表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/22

ギフテッド 誘拐事件

こんにちは。


ずっと放ったらかしになってましたね。これ、完結してるので時間ある時に大量投稿予定です。

「カナタ様、そろそろ勘弁してくださいよぉ」


「ダメ! お前詐欺師なんだろ、詐欺師なら詐欺師らしく民衆をあざむけ! でないとまたスラムに送るぞっ」


 カナタは面倒臭そうにヒナコと話を聞いている。ヒナコは帝国領内のスラムで拾ってきた。ロマンス詐欺のエキスパート、要するに嘘が得意、なのでカナタの身代わりとして同行させている。


「だって、そのうち襲撃とかされたら……ここ帝国領内だし」


「その為に御守り渡したんだろ。安心しろ、そもそもカナタと名乗ってる人物を襲撃するやつなどいないだろ」


「ところでカナタ様、見つかったんですか? 何でしたっけ……ギフなんとか……」


「ギフテッドだ。そうだな……候補になる子とは遭遇したよ。とりあえず追跡用の御守りを貼り付けてある」


 カナタは夕方に会った少女を思い出した。齢は12歳前後だろう。明らかに魔力持ちであるが、色々解せない所があった。


「そんなら、早く攫ってノールダムに戻りましょうよ」


「お前な……私らは人攫いじゃねーんだ。人攫いの邪教からギフテッドを守るのが使命、肝に銘じよ!」


 カナタは最近訪れた街々でトコヤミ教という名をよく耳にする。カナタにとっては縁浅からぬ名前、10年ほど前に壊滅させたはずの組織の名前。そのトコヤミ教を名乗る集団は魔力を持つ少女を誘拐して回っているという。


「この街の雰囲気だと確実に居ますね、トコヤミ教。事態が悪化する前にトンズラしたいものです」


「トンズラはせぬ。明日は朝からギフテッド候補の少女のところに行くことにする。だから勇者の仲間役、明日も頑張れよ(笑)」


 ヒナコは呆れ顔で頷いた。



 次の日、カナタは朝から少女の事を調査すべく御守りの反応を追った。たどり着いたのは丘の中腹の集合住宅である。精神を研ぎ澄ますと……脳裏に少女が浮かび、女性と話している……母親なのだろう。そして、母親は笑顔で自宅を出る。


 カナタは尾行を始めたが特別な事は何も起こらなかった。少女は家事を済ませると家を出て教会に向かう〜教会では気配を消して少女に近づいた……教会の神父と親しげに話をしている。それもごく普通の会話である。収穫もなく一度潜伏先の宿に戻った。



「カナタ様、どうでした?」


「今日はごく普通の生活だったな。家では家事をする良い娘、教会で熱心にお祈りをして、たくさんの人から声をかけられ、愛されてる……解せん」


「仕掛けてみたらどうですか?」


「そうだな…………」


 カナタは難しい顔をして考えこんだ。



△△△△△△△△△△△△△△△



 いつもの昼下り、シオリは教会でお祈りをした後、夕飯で使う野菜を共同菜園で収穫していた。カラフルな野菜を収穫していたが、シオリはすぐに異変に気付いた。


(誰かが見ている……)


 シオリの直感が危険を知らせている。魔力を持った2人組……案の定、顔を隠した2人組がシオリに近づいてきて、一人が拘束の魔法を放ってきた。拘束魔法の威力は弱い、シオリの魔力なら難なく抜け出せたが、他に武器があることも、2人以外の敵がいることも考えられる……シオリは抵抗しなかった。


「おい娘、悪いな……これも使命なのでな(笑)」


「大人しくしておけよ。あまり人は殺したくない……」


 そう言うと2人は動けない(ふり)をしているシオリを担いで待機させていた馬車に乗せた。2人は小柄だが男の声がする、そして邪悪な何かを感じる。


(誘拐……か)


 シオリは冷静だった。危害を加える雰囲気はない、シオリは帝国の成人年齢15歳まであと2年ほどあったが、若い女性にどんな価値があるかは理解している。抜け出すことは簡単だが母さんとの約束を破らないとならない。それに変な御守りも貰っている、助けてくれる可能性もあるのでここは素直に捕まっておいたのである。




 馬車はウミドリの声が聞こえる場所で停車した。海が近いのであろう……小屋のようなものがある。2人組はシオリを小屋に押し込む、その小屋には逃亡防止の強力な魔法がかけられているのが分かる。


 そこには数名の少女がいた。同じくらいの年頃の少女が拘束の呪文を解かれずに固まっている。目には大きな恐怖が映っていて話しかけられる雰囲気ではない……


「…………シオリ?」


 1人の少女から声が掛かった。


「ユーカ? なの?」


 ユーカは母さんのクラスの子で、何度か自宅に遊びに来ていた。親しい訳では無い。声をかけるとユーカは泣き出してしまった……かなり抵抗したのだろう、全身が傷だらけである。


 ユーカの他には知り合いはいなかった。ユーカの他にも乱暴された子が何人もいた……冷静だったシオリの心に猛烈な炎が芽生えた〜自身でもそれが実感できる。


「私、我慢の限界……ユーカ、泣かないで。私頭にきた」


(ごめんなさい母さん。私、母さんの言い付け、破ります)


 シオリは目を瞑り両手を合わせて心の中お母さんにお詫びをした。手を合わせたことでまた冷静を取り戻す……そして、目を開けた。

仕事が忙しくなかなか創作時間がありません。


この作品、第一部完結してて、第二部終盤まで作ってあります。完結はさせる予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ