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転生したら…… 始祖の吸血鬼!?  作者: RAKE
一章 禁忌の森の吸血鬼
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もう一人の転生者

赤竜side

ーードオオン


俺の前で二人の少女が驚愕に固まっている。

異世界に転生してはや20年以上。

ようやくの第一村人発見に胸の興奮が収まらずつい派手に飛び出してしまった。

相手の心情はおそらく敵か味方かわからないといったところだろうか。


いや、あんな登場の仕方をした時点で新しく表れた魔物としかとらえられてない気もするが……

ーーまあ周囲の魔物を一掃すればそう悪くは捉えられないはずだ。

俺はそう思い『火竜の吐息』でそこらの魔物を焼き尽くした。

木まで燃え始めて山火事になりそうになったので素早く尾で消し払い鎮火した。


改めて少女たちのほうを見ると1人は白いローブを着た魔法少女風の子供。

髪は目がくらみそうになるほどきれいな金髪だ。

年齢は見たところまだ5~10歳ぐらいだろうか。

耳がとがっているからエルフってやつか。まあなんにしてもかわいいな。

可愛いは正義だからいいことだと思うぞ。おう。


もう1人の少女は黒いパーカーに布地で作られたような黒いズボン。短パンに靴下を履いていて絶対領域というやつが生まれているな。


そういえばなんで異世界にパーカーがあるんだ?

俺が今まで戦ってきた魔物はどれもファンタジー生物たちだったから急に日本にいたころのものが出てくると違和感あるんだがなあ。


暫く沈黙の時間が続き、お互い見つめあったまま呆然とする。


無言の圧に俺が若干の気まずさを覚え始めたとき黒一色の少女がようやく口を開いた。

が、しかし俺はドラゴンだ。戦闘に特化したスキルなら山ほど持ちあわせているが、あいにく翻訳とか念話とかそういうスキルは目覚めてない。さらに言えば人になれるスキルもない。



つまり異世界で言語が同じとかスーパーラッキーなことでも起きない限り会話は成立しないということだ。

しかし俺の予想とは裏腹に黒い少女の話す言葉は俺に聞きなじみのある言語だった。

もう10年以上離すことをしていないというのに鮮明に日本語を記憶していた自分にも驚きだが、それ以上に日本語で話す少女のほうがよっぽど驚きである。


一瞬スーパーラッキーが起きたのかと驚愕したがエルフっぽい少女の言ってることはわからないのでこれはつまり黒い少女だけが「日本語」を知っているということだろうか。


あ…… しまった。黒い少女が日本語を話した衝撃で何言ってるのかさっぱり聞いていなかった。

10年振りに人の言葉を聞いただけでもびっくりしたのに急に日本語で話すから脳内処理が追い付かんのよ。ホント


と思ったら少女はどこからともなく剣を取り出して剣士みたいに構えた。

あれ? これって俺が倒されるパターンですか?


「魔物の大群の後は、今度はファンタジーの王道ドラゴンさんが登場ですか? 最悪のタイミングだし、疲れてるし、勝てる気もしないからさすがに戦うのは勘弁してほしいんだけど……」


待て。この少女は今何と言った。

ファンタジー。そういったのか。

それは俺の世界の住人しか知らない言葉ではないか。

俺の中の疑念は確信へと変わった。

少女が赤い髪に極端に白い肌をしているから現地人かとそう思っていた。


 だが、ファンタジーなんて言葉が出た以上、やはりこの少女は俺と同じ『元日本人』で『異世界転生者』だ。


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