星人と大地人とお絵かき
日間VRゲーム部門ランキング3位に入りました。
うぉぉぉ!いつも見ているランキングの上位に入って夢みたいです。
頑張りますのでこれからもシクスタよろしくお願いいたします!
初のコメントも頂き感無量です。良ければご指摘や感想お待ちしております!
警戒心をあらわにしたイザベラを前に戸惑いを覚え狼狽える俺。
(えっ?俺なんかした?やっぱりいきなりは不味かったか?というかクエストって何??どういうことだ?)
俺が戸惑っていると、イザベラは続ける。
「本当にクエストとか言われましても、こちらにはそのような依頼することはありません。食事の料金も返しますから子供達にはどうか何も言わないでください」
イザベラは深く頭を下げる。
「いや待ってください。頭を上げて下さい。よくわからないですけど、料理の代金も要りませんから!それに偽善かもしれないですが、あの子達に串焼きを食べてほしいと思ったからです」
なんとかイザベラにわかって貰えるように必死で弁明していると、「シスターイザベラ、あの料理はどうしたんだい?」
と熟年のシスターが扉から出てイザベラに話しかけてきた。
「あら…貴方が二人を届けて下さったのですか?シスターイザベラはいったい何を?」
「……えぇ、そうですがどうか誤解をしないで下さい!やましい気持ちとか全然全く無いですから!!」
「シスターマリアンナ申し訳ございません……この方は星人で、それでつい…………」
疑われないように必死で説明をすると、マリアンナは俺を上からしたまで見て、
「…………とりあえず!!二人とも落ち着いて、子供達が怖がります!!」
「「すいません」」
思わず謝ってしまった!!イザベラもばつが悪いのかこちらを気にしながらもマリアンナに謝罪をする。
マリアンナは奥にどうぞと促してからすすっと1人奥に入っていく。
それを見たイザベラは、まだ警戒をしながらだが「申し訳ありません、どうぞこちらへ」と案内してくれる。
(ふぅー、なんとかマリアンナさんだっけか、誤解はしてはいないと思うがちゃんと説明出来れば良いんだけども…星人ってプレイヤーが何かしたか?)
通された部屋は応接室のような部屋で質素ながら綺麗に片付けられている。
ソファーに座り、お茶を入れにいったイザベラを思い出す。
(綺麗な人だったな、あんな人をモデルとか出来たら良い絵になるんだろうな……でも、嫌われてるから無理だろうな)
一人悶々と考えているとマリアンナとお茶を持ったイザベラが入ってきた。
「私がこの施設の責任者をしていますマリアンナです。こちらはシスターイザベラです。」
「私は冒険者になったばかりですが、星人のファルベといいます」
「二人を届けて頂きありがとうございます、それとシスターイザベラの不適切な対応をお詫び申し上げます」
「申し訳ございません………」
二人は……イザベラはしぶしぶだが、謝罪をする。
「いえ、気にしていないので………私は昨日この街に降りたため現状を、把握していなかったのですが、以前同郷のものが何かなさいましたか?」
マリアンナが実は…と語った内容は酷いものだった。
一年と半年前に星人の冒険者が街に多く降りてきてから、孤児院に様々な冒険者がやってきて、寄付や頼み事をやってくれたが、次第に見返りを求めだし、最終的には子供達に暴言をかけていく人達や寄付の返却を求める人が増え、子供が外に出れなくなる事態になった。
なので今は門を閉め出入りに制限をかけているなかで、ハーリーとリコの失踪で…………と。
(うわぁ、何やってるんだよ初期組か?NPCだからって好き放題されたのか。それでイザベラさんのあの態度か………話を聞いて申し訳なさや恥ずかしさから火が出そうだ)
「同郷のものが申し訳ありません」と頭を下げ
「今回の料理など見返りは考えていません、安心してください」と二人に伝える。
「シスターイザベラ……この方の右手を見なさい、精霊紋があるでしょう?精霊は人を選びます。良からぬ事を考える人にはついて行きませんよ」
「本当に善意だけです、私も既に故郷の両親を亡くしており、何かしたいと思ったからです。子供は笑顔の方が良いと思うので。」
俺の右手を見て驚き、言葉が届いたのかイザベラはしぶしぶではなく、顔を見てしっかりと謝罪をしてくれた。
(なんとか誤解がとけたか。それにしても許せんな初期組の人たちは……)
「私たち大地人と星人のいざこざはここに限った話しではありませんが、多かれ少なかれ揉め事はあります。ですが大地人にも悪人はいますし、星人にも、ファルベさんのように善意に満ちた方もいます。私たちは信じることをやめてはいけませんよ」
「はい、二人を連れてきていただいたのにひどい態度を……ファルベさん本当にごめんなさい」
「いえ、そのようなことがあったなら仕方ありませんよ。本当に気にしてないので。頭を上げて下さい」
その後、子供達の元に戻り心配にさせてたハーリーとリコの頭を撫でて、イザベラに渡しみっちりと説教をしてもらった。
その後買ってきた食事を子供達やシスター達と食べ子供達と遊ぶ。
折角だからみんなとお絵かきでもするかーと、持っている紙と木炭と練り消しを皆に配り裏庭で板を下敷きにして好きなものを書きだした。
館の裏側に小規模ながら薬草畑が広がりそれぞれが思いふけている。
(どうしようかなー、何を書こうか……)
目をつぶりウサミを思い出すと鮮明にウサミの姿が思い浮かぶ。
なんだ!と思い目を開けるが目の前にウサミを見ているくらいの鮮明な姿を記憶できている。
(なんだこれ…………うーん、スキルの記憶術のせいか?わからないけどこれなら………)
俺はウサミを思い出しながら、せっせと書き続ける。
1時間ほどで子供達は書き終わったのかみんな見せに来てくれる。
ハーリーはさっき食べた蜥蜴の串焼き。リコはさっき食べたリンゴパン?のようなものかな??
他の子達も食べたものばかりでちょっと笑ってしまった。
イザベラも来てみんなを誉めている。
リコがお兄ちゃんのも見せてーとせがむので、満を持してウサミを見せると、子供達から盛大に笑い、イザベラも困ったように……
「私は………好きですよ、ミニラビッツ??の絵かな、可愛いところもありますよ…ね?」
「な、なんだと!?私の傑作【構図のおかしいミニラビッツのデッサン図 品質1】がこんな不評だと!?」
「自覚してるならちゃんと書いてください!!」
「これが精一杯です………」
「……これから上手くなりますよ」
皆で笑いあっていると離れて黙々と絵を描いていた女の子が絵を見せに輪に入ってくる。
「見てみてー。うまく書けたよ!」
女の子の絵はマリアンナの絵を掲げる。
そこには【よく書けた肖像画 品質5】と表示された絵が目にはいる。
ん?勝手に鑑定?でも品質5はすごいな………。
皆で誉めると気が良くなったのか、見せにいくと子供達皆で走っていく。
「あの子は上手いですね、どこで習ったんですか?」
「あの子はよく地面に絵を描いて遊んでいたから多分独学かと……でもあんな上手に書けるなんて知りませんでした」
「そうなんですか……弟子入りしたいですね!」
「えっ!?うーん…あの子人見知りが激しいからどうでしょう」
「ダメですかねぇ、…………私こう見えても画家やってるんですけど……ほら」
ギルドカードを見せるとイザベラは思わず
「えっ!?あの絵で画家の職だったんですか!!?」
(ヤバい、目から汁が出そう……)
「っっ!!すいません、本当にごめんなさい……あの子に言ってみますね、ただ勝手に外に連れ出したりは駄目ですよ!」
「あ、ありがとうございます、そこらは抜かりなく!」
涙をふきながらお礼をして二人で皆のところに歩いていく。
やっぱりイザベラさんは笑うととても素敵だな……。