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転生したら…… 始祖の吸血鬼!?  作者: RAKE
二章 小さな村 サリエラ編
60/137

ギルマス

総合1000pt突破!

ほんっっっとうにありがとうございますです!

ベント(ギルマス)side


よう。俺はベント。

騎士になったり冒険者になったり人生色々あったが、戦闘を生業にする職業を引退して悠々自適生活を送っていたにもかかわらず、なんの思惑かあっという間に各国のギルドマスターたちにサリエラのギルマスに祭り上げられた。


理由は現地に来てから悟った。全世界のギルマスどもは自分に少しでも被害が及ぶ可能性がある『禁忌の森』と隣接したこの村が嫌で、俺に損な役割を押し付けてきたんだろう。


つっても普通。冒険者引退したやつにギルマスやらせるか?

ふざけんなっての。


まあ愚痴を言いはしたが、結界が解けるという最悪のケースが起きている現状でも至って変わらずに快適な生活を送れてるんだけどな。


平和が一番である。睡眠は最高だぜ!



ん? 仕事はどうしたって? ハハハハハ。バカ言っちゃいかんなぁ。怒られない程度にこなしているんだぜ。


眠りを追求するうえでそこらへんは抜かりない。

適度にサボって適度に働く。

それが俺のポリシーよ。


不真面目ってか?

それは言い方が悪いぜ。要領がいいといってほしいな。



そんな惰眠を貪るのを幸せとしていた俺だが、最近変わった奴らに出会った。


どいつも亜人、それも片方はエルフ。

当初はエルフが仲間にいるということで警戒していたが話してみると意気投合できるほど睡眠の話題に長けたいい奴らだった。


最もそれは私的な感想で、都市から派遣されてきた冒険者には納得のいかない輩もいるらしいがな。


まあ、職業柄人を見る目は染みついているし、俺の直観でも裏がある様にも思えないんだが。


強いて悪の部分を上げるならばクローフィーが風呂でぶっ倒れたことだな。


尋常ではないほど汗をかいていたことから傍から見れば一見のぼせただけのように見える。


が、俺にはどうにもあの時のアイツの表情は苦悶とか生気を失ったような顔ではなく、口元がにやけているように見えた。


それが何を意味しているかまでは俺には分からん。

だがやましいことかろくでもないことだという予想はつく。


そんな奇異行動を起こすことがある睡眠仲間。

クローフィーを見る。

面と向かって言ってはやらんが割と美少女だろう。

将来有望というやつだ。育ったらすごいかもな。



クローフィーが眠っているのをいいことに改めて観察する。


燃え盛る炎のようなきらめきを放つ深紅の髪。

瞼が閉じられていてもどこか強い意志が垣間見える紅の瞳。


全体的に細身だが、やせ細っているというほどではない。

成長途上ではあるものの少しだけふくらみのある胸。


こうしてみるとただの少女にしか見えないが、このなりで単騎でコカトリスを倒せるほどの実力を有していのだから恐れ入る。


実際に見たことはあるわけじゃないが魔力波から、ほかの二人も同等か、それ以上の力を持っていると考えて間違いない。


睡眠同好会の創設者である俺としては出来ることならば敵には回ってほしくない相手だな。敵に回ったとしても勝てるかどうかは賭けになるし。


「ふあぁ」

珍しく思考を長く続けていたせいで脳を使って疲れた。

慣れないことはするものじゃないな。

こういう時は眠るに限る。


「ぐごお」

「ギルマス! 大変です!」

「ぐがあ」

「起きろつってんだろうが! アホマス! ここでお前が出なかったら存在価値ねえからな!」

「……なにがあった」

あくびをしながらも返事を促す。

普段ならば自分の眠りを妨害してきたような輩に返事を返すことなどない。


が、今回に限っては別だ。声の主がアレンであること、切羽詰まった雰囲気と迷わずにぶん殴ってくるのが非常事態だと判断した。


……改めて考えたら真っ先にぶん殴るって発想が出てくるのっておかしくないか?


まあ、焦ってそこまで気を回せないのかもしれないし、仕方ないから許してやろう。俺って寛大。

「魔物が、……マンティコアが現れました」

その言葉に思わず息を呑む。

マンティコア。

伝説級に位置する魔物。

小国ならば簡単に滅ぼしてしまう厄災。

だが、実際に滅ぼされたという事例は少ない。ましてや村や都市を襲ったなどという話は聞いたことがない。


温厚ではないが、人間を取るに足らない下等生物だとでも認識しているのか襲われたという事例は発生していない。


権力で握りつぶされ公開されていないだけで厳密にはいくつか起きているらしいが、その多くは人間側がマンティコアの皮膚や爪といった素材を欲して刈ろうとした愚か者たちだ。


それ以外ではマンティコアは生きるために最低限殺生をするくらいの魔物だ。

力こそあれど尾を踏まなければ痛手を受けることはない。

それが襲った。この村をか?

「俺がでる」

「お気を付けて」

真剣な表情で部屋を後にした俺の背中に心配の言葉が掛けられる。意外だ。憎まれ口の一つでも叩いてくるものだと思っていた。


あれだけ慌てて入ってきたのだ。

もう既に被害が出ているのだろう。

だから俺は無能だとか、人殺しだとか罵られてもおかしくないというのに。

「はあ……」

正直今すぐとんずらしたい。

騎士をしていても、冒険者をしていても怪我は日常茶飯事だ。

痛い思いなんてしたくないし、守るべき特別な人がいるわけでもない。



が、そんな胸中も今は切り捨てる

こんなんでも俺はこの町のギルマス、ならばそこに住む人々を守るのがその責務だ。


守れなかった人々の分の無念を晴らすためにも俺に逃げるという選択肢はない。


冒険者ギルドを後にし、逃げ惑う人々の波を掻き分けて、押しのけて進んでいく。


そしてそれが現れた。


そいつの背後にはおびただしいほどの血と物言わぬ肉塊と化した冒険者たちの死体。周囲を囲む濃密な死の匂いと血の臭いが鼻を吐く。


それを不快に思いながらもそれでも戦わなければならない。

場をマンティコアの『威圧』と魔力波が支配する。

それを自分の魔力波で相殺する。


臆することはない。

ただ目の前の敵を倒す。

それだけのことだ。

「倒す」

冷酷な瞳がマンティコアを貫く。

俺は身体と得物かたなに『雷』を纏わせて電光石火の勢いで踏み込んだ。


雷、刀、憤怒。

ギルマスの元キャラはお察しの通りです。

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