16 どうなるわが家のマイナンバーカード問題①
去年2024年に保険証が廃止され、マイナンバーカードがその代わりを担うというニュースが巷を駆け抜けた。知人友人から「まだ(マイナンバー)カード作ってなかったの?」と言われ続けてきた私も、ついにマイナンバーカードの申請をしてこの手にゲットしたのだ。
私以上に警戒心の強い両親は未取得のままだったが、娘(=私のことだが)がカードを取得したことが刺激になったらしい。やはり保険証の廃止が後押しになり、マイナンバーカードを申請することになった。
他人事のように知らん顔をしていた父親は、面倒だから自分から動きたくなかったのだろう。母親が申請すると言い出すと、それなら自分も……とそのあとに続いたのだ。
一週間後、私は両親を地元市役所へ連れていった。期間限定で、マイナンバーカード申請の補助手続きをしてくれる窓口が設置されている。申請書に貼付する写真も無料で撮影してくれるし、わからないことは職員に質問するのが一番手っ取り早い。
市役所には年配の夫婦が申請手続きのために集まってきていた。保険証の代わりが必要なうえ、マイナポイントをゲットするための申請締め切りは二月末日までだからだ(その後〆切が5月末まで延期されたが)。やはり考えることは同じなのだ。
一時間半くらいで申請手続きに必要な書類ができた。あとはカード受け取り案内の郵便が届けば受けとって終わり……と思いきや、私には課題が残された。
高齢の両親が、カードに設定すべき暗証番号が決められないというのだ。
私:「わからないって、何が?」
よくよく母の話を聞いてみると、役所の職員から誕生日や単純な数字配列を避けるように釘を刺されて、どうしたらいいのかわからなくなったというのだ。たとえ四桁の数字とはいえ、新しい暗証番号を覚えろというのは年寄りには酷である。さらに署名用電子証明書の暗証番号は英字大文字と数字で最低六桁を設定しなければならない。この時点で暗記できないという。
私が当たり前にこなした作業すら両親には難問だったのだ。
私が金融機関のATM用の暗証番号と同じにしてみては? と提案(念のため誕生日じゃないことを確認した)すると二人とも納得した。
しかし、もう一つ。
六桁の暗証番号については、「どうしてローマ字と数字にしなきゃならないの?」と首を傾げる母。
……そのほうがセキュリティーとしてより安全だから。数字だけの組み合わせだと単純すぎるという説明をした。戦中、終戦直後生まれは英語に抵抗感があるらしい。
ところが父は、数字だけではだめだと口を酸っぱくして言っても誕生日にすると頑ななのだ。
カードが手元に届く二カ月後までのわが家の宿題。
何とか父を説き伏せられればいいのだが……
(②次回に続く)




