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劫火なパーティ

「お姉さまあれを見て。誰かが家を燃やして、お誕生日のパーティを開いているわ」

「あら本当。とても楽しそうな声が聞こえてくるわ」

「有機物のはかなさが私たちの心をくすぐってる」

「お姉さまの言葉の真意はよくわかりませんわ」

「そう。でもきっとそのはかなさが楽しいのでしょうね」

「家の中からも声が聞こえてきますわ。とっても幸せそうな音よ」

「ふふっ。私にその音を聞くことはできないけれど、きっとその人たちにとってはあそこが桃源郷なんだわ。とっても素敵。お姉さまもそう思わない?」

「ええ、思うわ」

「あの貴金属たちも、光の前では全くの無価値ね。創造と破壊、そのどちらにも属さない宝石なんて、悲しき人の前以外では道端の石ころと同等よ」

「きっと中の人も外の人も、その対比を楽しんでいるのでしょうね」

「きっとそうよ、お姉さま。その対称性の先に、何かが潜んでいるというのは自然の摂理なのだから。あの人たちにとっても、それはそれは愛すべき記憶になるに違いないわ」

「そうね、お姉さま。彼の人たちは宴が終わると役割を変えるの。だってそうしないと不公平だから」

「お互いが愛すべき記憶を共有する。ああ、そうなればきっと、お姉さまと私のような素敵な関係を築くことができるに違いない」

「そんな瞬間を目撃できるのも、愛すべき記憶ね、お姉さま」

「ええ、お姉さま。私たちの桃源郷。それはこの世界ね。創造主には感謝してもしきれないわ」

「崩れていく音。とっても心地よいわ」

「ずっとこの時を見続けていたいけれど、恒常性と幸福は決して相容れないの。賽の河原の石の塔のようにね」

「あれが崩壊するのも、心に響くものがあるわね。ああ、たまらないわ」

「またいつかその様子を見に行きたいわね、お姉さま」

「そうねお姉さま」

「さて。あの人たちも場所を変えるみたいよ。さあ、私たちも帰りましょ、お姉さま」

「ええ、お姉さま。二人だけの家へ」

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