ギフテッド 転移魔法
「カナタ様、まだここに留まるのですか? そろそろ3月になります、新学期間に合わないのでは?」
図書館通いを初めて1週間が経った。共に図書館通いをしているエリンの準備も完了したと聞いている。あとはカナタ様の用事が済めば出発ができる。
「シオリ、あまり心配はするな。そうだ、マークスの謹慎が解除されたそうだ。またお前に会いに行くと言ってたぞ」
どこかはぐらかされている気持ちになる。マークスとは会いたいが〜近いうちに離れ離れになってしまう事を思うと……。
「私、惚れられちゃったのかな(笑)」
「そうかもな(笑) 身分違いの恋は……身分の高いほうがのめり込むからな(笑)」
何を話したらいいか分からず冗談を言ったつもりだが……まさか、マークスが。皇子様が港町の小娘に〜ないない。でも待てよ? 私はどうなの…………マークスのこと
「シオリ、あまり考え込むな。いいじゃないか! 皇子様が初恋とか素敵なことだ その事実だけで良い。未熟な状態から多くを望むと多くを無くすものだ。まあなんだな、シオリには早いな(笑)」
そう、マークスに会って話をして貰えるだけでラッキーなこと。普通は手の届かない皇子様、だから……これが恋? よくわからないけど胸が苦しい。
「そうですね。私、すっごく未熟だと図書館行って感じました。学ぶことが今は大切ですね(笑)」
「そうだ。先にアルカのところに行って修行でもしてるか! その方が気が紛れていいだろ。ちょっと待ってろ、フレッドに許可を取ってくるから」
カナタ様は部屋を皇帝陛下の執務室へ向かってしまった。暫くするとカナタ様が戻ってきた。
「シオリ、転移魔法陣の使用許可が下りた。共和国の首都ミスルまで今から行くとしよう。そこに私の仲間がいるから、そこで色々教えて貰うといい。所詮私は剣士だからな、魔法の事は魔法使いに聞くのがよかろ」
「行くって……そんなあっさり行けちゃったりするものなのですか?」
「だから言ったろ、時間は心配するなと。残念ながらこの城からノールダムに直接は行けないが、ミスルまではものの数秒だ。ミスルからノールダム迄はひとっ飛びで行けるしな」
昨日図書館で読んだ本に転移魔法について記してあった。空間移動が出来る上級魔法である。魔法は万能ではない、空間移動や再生魔法はごく一部のエリート魔法使いしか使えないようだし、食べ物を増やす魔法などは存在しない。飛行の魔法も開発されてないそうだ。
「早く言ってくださいよ! 今すぐ行ってみたいです」
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カナタはシオリを連れて城の地下、以前は牢獄があった場所に向かっている。まさか自分が転移の魔法陣を使うことになるとは思いもしなかった。転移は酔うのでカナタは嫌いだった。
「カナタ様、薄気味悪いところですね……」
「ここはかつての牢獄なんだ。そこを曲がると拷問部屋があるぞ 見てみるか? あるぞ! 痛そうなやつ」
「痛いのいやですっ(笑)」
「そうだよな、おーあったあった」
1つの牢獄の鍵を開けて入るとそこにはうっすら魔法陣のようなものがある。
「これが転移の魔法陣なんだ。転移魔法を使える魔法使いは魔法陣を書いたところに飛べるのだが、私はそこまで魔法に明るくない。だから魔法陣と魔法陣を繋いで使うしかないんだ」
カナタ様の説明によれば、普通は転移魔法を唱えると魔法陣の場所に到着するが、転移魔法か使えなくても転移魔法陣を繋げることでトンネルのように抜けられる、ということであった。
「カナタ様、これって時間はかかるのですか?」
「時間は少しだけかかる。と言っても転位場所との時差くらいの誤差、数秒もない。それより、先に言っておく、最初は空間移動酔いするから気をつけろ」
「はい! カナタ様、早く行きましょう!」
「わかったよ」
カナタ様は魔法陣に触れて魔力を流し込む。煤けていた魔法陣が俄に輝き出した。
「やはり足らんか……シオリ少しだけ、魔力を注いてくれないか、少しだけ! な」
シオリはカナタ様と共に魔法陣の中に入る。そしてシオリは少しだけ、魔力を注いだ…………あら、
体がグニャグニャする感じがする。気持ち悪い……頭の中が混乱し、何かチカチカしたものが見える。数秒? 嘘だ、グニャグニャが止まらない…………一瞬暗くなった。
「シオリ、着いたよ…………やはりダメだよな〜ホレ早く着替えろ(笑)」
シオリはカナタ様から下着とスカートを受け取った。シオリはバッチリお漏らししていたのだ。
「やだー」
「慣れるまでは仕方ないな、というか、私は今でも慣れんがな(笑)、お漏らしだけは治ったが。そこに小屋があろう……トイレだから着替えてこい」
転移した場所は小屋の近く。よく見ると公園のようになっている。シオリはまだ目が回っていたが、フラフラとトイレに入っていった。




