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水の中


とどかない夏の空を見上げて、


水の中に飛び込んだ。


水の中は海。

水の中は川。

水の中はプール。

水の中は……青。


水の中は濁った、何も見えない青。

水の中は透き通った、彼方まで見える青。


漂う。

浮く。

沈む。

身を任せる……。


前を向く。


泡が出た。

呼吸が……、苦しくない。

いつまでもいられる。どこまでも見える。


水が光で揺れている。

揺れている感覚が水の感触ですぐにわかる。

冷たい。

体が、伝わって、熱さが、日射しで。


皮膚が潤っていく。


髪が漂う。

分かる。

手を伸ばせば届くから。

でも、どれだけ伸ばしても届かないから。


あの青の先に行きたい。あの冷の先に行けない。


この世界には青しかない。


それでも、ずっと彼方にある水の光を、

砂の底と岩の底とプールの底が教えてくれる。


水の温度が、より冷えた。


水面が、海面が、川面が、波間の上が……、

水よりも熱い。

熱い光が白く屈折している。


外は今も、泳ぐ者には分からない、

白亜の灼熱。


ここは熱とは程遠い、水冷の場所。



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