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転生したら…… 始祖の吸血鬼!?  作者: RAKE
二章 小さな村 サリエラ編
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ドラゴンVS吸血鬼①

乗り物(サフィア)と熾烈な戦いを繰り広げながら森を進むこと約三日。


サフィアにおぶって走ってもらっていたからか予想よりも遅くなってしまったけれどようやく感知に反応が入った。


森の中で一際目立って強い魔力波を放つ存在。

堂々と僕達の実家プレハブで体を丸めている赤い物体。

またの名をドラゴン。


サフィアに降ろしてもらい相対すると丸めていた身を広げ僕の事を睥睨へいげいしてくる。



『おう。久方ぶりじゃけえ。若いの。』

爺口調でそんなことをのたまうドラゴン。

何故か誇らしげなその態度は非常にウザい。

何を考えてるのかわからないけど、とりあえずウザい。(大事なことだから二回―)


ウザい(三回目)けど、そのウザさが沈んだ気持ちの今はちょっと、ちょこーっとだけ心地いい。


うむうむ。いくら真剣な話をするために帰ってきたとはいえ、こんな神妙なかんじじゃソフィーを不安にさせちゃうかな。


こんな時こそ元気を出さないと。

そのためにまずは目の前のウザゴンのしたり顔を苦悶の表情に変えて見せましょう。


ウザゴンに僕が勝てばみんなの士気も、そして今の僕のテンションも(ここ重要)上がって一石二鳥なのであります!




僕が何の努力もせずに村にいた間、ただ寝ていただけだとお思いか?

否、断じて否である。


そうあれは来るべき決戦に備えて英気を養っていたのだよ!(ほぼ寝てただけです)

さあ今こそ過去の雪辱を晴らすとき。



破滅の赤(エリュトロン)

あいさつ代わりの巨大剣。

跳躍して瞬時に自らの爪で腕を切り裂き(軽く)血だまりから呼び出した剣で一撃を見舞う。


言葉にすると長いけど、これは一瞬の出来事。

たぶん一秒も掛かっていない。

っフ。さっそく勝負が決まってしまったようだよ。



「ヴァォ――」

鼓膜を劈くほどの轟音が響いた。

破滅の赤(エリュトロン)』が僕の手からスッポ抜け、高速回転しながら彼方へと吹き飛んでいく。


ドラゴンがただ咆哮しただけで。

ただの叫びが衝撃波になってソニックブームを生み出し超重量の血剣を彼方まで吹き飛ばした。


うん……

このドラゴンはホントに僕以上にイカレタチートだと思う。



『フハハハハ。いきなり勝負か! しかし無駄無駄! 我にそんなちんけな攻撃通用せんわ!』

おちゃらけたドラゴンの声が脳内に響く。

五月蠅い。めちゃくちゃうるさい。


いい加減普通にしゃべれよね!

脳内で煽りの声が聞こえるとムカつくんだよ! ……ね


しかし、ウザゴンの真に厄介なのは調子に乗ってもいいぐらいに事実強いこと。

ホントウザいドラゴン

略してホウン。


思いのほかカッコよくなっちゃったよ。

やっぱウザゴンの方針で。


まあこうやって、いつも一発KOされていた僕だけど、今回は秘策があるんだよ。

そう簡単にやられたりしないのだ。



ふっふっふ。

今まで使う機会がなかっただけで温存していた僕の伝家の宝刀。

封印を開け放ち、ついにお披露目する時が来てしまったようだな!



刮目せよ! 我が真なる権能の凄みに!

跳躍し、血潮の短剣(ブラッドブレード)を手首に軽く突き立てる。


能力全開!

『吸血鬼化』『血を操りしもの』もろもろのスキルを同時展開してドラゴンと同じく飛行する。




「深紅の刃に彩られ漆黒の影を宿す剣、血剣よ。始祖たる吸血鬼が命じる。いにしえの封印を、打ち破り此処に顕現せよ『死の血剣(デスブラッド)』!」


『痛たたたた。遂にぶっ壊れってしまったのか?』

至って真剣に詠唱をしているというのにうるさく喚くドラゴン。


「うるさいな。これをしないとすぐ壊れるんだよ」

実際自分でもちょーーとだけ痛い気もするけどさ。

でもいいじゃん?

ここ異世界だし?


真剣に鍛錬とか修練とかいう大義名分だけで剣を振り回したり詠唱をしたり右手が疼く…… とかできる世界じゃん!(多大な偏見が含まれます)


だから魔法の詠唱なんて普通だし。

もう生きるために水が必要なくらい自然なこと。


だからギルマスに魔法に詠唱をしたほうがいいか聞いて『お前何言ってんの?』みたいな目で見られた事実なんてなかった。いいね。




『せめてもの情けだ。一瞬で灰にしてやるぜ!』

ドラゴンに完全に痛い奴認定されたみたいだ。

うん。ふざけんなや!


こっちだってやりたくてやってるんじゃないんだよ。

なんでか詠唱しないと武器が作れんのだから仕方ないだろ!



僕の言い訳を嘲笑う様にウザゴンの顎から光が漏れだす。


ブレス!

そう直感した僕は瞬時に創造する。

「……どうだ!」


唖然とするドラゴンにそう言ってのける。

僕は防いで、正確には斬ってみせたのだ。

生態系の頂点に君臨するドラゴンの象徴ともいえるスキル。

一撃必殺の威力を誇るドラゴンブレスを。


死の血剣(デスブラッド)』の特殊効果その一

この剣は魔法を斬れる。

正確には霧にできる。


これにより魔法を斬るというなんとも厨二心をくすぐるファンタジーが可能になったのだ。

っフ。また一つ伝説を創ってしまったぜ。(カッコつけ)



『っな!』

「っふ」

そしてウザゴンの攻撃も通用しない。

驚きに目を見開くも爪を、尾を魔法をあらゆる手段を駆使して攻撃してくるドラゴンの攻撃もそのすべてが僕には当たらない。


死の血剣(デスブラッド)』の特殊効果その二。

使用者に霧化の能力を授ける。

吸血鬼の伝承とかで出てくることがあるけど始祖たる僕はこの剣を使うことでその能力を得られるようだ。


デスブラッドを装備している時にしか霧化の能力は発動しないものの、持っている間はON、OFFの切り替えが可能だから自分の攻撃が当たらないという事故も起こらない。


『吸血鬼化』のように諸刃の剣ではない超便利能力なのだ。



それはもう一家に一台ほしいぐらいに。

いつもあなたのそばにデスブラッド。如何なる自然災害からも守ります。


そんなキャッチコピーで売り出せそうなぐらいには便利な代物なのだ!


便利すぎる影響なのか刀身が分厚くてだいぶ重いけど、エリュトロンよりかは軽いし、故に小回りも効いて相手の攻撃に迅速に対応することが可能。


攻防ともに優れた万能剣。

さあドラゴンよ。

長年の恨みをいざ晴らしてくれようぞ!



『くそったれがー!』

焦れたように叫ぶドラゴン。

……器用に声のボリューム変えるなし!

うるさいわ! ボケ!


「実力の差を思い知らせてやる! 僕の吸血鬼としての真なる力その身を持って味わうがいい!」


不敵に笑みを浮かべて勝利宣言をする僕。

っふ(カッコつけ)


翼をはためかせ『死の血剣(デスブラッド)』を右手に高速で突出する。


この猛撃を止める手段をドラゴンは持っていない。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] そうあれは来るべき決戦に備えて英気を養っていたのだよ!(ほぼ寝てただけです) さあ今こそ過去の雪辱を晴らすとき。 (正:雪辱する/雪辱を果たす)
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