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希望と心情

リアルで約2時間ほど休憩をしてから再度ダイブ!


街は朝を迎えており、星人も大地人も活動を再開し徐々に街は賑わいを見せはじめる。

とりあえず、魔法屋とスキル屋を覗いてみるか。


場所はわからないので通りすがりの人に聞き込みをし、お目当ての店に向かう。

セカンダリは海辺が近いため欧州のような建物が多く、レンガ造りの街並みでまるで旅行にきた気分になる。


本当ならゆっくり街中を見物や探索したいんだけど、またの機会にするしかないか。

子供たちにお土産とかも買いたかったな。などと考えているうちに魔法屋に到着し中に入ると……「売切れ」の名札が至る所に貼られている。


へ?なんですと?


「あぁお客様!申し訳ありません。ただいま魔法書やスクロールの大半が売り切れていまして、残っているのはそこまで量は多くないのですが……本日は何かお探しでしょうか?」


「えっとぉ……無属性魔法は何かありますか?」


男性店員は少々お待ちくださいと告げ、店内を見渡した後、店の奥に戻っていき、しばらくしてから一冊の本をもって戻ってくる。


「申し訳ございません。本日はこの魔法書しか残っていないのですがお買いになられますか?」


魔法書をみると│不思議な手(マジックハンド)と書かれているので、店員にどんな魔法かときくと不可視な手が伸びて物などに触れるというもので、冒険者には不人気な魔法のようだ。


本当は攻撃魔法なんかがほしかったんだけどな……でも無いよりはましかもしれない。


店員にお金を払いそのままスキル屋を目指すが嫌な予感しかしない。


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……………結局スキル屋もほぼ売切れていたので、残っていた未鑑定スキル書を2冊買い鑑定してもらっている。


未鑑定スキル書は、要はガチャ的な要素があるスキル書だ。

未鑑定スキルは一律30000ゴールだが中には、珍しいスキルが入っていたり、1000ゴールで買える使えないスキルが入っていたりなど自己責任系スキル書だ。


買った未鑑定スキル書を鑑定していた女性店員はモノクルを外し「お待たせぇしましたぁ。」と独特な話し方をする女性店員は、スキル書を2冊持ってきて俺に渡す。


【盾スキルの書】必要SKP3……盾の扱いがうまくなる。

【センスの書】必要SKP5……センスが良くなる。


盾はいいとして、センスの書って……絵のセンスとか上がるならいいんだけど。特に何も書いてないんだよな。店員さんも扱ったことないらしくよくわからないそうだ。

スキルポイントは余っているので、覚えておくか。


本を開き中を読むと、漠然とした知識情報が流れて混んでくる。

5分ほどかけて覚えるが……うーん、使ってもよくわからないな。

時間ができたらこれも調べようか。


魔法書と盾スキルの書も覚えていると、フレンドメッセージが来たので見てみると……


『to ファルベ君


今日のリアルねなら時間が取れたので手伝えるよ。攻略に必要なスキル持ちのフレも一人いいかな?いいやつだよ。私が保証する。

それと……頼まれていた案件だけど、話は通したがこちらも人柄は悪くないから大丈夫だと思う。 

また何かあれば追って連絡する。      アルフィード』




「きたぁぁぁあああああ!」


俺は思わず叫びながらガッツポーズをとる。


これであとはサンドルーアに向かうだけだ。

マジ紳士!アルフィードさん。一回しか会っていない他人にここまで協力してくれるなんて……。


あ、返信返信っと……………。


あとは昨日の店に行って神殿に行くか。


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ガヤガヤと混む露店通りの一角にある【導きの灯】の前につくと、ドワーフのおっさんが忙しそうに刃物を研いでいた。


「お?おう、来たな?ちょっと待っててくれ」


先客のお仕事があるようで、改め露店の品をみると、様々な武器……武器?のようなものが多数並べてあった。


このカード型投擲武器の柄はどこか見たことあるような……思い出せない。ほかには木槌なのにあり得ない重さの重量のマークが入っていたり……。


「どう?なにか気に入ったものはある?あれ?昨日の画家さんか」


声をかけてきたのはエルフの女性で、昨日は奥で作業していた一人だったので挨拶をかわし少し話をする。ドワーフのおっさんの名前はルドルフとエルフの女性はツバキというらしく、なんでも二人はリアル夫婦でおっさんはリア充だったようだ!!あんなヒゲなのに……。いやリアルは違うだろうけどね。


しばらく話し込んでると、おっさんがやってきて注文した品物を出してくれる。


【水彩魔画筆 スートブラシ】装備必要レベル14 必須ステータス INT25 CHR30

スートワンドをもとに改良された筆杖。魔力の通りがよく魔法攻撃力・魔力操作の扱いがしやすくなっている。   作成者 ルドルフ


搔盾(かいだて) パレットシールド】装備必要レベル12必須ステータス VIT20

搔盾を短く削り、表面はパレットのように凹凸をつけて、片腕でも持てるようにした一品。

作成者 ルドルフ



おぉぉお!すごい!ちゃんと装備できる!!ツバキもお祝いをしてくれる。

ルドルフはどや顔でこちらを見ているので、お礼を伝え残りの料金を払った。



これで魔力と防御力もあがったし、ダンジョンでも役に立てるかもしれない。


あとは…………。考えをまとめようとしていると、ツバキが唐突に、


「ファルベさん!……今楽しんでるかい?」

「悩み事があるようだけど、この世界の中では楽しまないと損だよ!!」


ツバキの一言で俺はここ数日間の事を思い出す。


ダイブしてもクエストのことばっか考えて、楽しむ余裕なんてなかったよな。

イザベラやイーサンの事があったからしょうがないけど、これじゃゲームじゃないよな!?

アルさんのおかげで余裕もできるし、やることはやりながら楽しんでクリアしよう。


バンッ!と背中をルドルフが叩く。


「そいやお前さん画家だろ?絵描いてくれ」


「うぇ!?いやまだ俺は全然素人ですから」


「はんっ!そんなこと言ったらだれも何もできなくなるぞ。あ、ツバキ。余ってる雨除け布あっただろ?あれに描いてもらうべ」


「いいねいいね!他とは違うって一目でわかるような絵をよろしくねぇ~」


うぐぅううぅ……。


「失敗しても文句いわないでくださいね」


「うふふ、大丈夫よ。主人ができるとおもったから依頼したんだもの」


「………わかりました。善処はします。」


何の絵を描こうかな。

クラン名が導きの灯だからそれをなぞったものにしよう。



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いつまでたっても神殿にこないファルベを心配して、イザベラは街に探しに来ていた。


「たしか昨日は買い物と言っていたし……なにか見つからないのかしら」


露店通りの人込みをかき分けてファルベを探すイザベラ。

探し回っているとある店で人だかりができていた。中は見えないがのでそのまま通り過ぎようとしているととある一言が聞こえる。


「なんか路上パフォーマンスしてるみたい……でっかい絵を描いてるんだって」

それを聞いたイザベラは人だかりに飛び込み強引に前に出ると……周囲の視線をまったく気にもせずに、楽しそうに革布に絵をかいているファルベを見つけた。


ファルベは真剣な眼差しで絵でを描き続けていると思えば、扱けて絵の具が服についても笑ってごまかしたりしている。それは孤児院にいるファルべさんらしい姿だった。


しばらくすると絵を露店の横に掲げる。

絵は星灯に導かれて歩む多数の人が描かれている。とてもすばらく上手とは言えないがイザベラはファルベの絵が好きだった。見ていると胸が温かくなる。


店主とおぼしきドワーフとエルフが拍手をファルベに送る。

まわりもつられて拍手をするとドワーフが絵の名前を言え!とファルベをからかうとファルベは恥ずかしいのか、「えーーあーーうーーんーー」と唸っているとエルフが背中から抱きつきファルベを揺らす。


「わ、わかりましたから!!ゆ、ゆぅらさないでぇぇ!…………【星の導き】でどうでしょう?……だめですか?」


ドワーフが背中をバシバシ叩きながら自信をもて!と笑いながら絵を眺めながら「……よし!俺がお前の最初のファンになってやる!」と豪語しているのを聞いたイザベラは思わず「ファルベさんの一番のファンは私ですから!!」と叫んでしまった。


びっくりした顔のファルベがイザベラを見つめると、イザベラは顔を赤くして走って去ってしまった。


ツバキがルドルフをどつくと、ファルベに、「さっさと追いかけないさい!!!」と尻にけりを入れ、何が何やらと分かっていないファルベはイザベラの後を追っていく。



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