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高嶺さんに花束を。  作者: 獣野狐夜
高根麗
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きました。

もう、何年経ったのだろう?


恋雪ちゃんはすっかり大人になって


幸せな人生を送った。



娘が生まれた時は、


まるで自分の事のように喜んだ。


いつもの痛みが和らいだ気がしたの。



もしも叶うなら、生きて見届けたかった。


今でも後悔しているの、私の行動を。


あの時の私を、引っぱたきたいほどに。


でも、もう戻れない。


今更後悔したって、もう遅いのだから。



恋雪ちゃんはすっかり年老いて、シワシワになっていた。


私は時間が止まったまま。


少し羨ましいと思った。


私も、生きていたら


大人になっていたら。



私は、恋雪ちゃんを守っている間に


沢山考え事をした。



悪霊は、成仏が出来なくなった霊だ。


私は死んで、理解した。


絶え間なく続く、神経を逆撫でするような痛み。


確かに、気が狂ってしまう。


人に八つ当たりもしたくなる。



でも私は必死に耐えた。


人に当たる資格は無いもの。


何より、私は幸せだった。


恋雪ちゃんとともに、恋雪ちゃんの人生を見たのだから。


自分の人生は、呆気なく終わっちゃったけど


恋雪ちゃんの人生は、色とりどりだった。


真っ白な私と違って、様々な色で塗られた人生。


自分の事のように、私は嬉しかった。



もしも恋雪ちゃんと出会わなくても


私は結局同じ運命を辿ってたと思う。


でも、違うところもある。



恋雪ちゃんに出会って、私は沢山の初めてを知った。


私は、あの一ヶ月間が


たったひと夏の出来事が


私の全ての人生だったと、そう思えたの。



淡くて甘い思い出。


わたしの、全てだ。



『…麗ちゃん、お待たせ。』



さてと、これで


私はやっと、成仏できる。



「待ってたよ、恋雪ちゃん。」



あの頃のままの私と


あの頃に戻った貴女。



手を重ねて、光を目指す。


その腕には、花束を抱えて。



もう一度、新しい人生を。


楽しかった。


幸せでした。


大切なあなたに、花束を


私だけの、私の大切な


高嶺さんに花束を


贈ります。



大丈夫。「すこしだけ、一緒に消えてしまおう」と考えていた

ある日の君に「ごめんね」と伝えたくて来ました。

君が苦しまないように、悲しまないように生きて

君が傷つかないように、守り抜こうと思います。


だから生きて、幸せになってください。

愛するあなたに、親しきあなたに

花束を贈ります。

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