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第1話 家族になろう

異世界転生、異世界転移。

結局戻ってくるのはクラスメイト転移なんですね……。

一番書いて楽しかったと思えたので、テンプレ崩して頑張ります。

よろしくお願いします!

「いつっ!?」


 唐突に激痛が走り、反射的に頭を押さえて体を起こす。

 そして、周囲の景色が目に入り、思わず呟いた。


「……ここは……? 僕は何を……」


 その矢先、前者の方はすぐに理解する。

 光が差し込む穴の先には、満点の青空と新緑の木の葉が。また、周りはゴツゴツとした岩で覆われ、薄暗い。

 ここが洞穴だと知るのに、さほど時間は掛からなかった。


「いや、ダメだ……思い、出せない」


 でも、何故こんな所にいるのか。

 僕はさっきまで何をしていたのか、まるで分からない。

 しかも、思い出そうとすると、それを拒むかのように頭痛が増した。


「……外に出るか」


 不安は募るばかりだが、今は無理して思い出す必要は無いかな……。

 めちゃくちゃ痛いし。

 それよりも、次の事を考えた方が良さそうだと判断して、立とうとする。

 でも……。


「んんぅ……」


「え?」


 片腕に重みを感じ、そこから響きの良い幼く可愛らしい声が聴こえた。

 記憶が無い事から状況的に不味さを感じ、ゆっくりと視線を落とすと、そこには幼女がいた。

 ローブの下で銀髪が煌めく、人形のような白い肌の美幼女が。

 って事は、僕はつまり……。


「ロリコンッ!?」


 いや断じて違う、はずだっ!

 まさか僕が人を……ましてや、子供を誘拐するはずが無い!

 と、思ったけど証拠が無い。


 いや、でも……。

 万が一、そんな事をしてたとしたら……。


「よし、警察署に行こう。そして親に引き渡すんだ。これで犯罪に問われるのは勘弁して欲しいけど、それ以上に恥ずかしくて生きていけない。誘拐犯とか、誘拐犯とか誘拐犯とか」


 やったのは、どう考えても僕としか考えられないし、取り敢えず送り届けようと決意し、立ち上がる。


「ううん、私が呼んだの」


 いつの間に起きてたの?

 真っ直ぐにこちらを見つめながら、彼女が爆弾発言を投下させた。


「え、マジ?」


「マジ」


 思わず聞き返してしまったが、どうやら本当のようだ。

 ……よ、良かったー。

 これで誘拐説は消え去ったみたいだ! やったね!

 ……ん? と言う事は、僕はこの子に誘拐されーーるはず無いか。


 そんな考えが、頭の中で浮上するが即座に一蹴する。

 が、しかし。


「私が誘拐した」


 と、ハッキリと告げた。


「……はい?」


「私が誘拐した」


「いや、二回も言わなくても良いから!?」


 ちゃんと聞こえてるから!

 というか、どうしてこうなった!

 僕ってそんなに体弱いの!?

 幼女に攫われる程に貧弱体質なの?

 それとも、幼女に誘われたら付いていくような犯罪臭漂う危険な人だったの!?

 違うよね!? 自分知らないけど、絶対有り得ねぇよっ!?


「じゃあ……わたしの家族になって?」


「どうしてそうなる!?」


 いやマジで。

 誘拐されたと認める訳じゃないけど、どこに攫ってきた相手に、家族になれと頼む奴がいる?

 あれかな? 愛に飢えてるのかな?

 ……うんっ、んな訳無いよな!

 じゃあ、一体何なんだよぉ……。


「ん……じゃあ、これ」


 訳が分からず頭を抱えていると、何かを手の平に乗せて差し出してくる幼女。

 ……何故か、彼女の姿が必死そうに見えてくるんだけど……気のせいだろう。

 ともかくだ。

 表面がツルツルで青白く、濁りのある硬そうな物体。

 でも、このファンタジーチックな形はもしかして……。


「クリスタル……?」


 パッと思い浮かんだのを言ってみたのだが、どうやら当たっていたようだ。

 幼女がコクンと頷いた。


 の割には、透き通って無いけどな!

 まるで中身を失ったのかのように濁ってやがる。


「これ、お母さんがくれたの。困ったら、これで人を呼びなさいって……。きっと、助けてくれるからって」


 言葉が増す毎に、段々と歯切れが悪くなり、元々薄かった明るさが、彼女の表情から消えていく。


「だから……家族になって?」


「……」


 家族になって、か。

 まだ分からない事の方が多いけど、彼女の様子と発言から大凡(おおよそ)は察せた。

 訳アリなのだろう。

 それも、簡単には触れさせて貰えない類の。


「……ダメ……?」


 っ!?


 懇願するように、目に涙を貯めて上目遣いに僕を見る彼女。


 こんな……。

 こんなの……。


「断れる訳が無いじゃないか……!」


「ほ、ほんと……? 本当に?」


 彼女の目が見開かれ、後にホロリと涙が落ちた。


「ああ、安心して。嘘じゃない」


 何故なら、記憶の無い僕には居場所と言える場所が無いから。

 何故なら、最初から断る気は無かったから。

 何より……。


「……っ!」


 涙を、見たくなかったから。


「グスッ……グス……」


 の、はずが、どうしよう。

 言い終わると同時に腹部に弱い衝撃を感じ、見ると僕の服の上から頭を埋めていた。濡れた感触もある。


 でも、まあ……。


「もう、大丈夫」


 そう言って、僕は彼女の頭を優しく撫でた。


最後に僕。

チョロい。



 ---



「落ち着いた?」


「……ん」


 肯定の意思表示……だろうな。

 短く、言葉が発せられた。

 け、けどな……?

 服を摘んだかと思って、顔を向けるとサッと視線を逸らされる。

 何故だ……!?


「ん、恥ずかしい」


「そ、そうなの?」


「男の人と、あんまり喋った事無かったから……」


 あっ、そう来ましたか。


「じゃあ、これから慣れていけば良いんだよ」


「ん」


 ……。

 …………。

 ………………。

 気まずいな、オイ。


「……あ」


 僕の裾を掴む彼女がハッとなると同時に、初めて気付いた。

 名前聞いて無かったわ。

 それに気付いて、口を開く前に。


「名前……教えて?」


 僕、かっこ悪……!

普通こういう時って、歳上から聞くもんだよな。

 でも、こうなったら仕方ないし教えようとしたが、丁度その時、僕には記憶が無い事を思い出す。


「僕は伊織。朝比奈 伊織(あさひないおり


だが、これだけは、すんなりと出てきた。

何も覚えていないと思っていたが、実は覚えてる事はあったみたいだ。


「イオリ? 変わった名前……でも、良い名前」


「……そっか」


初めて言われた褒め言葉が気恥ずかしく、素っ気なく返事をする。


「わたしはイア」


「イア……か。イアも、良い名前じゃないか」


「ん、ホント?」


「ああ、本当だ」


「……やった」


そんなやり取りの末、ガッツポーズと共に、そう小さく呟くイア。

可愛い。


「あ、そういえば。ここがどこなのか聞いてなかったな」


イアを愛でたい気持ちはあるけども、まずは状況を把握しない限り、不安が残る。

記憶が無い分、尚更だ。

まあ、召喚とか言うし、どうせ人目の付かない森の中なんだろうな。


「ん、分かった。ここはーーダンジョン」


甘かったわ、考えが。


「……ここはダンジョン」


「いや分かった! もう十分だ!」


思わず叫んでしまったが、仕方ないか。

だって……ダンジョンだよ? 迷宮なんだよ!?

これが叫ばずにいられるかっ!

畜生! モンスターとかの巣窟じゃねぇかよぉぉぉぉおおおおお!


「でも、安全区」


「……はっ!」


そんな物があったのか!

『エタらないように気を付けます』

この言葉、前から僕の面白くない小説を読んで下さっていた方には、口だけだと思われていると思います。

すいませんでした。


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