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プロローグ
俺は勇者
勇者ルクス
魔王を討ち、魔王の最後を見届け世界を救うために戦ってきた。
そして、俺は今魔王を倒した。
長い戦いだった、これで世界に平穏が戻る。
疲れで重くなった腰を無理やり浮かせ歩いてゆく。魔王の亡骸を背に、
「ぱぱ?」
小さな声が聞こえた。糸のようにか細く、力のない声が。
「まま?」
再度同じ声が聞こえた。
振り返ると魔王の亡骸のそばに座り話しかけている少女がいた。
「ぱぱ?起きてよ」
健気に話しかけるその少女に目が離せなくなった。
俺はしばらくの間その子を、その子の行動を眺めていた。
その少女は"魔王の子供”なのか
その時オレは振り返り少女に向かって歩いた。
その小さく儚げな女の子を守りたいと思ったのだ、なぜそう思ったのか同情からなのか、魔王を、親を殺してしまったことに対しての責任からなのかは分からなかった。
消えてしまいそうな少女の肩を抱き寄せた。
「今日からは俺がお父さんだ」