画家?奮闘!
ベットから起き上がり背伸びをし、
「くあぁー……………とりあえずナナム村までは無事に着いたが、問題はこれからだよな……なにせレベル10の二人と一匹だし、強そうなのはできるだけ回避して、弱そうなので経験値稼がないと……。」
と体をほぐしながら、ぶつぶつと一人呟く。
「しかし、イザベラ割と好戦的だったのは引いた……というか魔法スキルより両手棍スキルの方が高いってどんだけだよ……。」
水分補給をし、これからの予定を考える。
ナナム村出発からシクスタの時間で約九時間ほどかけてセガンダリに到着する。途中でのセーフゾーンは寄らない変わりに夜になる前に着きたい………強行軍だけど、下手にイザベラを外に出しとくのは怖いしな。
あとは…………何かあったら即逃げる!これ大事!!イザベラにも徹底してもらおう。
よし、準備して行くか!
約30分ほど休憩しダイブでナナム村まで戻り、食事処で待っているイザベラに会いに行く。
広くない店内に入ると、イザベラを見つけた俺は席に近寄ると笑顔で迎えてくれる。
「お待たせしました、イザベラさんは休めましたか?」
「はい、すっかり大丈夫です!」
「そうですか、それはよかった。では早速行きましょうか?道は大丈夫ですか?ここからは私は地図がないので、事前の知識で方角ぐらいしかわかりませんが……。」
「私も似たようなものです……ですが、ここの店員の方にすこしお話で聞いたので、たぶん大丈夫かと。」
イザベラは休憩中に聞き込みをしてくれていたようで、大まかなセカンダリへの道順を把握してくれていた。
うぅ………行き当たりばったりな俺とは違うな。
イザベラにお礼を言い足早に村を出てクリアを召喚してまた森を歩きだす。
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森を2時間ほど道沿いに歩くが、正規ルートなのかあまりモンスターに合わずに森を抜ける。
(あの最初の苦労は一体……)
一人無駄な疲労感を感じるが気を取り直して前を向く。
森を抜けると高原に抜けていた。
どこまでも広がる高原と青空が今までの鬱蒼と生い茂っていた森の木々にくらべると格段に景色が良く、絵を描くにもってこいのロケーションだ。俺とイザベラはしばし景色に見惚れているが、そうもいっていられないので歩み始める。
「綺麗ですね。いつかゆっくり来たいですね。」
「……そうですね。その時は子供たちや先生も連れて。」
「いいですねぇ、ピクニックですね。」
「ふふ、本当に……これたらいいなぁ」
「……大丈夫ですよ、……さぁ行きましょう。」
____【アイリス高原】アヤメの花が咲き乱れる高原で幻想的な風景が広がる高原________
ある程度進むと星人とモンスターが戦っているのがあちこちで見える。
主にメリーシープという羊と戦いこの高原でレベルを12~15まで上げるのが一般的のようなので、自分たちも混ざってレベルを上げる。
いつも通りのブリット&チェインをメインに戦っていたのだが、時折アクティブモンスターのゴブリン【解体屋ゴブリン】や【見習いゴブリン】が表れて、他のパーティやソロの冒険者を襲っていたが、ふとした注意ミスでブッチャーゴブリンがイザベラに襲い掛かった。
「キャァァアッ」
「イザベラ!!!」
気づいた時にはイザベラが、右の二の腕を斧で撫で切りされていたので、シープをクリアに任せ俺はイザベラに駆け寄りゴブリンと間に入る。
森の中にいたゴブリンとは違い、古びてはいるが鎧と斧を装備している。
片手斧を振り回しながら醜い顔をゆがめて、突撃してくる。
バインドのリキャストまであり、再詠唱はできず、イザベラが自己回復をするかクリアが羊を倒すまでは耐えないといけない。
まだ一度も攻撃を食らったことがなかった俺は痛みに覚悟して攻撃を受ける!!
ガシュッ!と音を立てて肩を切られる。
「ファル!!」
イザベラの悲痛な声が聞こえる。
(くっ…………痛ったぁ…………………いけどそこまでじゃないな……)
自分のHPを見ると HP147/162と表示されている。
一撃15ダメージ?あれ?思ったより攻撃力低い?
ゴブリンの追撃をなんとか躱しながら、筆パンチで牽制をする。
こちらの攻撃自体もほぼ効いてはいないが、なんとか時間を稼いでいると、横から「キュラー」と鳴き声が聞こえたと思ったらゴブリンが横に吹き飛ぶ。
クリアがなんとか羊を倒して、援護してくれたみたいだ!これなら!!
「力の根源たる魔力の鎖よ、敵を縛り拘束せよ!束縛」
倒れている解体屋ゴブリンを地面に縫い付け、復帰したイザベラとクリアでボコる。
起き上がりに俺がさらにブリットを放ち追撃をし前に出る。
「イザベラ!クリア!俺の後ろから攻撃に集中して!」
「キュー」
「はいっ!」
へなちょこパンチだが、数を繰り出せば多少のヘイトは取れそうだ。
三度目のクリアのブリットでなんとか解体屋ゴブリンを倒したら、俺とイザベラはレベル12になったようだ。
「大丈夫ですか!?傷を治します見せてください!!」
イザベラが近寄って回復魔法をかけてくれる。
「イザベラさんありがとう、アレはそこまで攻撃力は高くなかったみたいです。」
「そんなことないですよ!周りのパーティの方だって、同種のゴブリン相手に怪我をされていましたし」
「あぁ、そうだった、ごめんなさい。怪我は大丈夫ですか?痛くは……」
「私は大丈夫です!かすり傷です。でも、本当にあまり怪我をされていませんね。なんででしょうか……?」
うーん、それは俺も思った。なんでだろう?
とりあえず自分のステータスを確認する。
名前 ファルベ
種族 ヒューマン
ジョブ 画家 Lv12
称号 「ミリアの弟子」
STP 12
SKP 20
HP 164
MP 242
ST 140
STR 6 (+12)
DEX 32 (+12)
VIT 17 (+42)
AGI 12 (+17)
INT 35 (+46)
MND 32 (+32)
CHR 36 (+35)
装備一覧
武器 古びた筆
サブ武器 古びたパレット
頭 麻の帽子+1
服 麻の服+1
腕 祝福の腕輪
腰 麻の腰布+1
脚 麻のズボン+1
足 麻の靴+1
アクセサリー
1マリアンナのお守り 2、3きれいなイヤリング+1 4、5きれいなリング+1
……………あっ!?
【VIT 17 (+42)】
+42………これかぁぁぁあああ!
これはあれか!並の前衛と同じくらい堅いってことか!?
ヘイトはとれにくいけど、これならガンガン前に出てイザベラ達の盾になればいけるか!?
ちょっと希望出てきた!
よしさっそく…………顔を上げるとメイスを片手ににこやかにほほ笑むイザベラが目の前に立っていた。
あ、あれ?イザベラさんなしてそんな顔してるんですかね?
え?あれ?声に出てました?
い、いやーびっくりですよねー……。
で、ですよねぇー。自分の力ぐらい把握はあたりまえですよねぇ……
「「…………」」
「あはは「うふふ」」
痛い痛い!!メイスでたたかないでぇ!




