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転生したら…… 始祖の吸血鬼!?  作者: RAKE
二章 小さな村 サリエラ編
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閑話 ローグ

俺は物心ついたときすでに冒険者に憧れていた。

魔物を刈り、村の人たちを助けて豪快に笑っている男気のあるその背中に。


戦闘では多彩な剣技や魔法の嵐でもって、自分たちの背丈を超す魔物さえ押しのけて勝利を収めるその気高い姿に。


小さな村で、農作業を主とする仕事に就くことを位置づけられて生まれてきたんだ。


唯一の抜け道としてなれるかもしれない職業がそんなに格好の良いものだったら憧れの念を抱かないほうがどうかしているってもんだろ。


一度冒険者に憧れ、それを生業にすることを志してから、俺の行動は迅速だった。


冒険者になることを許される10歳の誕生日を迎えた瞬間に村のギルドに急行してライセンスを取得した。


幸い俺には戦いの才能があったのかライセンスを取得した際にちょっかいを掛けられた冒険者たちをねじ伏せることができた。


そして夢見た冒険者ライセンスを得た俺は薬草採取や猫探しの依頼を終えてFランクからEランクに昇格。


そこから弱い部類の魔物であるゴブリンや動物たちを刈り一年も過ぎたころにはDランクになっていた。


だからか俺は自分の才能に有頂天になっていたのかもしれない。

「うわぁァぁ」

前へ前へ前へ。おってくる巨大な気配。

Cランクに指定されるコカトリスだ。

鶏と頭は少し似ているけど、顔は整っておらずはっきり言ってその風貌は醜くて、かつ初めてそれを目にした俺の恐怖心をあおる。


今まで戦ってきたゴブリンや低位の魔物とは一線を画する巨体と纏う魔力波。

俺が思い上がっていたことを嘲笑うかのように現れた理不尽に完全に気圧されてしまった。


DとCで大きな差があることは知っていた。

それでもここまでとは思っていなかった。

お金がないからとケチっていないで服でも何でも売り払って剣ぐらい買っておけばよかった。

そう本気で後悔しても現状が変わるわけではない。



無様に汗や涙で顔をぐしゃぐしゃにして背を向けることしかできない。


しかし、ステータスの差なのか無情にも距離が縮まり逃げる俺の前方を大きな影が覆った。



「うう」

恐怖で押しつぶされそうになりながらも振り返り、本能的に生き永らえようと手を交差、ガードするような姿勢をとる。

コカトリスの足が限界まで引き上げられ振り下ろそうと体を揺らした。

その刹那—


コカトリスの巨体に剣閃が走った。


――ドスン

重い音が響き渡りコカトリスが地に沈む。

先ほどまで俺を追い詰めていた恐怖の権化が首から胴体にかけて切断され血を噴き出している。


その惨状を作り出した少女に俺は自然と目が言った。

深紅の髪に緋色の瞳。

仕立てのいい黒い服に身を包んだ自分より少し年上と思われる可憐な少女。

どういう剣の腕をしているのだろうか。

その服には血の一滴もついていなかった。


「……」

黙ってこちらを見つめてくる少女に見惚れていたが、助けてもらいながら、お礼を言うのを忘れていたことに気付いてハッとした。


「ありがとうございます」

不格好ながら少女に礼をしてお辞儀をする。

「あれ?」

しかし顔を上げた時には既に少女の姿はなかった。

それから、暫くして少女を見つけた俺は話しかけ全力で師事を仰いだ。

が、サラリと断られてしまった。


それから俺の相手をしてくれたサフィアという女性。

少女のお母さんか姉かと聞くと仕えるべき主と聞いたので驚いた。


美人で身なりのしっかりとしている人だったからどこかのお嬢様なのかなと思っていたけど、まさかあの少女の従者だとは思わなかった。


それと同時に、従者なんて微妙な役職な人が本当に戦えるのかと疑問に感じた。



しかしそれはいい意味で裏切られた。立ち位置や一撃目を当ててからの二撃目への切り返しの速さ。戦闘での行動の読みあいから魔物との実践経験。


そのすべてが今まで俺が見てきた冒険者たちの剣を軽く凌駕していたんだ。それでいてステータスも高いのだから鬼に金棒だった。


俺はこのサフィアという女性に師事を仰ぎ強くなった。

結局。師匠がこの村を出ていくまで一撃も入れることのできなかったのが悔しいところ。


「さっすが。師匠は強いですね」

「私などまだまだです。主様の剣に比べれば私のやっていることなど所詮は児戯に等しいですから」

「へ、へー」

俺は師匠の主様、至高発言にそう返すことしかできなかった。

数年前一撃でコカトリスをねじ伏せたあの人がどれだけ強いかなんて今の俺じゃ想像がつかない。


「でも俺はいつか師匠も師匠の主も超えますよ」

そう高らかに宣言する。男たるもの目標は高く持つ。


コカトリスの一件から冒険者という職業がその場の状況に応じて臨機応変に対応しなくてはならないことを学んだ。

それでも上を目指すこと、自分の冒険を辞めることをするつもりはないけどな。


「そうですか。それは楽しみですね。」

師匠のいたずらっぽい笑みと返しに俺は真剣な表情で頷く。

いまはまだ13歳。世間一般的には子供だけど、親からも冒険者の職に就くことは承諾してもらっている。


小さな村だけど俺を大切に育ててくれた両親に少しでも親孝行するために、俺は冒険者として成り上りたい。


それで稼いで冒険して、出来ることなら師匠と結婚して、充実した人生を送っている未来。そんな光景に思いを馳せ、真紅に染まる夕焼けに拳を高く突き上げた。

ローグはクローフィーの事を憧れの存在であり超えるべき高い壁と思っているとかいないとか。

サフィアの事を師匠であり自分が思う最強の人でありついでに恋心を抱いています。

そしていつか再開して戦いを挑んでー?

うーん。たぶんないわ!

というかまだ決まってないわ!

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