! ヨナの傍にいたからかやじ馬たちの視線がこっちにも!


変な騒ぎにならない前に、今こそ前世で長年貯めた影と化す技術を試すとき。

あと、話しかけないオーラもONにしとこっと。

「やるね。」

「あなたもね」


ヨナが放ったストレートの拳を勇者が剣の腹で防ぐ。細いレイピアみたいな形状をしているのにとんでもない技量だ。


そこからは絢爛に舞い踊る剣と猛る徒手空拳の嵐の応酬。

常人では見切れないほどの早さのやり取りが幾度となく繰り返される。

その間も二人はしきりに立ち位置を入れ替えている。


ステータス面で同程度なら何が勝敗を分けるのか。

子供でも分かる。純粋な技量だ。

どれだけ相手の動きを見、攪乱し、先手をとり、隙を作れるか。

互角の相手に勝つには冷静な判断力と型にはまらないような意外性のある攻撃。

そんなものが重視される。


最もこの場でしっかりと剣の太刀筋や拳の軌跡を視認している人は誰一人いないだろうけど。

周りの冒険者の反応ときたら口を半開きにして驚くもの、なんとか残像を目で追いかけるのが精いっぱいなもの、真剣な表情で見つめるもの。


周りで我関せずといった感じに訓練をしていた者たちの視線もこちらに集まってきているけど呆けて試合の動きを見ている、というよりかは何が起こってるのかわからない。超常の物を目にしたようなそんな感じだし。


超速の白兵戦は圧巻だ。

純粋な速度でもなかなかのものがあるけど二人の技量はステータスに比例して高い。

僕もつい見惚れてしまうほどに。

それを為しているのが普段僕をからかってくるヨナと倫理観の欠片もないセクハラ女というのがなんとも解せないけど。




こんな光景を見ているとノクスとサフィアの毎朝の定番と化していた喧嘩を思い出すなぁ。みんな今どこでなにしてるんだろうなあ。


「チャキン」

僕が遠くない未来に再開するであろう家族たちに思いを馳せていると先程まで激戦を繰り広げていた勇者が唐突に剣を鞘に納めた。

「どういうつもり?」

「いえ、前哨戦で切り札を見せるのも良くないと思って」


「前哨戦?」

「あなたも闘技大会でるのでしょう。私もでるのよ。聖王国のシード枠としてね」

「へえ」

「決着は本線で付けましょう。貴方はムカつくけど、武術は悪くなかったもの」

予想外に幕切れしたヨナと勇者の戦いはどうやら闘技大会に持ち越されることになったらしい。


……僕のコミュ障克服? 

せっかくヨナが興奮でそのことを失念してるんだからさ。

勘のいい奴は嫌いだよ。

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