表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/14

【第二話】俺の最推しがかわいすぎる。

前回のあらすじ


俺は大人気オープンワールドRPGの”雷雨”の世界に転生した。

転生前の俺は存在しないことになってしまった。

そのせいなのか、転生前の記憶はほとんどない。


とりあえず、街を探索してみることにした。

おいしいご飯を食べたり、いい装備を買ったり・・・


装備屋を出ると、なんと俺の最推しである"ミアリナ"がいるではないか・・・

「いらっしゃいませー!」


元気な声、太陽のような笑顔・・・

この笑顔が無料でいいのか、手に持っているオン全部あげたいくらい美しい。


いつもはパソコンの画面越しに見ていた"最推し"のミアリナが、十メートル先にいる現実。

もはや今死んでもいいぐらい、転生して生のミアリナが見れてもう悔いはない・・・


「お兄ちゃん なに止まってるの」


ジト目で見つめてくるアメに話しかけられ意識が戻ってきた。ありがとうアメ・・・


「いや・・・ちょっと花屋に・・・」


「花? あのお兄ちゃんが花? アメにくれるの?」


確かにライは花を買うようなロマンチストなキャラではないが・・・


「うん アメにプレゼント」


「そういうことなら・・・いこっ!!」


花を自分に送る人はそうそういないだろう。

利用してすまないが、"アメにプレゼントする"という理由で購入しよう。


心臓がバクバクしている。もう少しでミアリナと話せると思うと動悸が収まらない・・・

就活中の面接以上に緊張しているかもしれない。


「いらっしゃいませ! よければ一緒にお花選びましょうか?」


俺と目が合った瞬間ニコっと笑う。

まぶしい笑顔に心臓が止まりそうだ・・・

というか・・・かわいすぎる、ちゃんと動いて息をしている・・・。


ミアリナの美しさに倒れそうだ。


「お兄ちゃん!」


ミアリナに見惚れているとアメに背中を強めに叩かれた。


「あの・・・・アメ・・・この子に合う花を・・・ください・・・」


やばい、陰キャが出てしまった。


緊張しているせいか、話す内容が出てこなくて言葉に詰まる。

アメと話すときでさえ緊張したのに、ミアリナを前にしたらもっと話せなくなってしまう。


「彼女さんですか? かわいいですね」


彼女と間違われてしまって少しショックだ。

横にいるアメがすぐに修正してくれた。


「あの 妹です・・・」


ミアリナは"あっ・・・"と気まずそうな声を出してすぐに謝っていたが、

俺の脳内は"ミアリナかわいい"しかない。


「私はアメ で、お兄ちゃんのライ そして精霊のララ!

 お兄ちゃんが私にお花をプレゼントしてくれるの」


「ララって呼んでほしいラ!」


俺が緊張しているのが分かったのか、アメが自己紹介をしてくれた。

こんな兄でごめんな・・・


プレゼントを口実に、ミアリナに会いに来たとか口が裂けても言えない。


「優しいお兄様ですね わたくしはミアリナといいます」


「私 サプライズの方が好きだから、二人で選んでほしいな

 その間ララと町の中ぶらぶらしてるよ」


「おなかすいたラ・・・ 何かおいしいものでも食べるラ♪」


どれだけ空気の読める妹なんだ、読めすぎて怖いくらい。

アメは去り際にドヤ顔でウインクしてきた。


そんなにわかりやすい顔してたのか俺・・・


ミアリナと二人きりになり、心臓が破裂しそうなほどドキドキしている。

ミアリナも少し緊張しているのかなかなか話し出さない。


「えっと・・・ アメって水属性の魔法を使うんだ だから青色の花とかないかな」


「そうですね 青色のお花ですと"ランサン"、"アメリ草"、"ユーク"などがございます」


少しかがんでサイドの髪を耳にかける。

ミアリナの耳は少し赤い。


「ち、ちなみにミアリナのおすすめの花はあるか?」


ミアリナは少し困った表情になり、少しうつむいてしまった。


「わたくしのおすすめは・・・ "マリーナ"という花です・・・」


一輪の真っ白な花を手に取り、どこか悲しげな様子だ。


「そしたら、さっき言った三種類の青色の花と "マリーナ"を頼む」


ミアリナは少しきょとんとした顔でこちらを見ている。


「なんか変なこと言った・・・?」


「あ・・・ いえ 花言葉などあまり気にされないのですか?」


正直この世界の花は、キャラの育成に使う花しか覚えていない・・・。

日本の花ならともかく、異世界の花言葉なんて知るわけがない。


というか・・・


「ミアリナの好きな花を買わないわけにはいかないだろ」


やばい、声に出してしまった。

めちゃくちゃ気持ち悪いセリフを言ってしまった。


引かれてない?穴があったら入りたい・・・


ミアリナはふふっと笑っている。少し頬が赤い。

・・・俺も顔が熱い。


「ち、ちなみに"マリーナ"の花言葉ってなんだ?」


「・・・"マリーナ"の花言葉は"あなたをずっと"ですわ」


「そのあとは?」


「そのあとはないのです これが"マリーナ"の花言葉です。

 なのに・・・"あなたをずっと許さない"や"あなたをずっと恨む"など

 マイナスな方向の花言葉が広まってしまいました

 本当の花言葉を知っている人はごくわずかだと思います」


よく話を聞いてみると"マリーナ"の花は世間からはよく思われておらず、

"不幸の花"とまで呼ばれるようになってしまったのだ。


ミアリナは話しながらでも、手際が良く

さっきまでバラバラだった花たちは一つの花束として生まれ変わった。

水色の薄紙に青い花、そして真っ白な"マリーナ"の花が一本目立っている。


「でもわたくしは、世間から反論されたとしても"マリーナ"の花が大好きです」


花束を抱えたミアリナを日差しが照らしていて、とても美しい。

金髪の髪が日差しで白色になっている。


そんなミアリナに見とれてぼーっとしていると、ミアリナが花束を俺に渡してくれた。


「アメちゃん 喜んでくれるといいですね」


「あ、ああ」


別にかゆくはない頬をかきながら花束を受け取る。


アメを待っている間、時間があったので花屋の奥にある休憩スペースにお邪魔することになった。

休憩スペースはリビングのようになっていてキッチンもある。

二階に行くための階段もリビングにあってお洒落な構造をしている。


二人掛けの木の椅子に座ると

あたたかい紅茶とチョコレートクッキーを出してくれた。


「ミアリナってここのバイトだったんだ 親子で花屋をやってるのかと思っていた」


「ふふ、よく言われます 店長のエリックさんがわたくしを娘のようにかわいがってくれるので・・・とても感謝しています」


お菓子と紅茶を楽しみながら雑談して、すごく幸せな空間。

ゲームではわからなかったミアリナの情報が色々わかってうれしかった。


しばらくすると、町の中を探索しきったアメとくたくたになったララが帰ってきて花屋の入口で俺を呼んでいる。


花束を抱えながら入口に行くとアメは目を輝かせながら嬉しそうに走ってくる。


「わーー! それアメの花!?」


ララは相当疲れたみたいでアメの肩で寝ていたが

アメは逆に心配になるくらい元気だ。


でもこんなに喜んでくれるのはうれしいな。


「この花綺麗でいい香りがする・・・」


「ああ、それは"マリーナ"という花だ

 "俺の一番好きな花"なんだ」


「・・・!」


「へ~! とってもいい香りだし綺麗な花だね」


ミアリナは少し照れ臭そうにしていた。


すっかり外も暗くなってしまったので、俺たちは宿に戻る。


部屋に入り、ベッドにダイブすると眠気が襲ってくる。

今日は緊張しすぎて疲れた・・・・


転生一日目でミアリナに会えると思っていなかったから、心の準備もできていなかったし。


未だ転生したことが信じられず、目を閉じて明日になったら現実に戻るんじゃないかと思ってしまう。

でも今日、ミアリナに会い、たくさん話せて・・・胸がいっぱいだった。


転生生活も案外悪くはないな。

そんなことを思いながら深い眠りへと入っていった。

お読みいただきありがとうございました!

実際に”雷雨”というゲームはありませんが、想像して書くのがすごく楽しいです♪

登場キャラクターもかいてみたり・・・

コメントや星マークお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ