戦
僕は剣を手にとり戦う
誰と戦っているのか
何故戦っているのか
そんなことさえ分からずに
僕は剣を振るった
刃に触れるものはなく
淋しく澄んだ空を斬る
虚しさにさえきずかずに
僕の剣は誰も傷つけず
僕は傷ひとつない
人を傷つける恐怖も
傷つけられる痛みも
僕は何も知らずに
戦を避けて生きてきた
怒りを抑え 無理やり笑う
自己を偽り生きてきた
僕はもはや僕ではなかった
虚空を彷徨うその剣で
斬り捨てたのは己の心
僕は僕であることよりも
意思のないこの姿を選んだ
己の心 取り戻したくば
人を傷つける恐怖を知れ
その体、傷つけられる痛みを知れ
今その手で剣を握り
戦え