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砂漠の町ルフィルスタウン7

「なぁ、トモ」

 酒場で何をするでもなく、物思いにふけっているトモにライアは声をかけた。

「あーん?」

 どこか、心あらずといった様子でトモは答えた。頭の中では先ほどまでのユキとの会話が頭の中でループしている。

 しかし、ライアはそんなトモの様子を気にせず、なるべく周りに聞かれないように声のトーンを落としてこっそりとささやく。

「ちょっと面白い噂を聞いたんだがな、徒歩で月が一週するくらいかかる距離に村があったんだ」

「あった……?」

 ライアの、妙にもったいぶった語り口調と村があったという過去形の部分が気になり、トモはライアの方を向いた。

「あぁ”あった”んだ。それが、月が半分になっていた頃に一夜にして滅んでしまったんだがよぉ、それ、お偉いさんの命令だって噂だぜ」

 さも面白そうに、ライアはのどを鳴らして笑った。彼の瞳には、歪んだ好奇心の輝きがあった。トモは、そんなライアを若干羨ましそうに見た。ライアが最後にトモに言うセリフは簡単に予想できる。

「しかも、何かを探すためだけに滅ぼしたらしいぜぇ。この噂が本当だったら、とんだキチガイやろうだ。そうはおもわねぇか?」

「はっ、てめぇが言えた事じゃねぇだろうに」

 あまりに楽しそうに言うライアに、少し口調に棘を含めてトモは答える。

「ライアが俺に言いたいこと、当ててやるよ。どうせ、その滅んだ村の噂の……滅んだ、村?」

 自分で口に出して、引っかかった。ユキのセリフが頭の中でもう一度再生される。

――僕の場合は、仕方なく旅にでたんだ。僕の村は何者かに滅ぼされたから。僕は何とか一命を取り留めたけれど、もう村には住めないからね。しかたなしに旅に出たんだよ。

「滅ぼされた、村?」

 自分で、呟いてみる。そんなトモを訝しげに、しかしそこに何らかの情報を求めてライアが期待のまなざしでトモを見つめ始めた。

「おい、ライア! その村は、お前が聴いた噂ではその村は”滅ぼされた”んだな?」

「あぁ、そうだ」

「お前が気に留めなかった噂ではどうだ?」

 ライアの表情は、完全に勝ち誇った表情をしていた。

 妙にゆっくりとした口調で答える。

「おかしなことを言うねぇ、トモは。オレが気に留めなかったんなら、俺が覚えているはずがなかろうに?」

「俺が言いたいのはそういうことじゃなくて……っ! お前が言いたいのもそういうことじゃねぇんだっけか」

 トモは頭を抱えた。ライアはニヤニヤとした笑いを浮かべてトモを見ている。トモは舌打ちの後に、やっかいなやつだと呟いたがライアは聞こえないフリをした。

「情報を、買う」

「毎度アリ」



 一方、小さな店ではマスターの昔話が始まっていた。

「ワシの娘はな、それはもう美人じゃった。なにせ、町一番の美人のレアちゃんとの間に生まれた子供だったからのぅ」

「あ、結局レアちゃんと結婚したんですか」

「何? その経緯も聞きたいのかね? ふむ、だがそれはまたの機会にしよう。その話も語るにはこの話はちぃとばかし長すぎる」

「ハァ……」

 呆れたような声を出しつつ、内心すごく聴きたいというのがユキの本音だったが、とりあえずその経緯はユキも頭の隅においておくことにした。

「そう、ワシの娘はな、トモの養父……この町の英雄イサクと結婚したのだよ」

 長い、昔話が始まった。

こ…更新!!!!

ゆっくりゆっくりですが、何とか完結させます!

先はものすごーく長い…。

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