ギフテッド 大暴れ
数は少ないですが、ご覧になっている皆様、ありがとうございます。
どうにか忘れずに投稿しないとなりませんね。
カナタは焦った。少女に付与していた追跡用御守りの反応が消えたのだ。考えられることは2つ、1つは魔法か遮断された場所にいる、それか命を落としたか……。御守りの魔力はある程度強力なので遮断するのは困難、魔法で出来た監獄の様な場所でなければ遮断は不可能、ということは…………。
「カナタ様、どうかなさいました?」
「少女が……命を落とした可能性がある。緊急事態だ」
闇雲に探し回ってもきっと見つからない。カナタは瞑想をして御守りの場所を特定することにした。もし生きていれば……御守りの効果を完全に遮断することは出来ない筈である。
(無事でいてくれ…………)
その時である。御守りを通し凄まじい怒りの感情が逆流したのである。その凄まじさは……カナタの魔力を遥かに超えていた。カナタの意識が遠くなる…………
「カナタ様、カナタ様……」
どれくらい意識が飛んでいたのであろう。ヒナコに起こされた。
「ヒナコ、どれくらい時が経った?」
「20分くらいです。大丈夫ですか?」
「少女の居場所が分かった。港の方だ……惨事になる前に助けに行こう。少女と約束してたしな」
カナタはヒナコを伴ってブレスレットを通じて少女の存在が感じられた場所に向かった。
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「みんな聞いて。私、魔法が使えるの、だからみんなを助けるから! 絶対に!」
シオリの言葉に少女達が反応した。半信半疑の人もいるだろう、そこでユーカの側に立った。魔法が使えることを証明するために……
「ユーカ、いい、今からその傷治すから。目を瞑って」
ユーカは困惑してたが目を瞑った。傷を治す魔法はシオリにとって1番得意な魔法である。詠唱も瞑想も必要ない。手をかざすとユーカの傷が見る見るうちに癒えていく。さすがにそれを目の当たりにした少女達……目に活力が戻った。
「私、初めて見た。そんな魔法…………」
「ね、みんな信じて。私が誘拐犯を叩のめすから(笑)」
シオリは覚悟を決めた。人を殺してしまうかもしれない、という迷いはもうない。
「シオリ、どうやって逃げるの?」
「逃げないわ。この魔法結界を壊して私が外に出る。そして、刃向かって来たものを全員殺すわ」
「殺すって…………」
「だって逃げただけじゃまた捕まっちゃうかも知れないし、他の子も捕まるかもしれない。だから天誅する」
そう話すとシオリは囚われていた少女を1箇所に集める。そして、その上から強力な結界魔法を巡らした。
「みんな、そこから出ないでね(笑)」
シオリは少女達に笑みを浮かべた。もう引き返すことは出来ない……暫し目を瞑り瞑想すると拳を振り上げた〜
「解放せよ!」
その一言で小屋にかかっていた結界魔法が粉々に砕け散った。その様はダイヤモンドダストを見ているかのような美しさであった。
小屋の前に停泊していた中型の船から驚いた覆面のオトコがやってきた……
(イチ、ニ、サン…………たくさんいる。イチもジュウも変わらんか…………)
覆面のオトコは仁王立ちしているシオリに向かってきた。剣や斧を持っている者、杖を振りかざしている者、様々である。手加減など……決して出来ない。
「我に害をなす者は排除する」
向かってくる覆面オトコにそう言葉を投げかけた。初めて人に対して使う攻撃魔法、シオリの心も足も震えていた…………向かってくるオトコに火の玉や氷の刃、雷などが次々落ちる。覆面オトコ達は為す術もなく倒れていく……威力に恐怖し逃げようとしたものにも雷が落ちる。
船は大破し、20を超える覆面オトコがその場で倒れていた…………その光景を目にして、シオリの足の震えも心の震えも止まらない。震えた足に水分が流れる……失禁してしまったのだ。シオリはそのまま暫く呆然としていた。
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(やはり…………)
カナタは少女の気配とたどり海辺まで来ていた。少女が立ち尽くしている。そして、その眼前には無数のオトコの亡骸……いや、
「おい。ヒナコ。倒れているやつを一箇所に集めろ、早く!」
微かに生きている奴やまだ蘇生が間に合う奴もいた。カナタは治癒魔法や蘇生魔法は得意ではない、だかやるしかない。今、少女の心には巨大な暗闇が出来ている事だろう……闇に落ちるのは、避けたい。
カナタは賢明に覆面オトコを治した。蘇生も行ったが、20名のうち6名については手遅れであった〜いや、形があれば蘇生も出来たのだが、体の半分が蒸発してしまっている者もいて、とてもカナタの魔法ではどうにもならない。
処置を済ませると、少女に駆け寄った。腰が抜けたのか座ってべそをかいている。
「シオリといったか……大丈夫か?」
「…………」
「なんだ、せっかくの美人が台無しだ(笑) 私は勇者シルビアが剣カナタという。君の助けになりたい」
明日も投稿予定です(笑)