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転生したら…… 始祖の吸血鬼!?  作者: RAKE
一章 禁忌の森の吸血鬼
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侵入者

それは前触れもなく唐突にやってきた。

就寝しようと布団に手をかけた朝の事。僕の魔力感知に反応があった。


最初は魔物かと思ったんだけど、どうやらそうではないみたい。


 魔物は普段、余程の事がない限りは自分たちの縄張りから出ることはしないし。


一匹狼のような奴ならその限りじゃないけど、今外から感じ取れる気配は複数だし。


しかも厄介なことにその気配は刻一刻と強まってる。


気配が強くなるってことはつまり距離が近づいてきている。ということ。




120年。探索は滞りなく行っていたし、ドラゴンとの話ではこの森には僕たち以外の人間、または亜人、なんにしてもそれに近しい存在はいないとの結論が出ている。


そこから導き出される答えは……




ギコオオォと重音を響かせ、プレハブの扉が開け放たれた。朝の日の光をバックに現れたのは甲冑に身を包んだ集団。


それが列をなしてズケズケと上がり込んでくる。

事前に気配を察知していた僕とソフィーとサフィアが待ち構える。


ノクスとドラゴンは修行とかで家を空けている。なんかノクスにドラゴンが一方的に付き合わされてるきがするけどうるさい奴がいないからせいせいするよ。いやホントだよ?……



「……これは。まさかまだエルフに生き残りがいたとは。予想外だ。幼子二人に保護者か。この程度なら問題にはならないな」

先頭の男が開口一番。そんなことをのたまう。そして次の瞬間には剣を抜いて地を蹴った。その剣をサフィアの剣が受け止め、弾き飛ばす。


硬質な音を立て床に落ちた剣。それは確かに僕たちを殺すという殺意と敵意を持っていた。


ふっ。僕も剣を振るっている身。剣を見ればどんな意志を持っているのかなんとなくわかるのだよ。

「人の家に無断で入り込んで迷わず攻撃とは一体どうったつもりでしょうか?」

「おい。なんだよエルフが武器を使うとか聞いてねえぞ」

全く聞く耳なしといった感じの巨体の男は得物を落としたというのにたじろぐ様子もなくどこか落ち着いている雰囲気。


不審に思った時。男の影に隠れ後方で魔法を詠唱する兵士たちの姿が見えた。

一人一人がファイアーボール。小さな火の玉を掌に構えている。

なるほど、なるほど。男が剣を失っていながら冷静だったのはそれが理由かー。


「ウォーターベール」

しかし哀れ。

男の作戦は虚しくも水の障壁によって消失した。

炎の玉は僕たちにかすり傷すら与えることもできずに次々と露散し消え失せていく。


巨体の男が今度こそ驚愕に目を見開き余裕がなくなって、……ついでに首もなくなった。


その男だけでなく後ろにいた兵士たちも防がれるとは思っていなかったのか惚けたところを次々と体を刺され斬られ両断されて命を落としていく。


さらに後方の兵士たちは何が起こっているのかわからずパニックに陥っているようだが実際はただ素早い動きで移動したサフィアが血剣で一人一人殺っているだけである。


不意に後ろに殺気を感じ裁きの血剣『鮮血の双刃(デュアルブラッド)』を発動し、向かってきたハルバードをなでる。



それだけで剣線が逸れて僕の髪を掠るだけにとどまる。

「おいおいこれを防ぐのかよ」

「このくらい普通でしょ」

余裕ぶってみたけど実際は危なかった。

だって僕の『気配感知』にかかっていなかっんだもん。それで反応が遅れて対応がギリギリだった。

隠密系のスキルでも所持しているのかもしれない



現れた男は黒い衣装に身を包んで身の丈ほどもある巨大なハルバードを担いでいる。


気怠そうな瞳をしていて、殺気も気配も薄くて読みにくい。だというのに一撃一撃が必殺のレベルに強いんだからなんだこの暗殺者みたいなのは。

……カッコいいじゃん。



――男が剣を振るってきた。

細身な体のどこにそんな力があるのかとは思うけどファンタジー世界にそんなツッコミはいらないかと切り捨て戦いに意識を集中する。


ハルバードの扱いに長けているのか突き、斬撃、どちらの利点も生かしてうまく攻撃を加えてくるが、僕の体にそれらが当たることはない。


やってることは『鮮血の双刃(デュアルブラッド)』で撫でて剣線を反らし、突きは身体を反らして躱しているだけ。しかし男の速度も相当なもので反撃する暇がない。僕が攻撃に移ろうとしてもハルバードのリーチを活かして後ろに下がり一方的に攻撃を続けてくる。防戦一方というわけではないのだが、わざわざけがはしたくないのでなかなか攻めきれない。

これが『ええい、焦ったい! みたいな感情か』


両者手詰まり。僕がそう判断して男から距離をとったところで応援が入った。


ソフィーのウインドカッターだ。

どういう仕組みかはわからないけど風の刃は男を執拗に追いかけている。制限だらけで隙だらけとなったところを僕の血剣が捉えた。

「取った!」

はずだったのに。

喝采を上げ振り下ろした剣は空を切り男の姿が消え失せた。


僕の目にとらえられない速度で移動したのかと身構えたけど、気配は既になくなっていた。




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