4 君との出会い
なんかちょっと、展開が無理矢理になった感じが…。
いや、なにも言うまい…。
そして俺は、彼女に…桜井三奈に出会った。
俺とみぃちゃんの出会いはとても素敵とは言えないものだった。
みぃちゃんの親友を俺が振り、それを見ていたみぃちゃんが怒ったことから始まったのだ。
はじめはなんだよ、うざいやつだな、と思っていた。
でも、関わっていくうちに互いに惹かれて行き、気がつけば恋人という枠組みに入れられていた。
俺達は親友であり、ライバルであり、何よりも愛し合う恋人同士であった。
だから…俺は。
あの子を、助けたのに。
また、やり直すことになるなんて…。
とにかく、そんなことで俺は大体6年の間母さんとも父さんとも連絡すらとっていなかった。
だから…どうしようもなく、嬉しかった。
母さんの熱心な教育は、小学生中学年の頃から始まったように感じられる。
そう、恐らくはこの頃からだ。
何かがあったのだろうか。
…母さんをあんな風にしてしまった、決定的な、何かが。
「どうしたの?早く食べなさい。片付かないでしょう。」
「あ、うん。」
少しばかり、長い間思考に浸りすぎていたらしい。
俺は食卓テーブルにつき、食事をした。
…うん、母さんの料理だ。
でも、ゆっくりと味わっている時間はない。
急いで料理を口の中に掻き込み、母さんに話があるんだ、と切り出した。
「なぁ、母さん。」
「なに?」
「あのさ、俺今何歳?」
「はぁ?何言ってるの?この間10歳になったばかりでしょ?」
「…そっか。なぁ、母さん。」
「だから何よ?さっさといってちょうだい。」
「うん。その、俺…俺ね、イギリスに行きたい。」
「…は?」
「その、ごめん。俺、今すぐにでもイギリスのケンブリッジ大学に入学したい。絶対に首席で合格して見せるから。お願い。」
「…あんた、何言ってるの?いや、本当に。どうしたの?貴方はまだ小学4年生よ?大学になんて行けるわけがないでしょう?」
「大丈夫、イギリスには飛び級制度がある。
俺はちゃんとやっていけるだけの実力がある。母さんが金と名称だけ貸してくれたら、後は全部自分でやる。自分の家も自分で借りる。
15歳になったら作家になって、全額返済する。
母さんが望むなら、もう関わらない。
だから…お願いだ。行かせてくれ。」
「駄目よ。何を考えているの?良いなんて言うわけないでしょう。普通の親なら、きっと言わないわ。貴方は小学生よ?なんの小説に影響を受けたかは知らないけれど、絶対に許さないわ。」
「別に、何かの小説に影響を受けた訳じゃないよ。だけど、俺はどっちみち18歳になったらイギリスの大学に行く。これはもう確定なんだよ。だったら、もうすでに行っても良いだろう?お願いだよ、行かせてくれ。」
「駄目よ!!なんと言っても駄目よ。絶対に駄目。大学の…それもケンブリッジ大学の勉強になんて着いていけるわけがないでしょう?試験の時点で落ちるわ。」
「じゃあ、その試験だけでも受けさせてからもう一度かんがえてくれないか?」
「試験を受けるだけでもお金はかかるのよ。あなたの勝手な気紛れで出来るものではないわ。きっと一時の気持ちよ。やめなさい。」
「頼むよ、母さん。俺、試験を受けたい。お願いだ。金は必ず返す。例え、何があったとしても。だから、お願いだ。やらせてくれ。」
「…父さんにはもう伝えたの?」
「いいや、まだだ。」
「今日の夜、時間を開けておきなさい。三人で話し合いましょう。」
こうして俺は、今日の夜父さんに直談判することとなった。
…そう、以前は出来なかった父さんとの話し合いの場をもうけることができたのだ。
俺は、このまま日本にいる価値を見いだせなかった。だったら、さっさとイギリスに行ってみぃちゃんの記憶の確認をした方が良いだろう。
俺は、そう判断した。
ここまで読んでくださってありがとうございました。