大地におりて
目を開けるとガヤガヤとに賑わう広場についていた。…ここが最初の街【ファスト】か。風が気持ちいいなぁ。
周りを見渡すと、露店があちこちにでていたり、自分と似たような格好や冒険者のような鎧やマントを羽織っている人たちでかなり賑わっているようだ。
時刻は昼ぐらいか?太陽の光に暖かさを感じ、作り込まれたリアリティーさを改めて実感する。
広場を見渡していると、一人の女性が話しかけてきた。
「こんにちはー、もしかしてぇー初心者の方かなぁ?」
話しかけてきた女性は、細身で可愛らしい感じのエルフの女性で、冒険者のようなローブを着ている。…胸がぺッタンコなのは種族特性か?
「今初めてログインした所です」と返すと、ぺッタンコエルフは、ニッコリと微笑みながら怒涛のクラン勧誘をしてきた。
やれサポートしますやら、やれ案内しますやら、初対面の人間にも関わらず、グイグイ話しかけてくる。
内心ドン引きした俺は逃げたい気持ちを出来るだけ出さないように、お断りを言って足早に離れようとするが、【ペッタンコは諦めない!】を発動したのか、広場を出ても着いてくる。
俺は早足で逃げるが、ペッタンコは意地になっているのか追い回される。
入ったそうそうなんかこえーよ!何でだよ!!
10分ほど攻防が続いていたが、ペッタンコの前にダンディー騎士が現れ、ペッタンコを制止する。
「やれやれ、初心者さんを追いかけ回しては駄目ですよ、お嬢さん。回りを見てごらんなさい、通報されますよ」
ペッタンコは周りを確認すると顔を青白くしながろ、「あ、ちがっ…ごめんなさーーい」と叫びながら逃げていった。
はー、助かった…。変な宗教の押し売りってあんな感じなんだろうか。
改めてダンディー騎士を見ると、どこぞの俳優さんかなって位に顔が整っている。鎧は青と白をメインにしているようで、広場にいた冒険者風の人よりレベルが高そうだ。
「ありがとうございました、助かりました」
「いや、気にしなくていいよ、私も得をしたからね」
んん?特?何か良かったのか?と首をかしげていると、ダンディー騎士は、カルマ値について教えてくれた。
【カルマ値】隠しステータスの一種、善悪の伴う行動で、増えたり上がったりする数値があり、騎士なら善の数値が増えると、とあるクエストが受けれるらしく、初心者さんを案内や住民の困り事を解決すると貯まるらしい。
今はキャンペーンで数値にボーナスが入る為、クエストの為に見廻りをして困ってそうな人を探していたようだ。
ふーむ、なるほど…。今の情報は初耳だ。他にも細かい設定がありそうだなー。
「…良かったら、ファストの街を案内しようか?」とダンディー騎士が言ってくれたので、甘えることにした。
最初に冒険者ギルドを案内してくれるようだったので、道すがらダンディー騎士のことを聞きながら向かうことになった。
ダンディー騎士の名前はアルフィードと言うらしく、騎士を目指して、見廻りと金策に励んでいるらしい。
クラン名【のすたるじぃー】に所属していて、他には個性派な人達がいるらしい。
あと、ベッタンコエルフが執拗に勧誘していた理由だが、大型バージョンアップで、クランの人数が増えると、ボーナスがハウスに付くため、新規加入者を争奪しあっているとかなんとか。
それと祝福の腕輪を付けていたため、ガチャアイテムで良いものが出ているかもと・・・・。やべーめっちゃ怖いな。
一応勧誘お断り表示を出せるとのことだったのでついでに設定も教えてもらったりしながら歩いている内にギルドに到着。
中は結構広く作られており、受付だけでも8人体制のようで、結構な人が並んで待っている。捌くスピードもお手のもので、列がどんどん消化されていく。
「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件でしょうか?」
と営業スマイルの垂れ耳の犬科の眼鏡女性。なんだか知的でエロスです!
「登録をお願いします」と伝えると、パンフレットのような冊子を取り出し、簡単なルールを説明される。
ランクは銅から始まり、鉄、銀、魔銀、金、白金となっており、依頼をこなし、評価をあげて試験を受けると昇格するとのこと。
納品、討伐クエストが主なクエストだが、中には運搬作業やゴミ掃除、落とし物探しなど様々な種類が豊富にあるとの事だ。
一通りの説明が終わると、水晶を取り出し、手をかざすように促される。
俺は言われた通りに手をかざすと、水晶が薄く光を放つがすぐに消えた。
「お疲れさまでした、こちらがギルドカードになります」と犬科の女性がカードと魔法の地図と冊子をくれる。
冊子には、初心者冒険者のススメ!と書かれていて、オススメ装備や、街の周囲に出るモンスターや採取できる物が書かれていた。これはいいな!後で確認しよう。
鈍い黄土色のカードには、
「登録名 ファルベ
ジョブ 画家 レベル1
銅ランク 依頼成功回数 0」
という感じの情報が記載されて、魔法地図と連動して現在地が、わかるようになっている。今は周辺地図だけしかないが、ギルドの依頼報酬や、クエスト報酬、ランクが高いと販売もされる地図もあるらしい。なるほどー。
アルフィードがカードを横から覗きこみ、画家なんて職業あるんだなと呟いた。
アルフィードも画家というジョブはよくわからないそうだ。
結構画家人口は少なさそうだなー。
その後武器屋、防具屋、魔法屋、道具屋、スキル屋、各種生産ギルド、食事処の場所を案内してくれてる。
スキル屋はまさに名前の通りで、スキルを覚えられる本を販売、買い取りをしている。
最初の街なので、種類は豊富ではないが、自力で習得ができない人や時間が無い人向けらしい。レベルが上がるとダンジョン探索もできるようになり、そこで手に入ったりするようだ。
そして、最後に神殿に案内をされた。
「ここが神殿で色々とお世話になる場所さ、まー外で死んだら最後に登録した復活する場所で伝わるかな?あと別の街から街に飛べたりするけど、行ったことがある神殿で、星のかけらに登録してないと飛べないから、新しい街に行ったらまず登録する事をオススメするよ。あとはそうそう・・・ジョブチェンジもここでするから、変えたくなったら行くといいよ。」
「なるほど、わかりました。」
「うーんあとはあれか、儀式の場所でもあり、特定のアイテムを奉納すると儀式が行われ、運がいいとスキルや精霊がもらえるようだよ、ただ供物アイテムは希少でオークションでも高値で売買されているから、当分は無理だろうね」
「なるほど、精霊かー、いつか見てみたいですね」
「うんうん、…街の案内はこれぐらいだけれども・・・良かったらフレンド登録をしよう、聞きたいこと、分からないことで答えられるかもしれない、画家についてもこちらでも少し調べるよ」
アルフィードからフレンドの申し込みが来たので、お礼を言いつつそのままのフレンドリストに登録をし、アルフィードとその場で別れた。
イイ人だったなー、ダンディー騎士。何かお礼できればいいんだが。慣れてから考えようか。
ではでは、とりあえず買い物して、外に出てみるか!
星のかけらについて
いわば転移門やホームポイントてきな物。
高レベル者かスクロールなどで指定先に外から飛んだり、神殿の人に頼んで輸送してもらったり、便利な移動手段。
アルフィードについて
アルフィード
ヒューマン 男性
住ジョブ 槍騎兵 レベル50
副ジョブ ーーー ーーーー
ダンディー騎士見た目通りに紳士。
リアルも紳士だか、ゲームも上手い。
βテスターからの古参。
クラン「のすたるじぃー」の副リーダー。
「のすたるじぃー」は、リアル45歳以上限定のクランで、落ち着いた人たちが多い。