6 別れ
あー、やっと空港まで行く流れになった…
結構なスロースペースやなぁ…
俺は部屋に戻り、荷造りを始めた。
母さんと父さんは区役所に離婚届を貰いに、そして、銀行に俺に渡すための手切れ金を取りに外に出た。
話し合いの結果、取り敢えずは俺に金を渡してイギリスに留学という形で滞在させることにした。
だから、留学の期限が切れたら俺はもうどこにも行き場所はないし、母さんも父さんも関与はしてくれないので、飢え死にするだけだ。
ホームステイ先でなんとか仕事にありつかないと。
出来ることなら、また作家になりたいけど…。
もし無理なら、ホームステイ先で家政婦でもして暮らそうかな…。
「…はぁ…。」
ああ、もう、早くみぃちゃんに会いたい。
でも、みぃちゃんは確か、16歳の頃にお父さんの仕事の関係で日本からイギリスにいったと言っていた。
同い年だったので、あと6年。
みぃちゃんが何処にいるかもわからない日本にずっと居続けるよりも、さっさとイギリスに行ってしまった方がいい。
けれど、最低でもあと六年は会えないのか…。
ーガチャン!
思考の波に拐われそうになっていると、母さんと父さんが帰ってきた。
出発は明日の朝8時。
もう夜の11時なので、寝なくてはいけない。
「…さっさと寝るかぁ…。」
俺は深い眠りについた。
起きたのは次の日の6時。いつも通りの時間だ。やはり、体に染み付いているのだろうか。
「んー、ねむぃ…。」
けど、早く準備を済ませなくては。
父親に渡された金をバッグに厳重に仕舞いこみ、パスポートをコートのポケットに入れ、自分自身もまた下に降りて顔を洗い、服を着替える。
いつも通りだけど、やはりなにかが違う雰囲気の家に一刻も長くいたくはなかった。
俺は7時に荷物をもって下に降りた。そこでは母さんと父さんが待っていた。
「行くのか?」
「うん、行くよ。hostfamilyにはちゃんとよろしく言っておくから。
母さんたちには迷惑を掛けないようにするね。
…じゃあね、母さん、父さん。
今までありがとう。どうか元気で。」
俺はそう呟くと、走って家を出た。
少しだけ涙が出てきたのは、きっと気のせいだ。
そう、思いながら。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
これ書いてたらおにぎり食べたくなりました。