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転生したら…… 始祖の吸血鬼!?  作者: RAKE
五章 聖王国と破壊神編
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聖騎士とロード(ローグ)

修行生活も1年が経ち、僕達は団欒のため、一度聖王国に集まる事になった。


サフィアとヨナは1月前にはガイアスを出ていたらしいけど、ソファーは空間魔法を用いて当日に転移してきた。


この短期間で空間魔法を高い練度で実現していて、ソフィーの成長速度には目を見張るものがある。

久方ぶりに集まったこともあり、せっかくなので皆で屋台巡りをしていた。

獣王国にいた際は、ヨナとソフィーが修羅場って、まともに屋台巡りをできた記憶がないから、地味に楽しみだったりする。


ちなみに王都には所々に純白の鎧と中心に青い十字が刻まれた銀の盾を持つ聖騎士が巡回している。

通行料は存在せず、四方を城壁で守り、門番や警備は兵士ではなく一流の聖騎士がこなしている。

彼ら聖騎士の国内での主な仕事は亜人たちによって起こる犯罪の抑制と処罰の決定。


平たく言えば亜人には法も秩序も必要ないよね?

とか言ってるヤバい集団の集まりである。

まあ一応他国の戦争とかで駆り出されることはあるらしいけど、それ以外はただ王都を巡回するだけで大金持ちらしい。用は有事の際だけ出勤する必要がある公務員。


楽な仕事だよねえ(煽り)

こっちは指名手配されながら付近の危険な魔物を倒して修行をしながら金を稼ぐ傭兵ですよ。


傭兵事業は冒険者ギルドを介すよりも報酬少ないし、辛いんだよ。

具体的に言えば収入は3割減である。

ただでさえ売ってるのも闇市の現場みたいなところだから売れるものは限られるうえに、公式に運営されている冒険者組合外の換金屋だと売れる値段もバラバラ。


安い時もあれば高い時もある。

まあ僕達吸血鬼は三日は何も食べなくてもどうにかなるし、ソフィーに関しても吸血鬼の血が混じっているからか、一日は何も食べなくても特に空腹を感じないらしい。


だからお金にはそこまで困ってない。

()()()()



ここ最近一番面倒なのは移動時間。

素顔をさらさないために王都とは別に山にプレハブを建ててお風呂に入りにいく。

全力ダッシュでも王都から一時間以上はかかる山にね。


……風呂入った後、王都に帰るのにドラゴン使わないと汗かくんだよね。

風呂入る意味!!

風呂入った後運動するとか風呂入る意味!(大事な事だから二回行ったよ)


『禁忌の森』に行くにも移動。王都の周辺で魔物を刈るのにも移動。

闇市や換金屋に持っていくにも移動。


なにをするんでもいちいち移動が必要になる。

戦闘に活かす意味合いが強かったとはいえ、結果的にソフィーの転移魔法が重宝している。


ただ、転移には莫大な魔力を喰うらしく、エルフであるソフィーでも長距離の転移はかなりしんどいとの事。


まあ、他国で勉強してきたらしいとはいえ、習得の難しい空間魔法を一年とそこらで習得してるのでも本当に凄い。


だから、文句を言うならば指名手配の原因になったドラゴンであって、ソフィーではない。


閑話休題。

ちなみにだけど聖王国ではたとえ人間でも亜人を擁護するような態度を取れば処罰の対象になる。

ま、質の悪い聖騎士だと亜人というだけで理不尽に処罰したりしようとするけどね。


なんで急にこんな話をするかって?

今、まさにその亜人を擁護しているお人好しを目にしているから。


「貴様。無法者の冒険者如きがこの聖騎士序列12位。ブルグ様に逆らう気か?」

「別にそいつはなにもしてねえだろ。単に買い物してただけだ」

「それが罪だと言っている。亜人如きが我々人間と同じ行動を取るなど万死に値する。即刻処刑すべきだ」


冒険者風の風貌の黒髪少年とモブっぽい顔立ちの高圧金髪聖騎士が口論している。

屋台で買い物をしただけで憤慨しているのを見る限り、まさしく面倒な聖騎士っぽい。

周りも僕達と同じような煙たがるような視線を向けて巻き込まれないように知らん顔して立ち去っていく。


無論。僕達も干渉するつもりはない。


「あれはローグではないですか? 主様」

「ん?」

「知り合いなの? フィーちゃん」

「見たことないの」

「誰だあいつ」

「どなたっすか?」


いや、変態。誰だそのローグって。

そんなよくわからん村人Aさんみたいな名前の人は知り合いには……

……ああ、サリエラで僕の睡眠を邪魔してきたうるさい少年君か。


てっきりまだサリエラにいるのかと思っていたけど王都に来てたんだね。


やっぱあれかな、麦わら海賊みたいに仲間集めとか?

一人じゃ寂しかったのかな。

元ボッチとして気持ちは痛いほどわかるぞロードくん。


「ローグ。あなたはまだそんな面倒ごとに首を突っ込んでるんですか」


おいおいおいおいおい。

なにしてくれちゃってるの変態さーん。

すわっ。聖騎士Aの視線がこっちに向いちゃったじゃん。

結構大所帯で変装が面倒でOFFの日だから唯でさえ全員がフードを被っている怪しい集団なのに。


「ー!その声。師匠ですか? 聞いてくださいよこの聖騎士がひどいんですよ」

「酷いのはあなたの行動です。面倒ごとを起こすなとあれほど説明きょういくしたのに……」


抗議の声を上げるロードとそれに頭を抱える変態。

そしてそれを不快そうな目で視る聖騎士。

傍観する僕ら。

痛い痛い。周りからの奇異の視線が痛いから早く終わらせて変態。



「師匠。あれは教育じゃなく、唯の拷問だから。二度とやらないでくれ。それと困ってる人を助けるのに理由なんていらないだろ」

「そもそもそいつは人じゃないですけどね」


「そうだ。そいつは人ではない獣と同じだ。それが人と同じ行為をするなど――」

「さっきからあなた五月蠅いです。黙りなさい」

おっそろしく速い……


じゃなくてなにしてくれちゃってるのサフィアさん。


僕達一応追われてる身なのよ。

それを聖騎士に腹パンなんてしたものなら。

指名手配な上に別件でもお尋ね者になっちゃうでしょうがぁ!?


「ヨナ!」

「合点承知だよ。フィーちゃん」

瞬時に僕の思いを汲んだヨナが行動を起こす。

縮地で彼我の距離を瞬く間に潰したヨナが、ロードと変態の首根っこを掴み引きずる。


「走るよ!」

そのまま爆速で宿を目指す。

僕もそれに倣ってソフィーを背負って猛ダッシュ。

一泊遅れてノクスがシェイラちゃんを担いで不承不承追随してくる。

その日からフードを被った一団がお尋ね者になりました。

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