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絵が好きな君と絵を描かない僕  作者: 海ノ10
二章 〇〇〇〇〇
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24 「どこのプールに行く予定なの?」



 日焼けすると皮がむけたり痛くなったりと酷いことになるので、いつもよりも強めの日焼け止めを塗って僕は家を出た。


 プールに行くだけなので、荷物は水着やタオルが入ったバッグと、財布、あとは鍵とスマホくらい。あまり荷物が多くてもいいことがないからね。

 朝日さんの家の前に着いたのは、待ち合わせの三分前。五分前行動って言葉をよく聞くが、家を出て一分もかからずに着く場所へ行くのに五分前に行動する人はなかなかいないと思う。少なくとも僕は五分も余裕を持って行動しない。

 マンションの影に入って涼みながら待っていると、マンションの中から朝日さんが出てきた。手には、水着などが入っていると思われる袋を持っている


「ごめん、待った?」

「いや、今来たところだよ。まだ集合時間にもなってないし。

 そういえば、今日はどこのプールに行く予定なの?」

「わたしもよくわからないんだけど、お姉ちゃんによると数駅向こうにいい感じのプールがあるんだって。」


 朝日さんも僕もこのあたりのことをまだよくわからないので、ここは日向さんの情報に従っておくべきだろう。プールに関する情報なんてないしね。


「じゃあ、行こ?」

「そうだね。行こうか。」


 僕たちはそんな会話を交わすと、いつも通り駅へ向かって歩く。途中までは駅に行くのも学校に行くのも同じ道なので、なんとなくいつも通りな気がする。


 しかし、日光が熱い。夏だから仕方ないのかもしれないが、嫌になる暑さだ。

 じんわりと汗ばんできた気がするシャツを右手で掴んでパタパタさせていると、朝日さんの右手がすっと伸びてきて僕の左手と絡まる。

 朝日さんと出歩くときはいつも手を繋いでいるので、なんの違和感もなく僕は手を握り返す。やっぱり、傍から見たらカップルにしか見えないのではなかろうか。まぁ、別に勘違いされて困ることがあるわけでもないのだけれど。

 そのまま駅まで行き、改札を抜けて電車に乗り込む。夏休みとはいえ平日の電車は空いていて、運よく空いていた席に座ることができた。


 二駅分電車に揺られてから降りると、朝日さんがスマホでプールまでの道のりを確認しながら歩く。

 十五分ほど歩いたところで、目的地のプールまでたどり着いた。

 そこはウォータースライダーや流れるやつもある大きな屋外型のプールで、見るからに新しい。電車で朝日さんに聞いたところによると、プールができてから数年らしい。


「じゃあ、更衣室出たところの前で集合ね。」

「うん。」


 お金を払って中に入った後、僕たちはそう言って男女に分かれた更衣室にそれぞれ入る。そこそこ埋まっているロッカーの中からよさそうなところを見つけて確保すると、朝日さんを待たせないように手早く着替えた。

 僕が着る水着は、なんの変哲もない黒を基調としたデザインのもので、ピタッと肌にくっつくものではなくむしろダボッとした作りになっていた。そして、上にゆとりのあるデザインの青っぽいラッシュガードを日焼け用対策に着ることにする。まぁ、ラッシュガードを着るのは日焼け対策だけではなく、単純に肌を出すのが好きではないという理由でもあるのだけど。


 手早く着替えを済ませ、僕はスタスタと更衣室を出てプールへ行く。相変わらず日差しは暑い。

 プール内は平日にも関わらず、夏休み中の大学生や高校生でそこそこ賑わっている。賑わっているといっても土日のプールに比べたら大したことはないのだが、来るときに乗った人の少ない電車を見てからだと、どうしても人が多く感じてしまう。

 遊ぶ人たちをぼんやりと眺めながら時間を潰していると、不意に後ろから肘をつつかれた。

 驚いた僕が振り返ると、そこにいたのは水着に身を包んだ朝日さんだった。


「に、似合う?」

「あ、う、うん。すごく似合ってるよ。」


 水着を着た朝日さんを見て一瞬意識が飛んでいた僕は、そう言って慌てて取り繕う。

 朝日さんは、布面積の少ないビキニのような水着の上から中が少し透けて見えるタンクトップらしいものを着ていた。その水着には見覚えがある。たしか、一緒に水着を買いに行ったときに悩んでいた二着のうちの一着だ。


「あ、ありがとう――じゃあ、行こうか。」


 朝日さんは照れたように僕から目を背けると、そう言って僕の手を引いて歩き始めた。

 その後ろ姿を見ながら、「似合ってる」だけではなくて「かわいい」と言っておくべきだったと後悔する。妹に「相手の服を褒めるときは『似合ってる』以外のこともいいなよ?」と言われていたのをすっかり忘れてた。



ほんと、更新遅くてすいません……


さぼって書かない僕のことは嫌いになっても、作品のことは嫌いにならないでくさだい!!

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