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絵が好きな君と絵を描かない僕  作者: 海ノ10
二章 〇〇〇〇〇
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7 「なんで固まってるの?」




 結局、プレゼントは自分でどうにかして選んだ。お世辞にもいいセンスとは言えないだろうけど、こんなものだろうと思う。


 そして、今日は朝日さんの誕生日当日。さすがにいつものぐでっとした格好で行くのもどうかと思ったので、いつもは寝癖を直すだけの髪を、少しだけいつもよりも丁寧に整えて、精一杯のセンスで似合いそうな服を選んだ。僕だって、クラスメートの誕生日くらいはちゃんとしようと思う。

 普段こそ寝癖があっても放っておいたりするけど、たまにはしっかりしようと思う。土曜日もしっかり身支度をしたけど、今回はそのときに比べて少しおしゃれ重視にしてみた。倉井さんが来た日は、どちらかというとシャキッとした服だったし。


 誕生会は夕方からなので、十一時に準備が終わったのは早すぎる――と言いたいところだけど、実は日向さんから「朝日を連れ出してくれ」と言われているのだ。どうもどうやら、家の飾りつけをしたいらしい。ちょうど、遊びに行くという話をしていたところだったので、ちょうどよかった。

 僕は家から出ると、いつものように朝日さんのマンションまで行き、インターフォンを鳴らす――のではなく、朝日さんのスマホに連絡を入れる。どうせ外に出るのだから、インターフォンを鳴らすよりもこっちのほうがいい。僕がメッセージを送ると、すぐに既読がつき、『今行く』という簡潔でわかりやすい文字が送られてきた。

 そもまま少し待つと、エントランスの自動ドアがガーっと開いて、中から朝日さんが出てくる。いつもよりも少しおしゃれというか、気合が入っている気がするような格好の朝日さんは、僕の姿を見ると固まった。そんなに凝視されると、なんか不安になってくる。


「あの、朝日さん?なんで固まってるの?」

「あ、ううん。なんでもない。」


 朝日さんはそう言うと、僕から目を逸らす。なんでもないことはないと思うんだけど――まぁ、そこまで追求することでもないし別にいいか。


「まぁ、行こうか。」

「う、うん。」


 僕がそう提案すると、小さくそう言いながら手を繋ぎ歩き始める朝日さん。僕も朝日さんの横に並びながらついていく。別にどこに行くとか決まってるわけじゃないけど、どこに行くにも電車を使うので、とりあえず駅に向かう。

 そのまま歩いていると、ふと朝日さんが何度もこちらをチラチラと見ていることに気が付いた。


「朝日さん?どうしたの?」


 そう尋ねてみると、朝日さんはぴくっと震えた後、「あ、えっと――」と小さな声で言い、なにか考える仕草を見せる。僕はそんな動作を見てなにかあるのかと思い、黙ってしまった朝日さんがなにか言うのを待ってみた。すると、朝日さんは暫く黙った後にゆっくりと話始める。


「えっと、その――今日、どうかなって――」


 朝日さんは顔を赤くしながらそう小さく言う。その質問の意図がわからなかった僕は、思わず首を傾げる。すると、どういうわけか朝日さんはさらに赤くなってしまった。


「その、どうかなっていうのは、つまりどういうこと?」

「その――今日の服とか、お姉ちゃんがやったんだけど、変じゃないよねってこと、なんだけど――」


 だんだん声が小さくなっていき、聞き取るのが精いっぱいだったが、なんとか全部聞きとることに成功する。ああ、なるほど。日向さんが朝日さんの服を選んだり髪を整えたりしたから、今日雰囲気違うのか。


「うん、全然変じゃない。むしろその服すごく似合ってると思うし、ネックレス引き立て合ってるよ。それに、今日少しリップ塗ってるよね?あと、髪をいつもとちょっと違うセットにしてるでしょ。すごく似合ってると思うよ。」

「ふぇっ!!?」


 朝日さんはそう変な声を漏らすと、僕と繋いでいる手に少し力をこめる。少し心配になるくらい顔が赤くなって、驚くように僕のほうを見た。


「そ、そこまで――気づかないと、思ってた――」

「ああ、ごめん。さすがに気持ち悪かったよね。なんか僕、人のそういう違いに気付いちゃうんだよ。」

「そ、そうなんだ――う、うん。ぜんぜん気持ち悪くない。むしろ――」

「むしろ?」

「な、なんでもない!」


 そう言ってまたも違う方向を向く朝日さん。本当になんなのかわかんないな。まぁ、妹も似たような感じがするから、女性というのは男にとっては未知の存在なのだろう。あ、男でくくるのは女心がわかる人に失礼か。僕がわからなすぎるだけだろう。

 本当は「なんでもないわけないでしょ?」と聞いてみたかったが、なんとなく僕の本能がこれ以上深入りしないほうがいいと言っていたので、なにも言わないことにする。直感には従うべきだからね。


「そ、それより、今日どこに行く?」


 朝日さんが話題を変えるようにそう切り出してきた。なにを話せばいいかわからなかったから、すごいありがたい。


「そうだね。朝日さんの行きたいところに行こうよ。」

「行きたいとこ――あったかな?逢音は?」

「んー、ないね。」


 そもそも外出しても行くところがないから、休日は引きこもりになっているわけで、そんな僕が女子と行けそうなところなんか思いつくわけがない。強いて言えば本屋だけど、それはこの前行ったからダメだもんな。




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