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運命の出会い

ドゴォン!!!と凄まじい音が鳴り響いた。音の方を見るとそこには大きなクマがいた。しかも何か羽生えてるし。なんだアイツ。


なんか殺気立ってる・・・しかもあの傷さっきまで戦闘してたのか・・・


「グガァア!!」


と叫び声を上げながら突進してきた。

あ、ヤバい、殺される。


「うわぁああ!」


俺は反射的に逃げてしまった。

なんで逃げてるんだ、戦うしかないだろう。

しかし、恐怖で足が動かない。


死ぬ、死んでしまう。戦え!戦え!


「戦わないのなら、私がやりますよ。」


そう言って出てきたのは金髪の女性だった。小柄で歳の頃は俺と同じ頃だろうか。

手には剣を持っている。


その女性は剣を抜いた瞬間に姿が消えた。そしてクマの背後に回り羽を切り落とした。


ダメだ逃げるな!戦え!あいつらを見返すんだ・・・このままゴミのまま死ぬな!!


勝ち筋は・・・《複製》は手で触れた状態で10秒前後で複製が完了する。


「お姉さん!10秒稼いでください!」


「分かりました!」


女性はすぐにヘイトを稼ぐ方向にシフトした。


「うおぉぉぉぉ!!!」


全力で走ってクマにしがみつく。


「グオォォォ!!!」


俺を振り下ろそうと暴れるがタイミングよくお姉さんが攻撃をして気を逸らしてくれる。10秒後、無事に複製が完了した。


「行け!」


複製したクマを突進させる。同族だと思って争い始めたところをお姉さんが首を落とした。


「はぁー!勝てたー!」


「すみません、助かりました。」


「いいのいいの!私も助かったし。」


こうして俺たちは出会った。


俺達はとりあえず近くにあった木陰で休むことにした。


そこで自己紹介をする事になったのだが・・・


「私はヒスイ、ソロで冒険者やってるわ。」


「俺はハル。一応冒険者です。」


しかし・・・この人は強いな。さっきの戦いぶりを見る限りかなりの実力者だ。おそらくだがCかBランクくらいはあるんじゃないか? それに比べて俺はEランク。


「じゃあこの魔物の素材一緒に持っていこうか。折半ね。」


「良いんですか?俺ほとんどなんもしてないんですけど・・・」


「君のお陰でトドメさせたんだから当然でしょ!」

その後二人で解体をしてギルドに戻った。受付嬢に報告を済ませると報酬が出た。


その金額は2人で割っても結構な額になった。


どうやらかなり高レベルの魔獣だったみたいだ。新しい固有スキルと彼女のお陰で勝てたけど俺だけだったら死んでたな。


「・・・」


「どうしたの?」


ヒスイさんが俺の顔を覗き込み心配そうに尋ねる。


「いえ、なんでこんな所にあのレベルの魔獣が・・・それにあの傷・・・もしかして余裕こいて痛ぶって逃げられたとかか・・・?」


そう考えると辻妻が合う。

だとしたらヤバい。魔獣の危険性を理解していないのに冒険者しているのか・・・?


「一応ギルドに報告しておきましょうか。」

「そうですね。そうしましょう。」


ヒスイさんと別れ次の日、早速昨日の件を報告した。


受付嬢は少し驚いていたがすぐに冷静になり調査すると言ってくれた。これで少しは改善されるといいんだけどなぁ。


ヒスイさんは今日から別の街で仕事らしい。俺は母さんに相談してから街の外に出るつもりだからここでお別れだ。仲良くなれてよかった。


そんな事を考えながら街を歩いていると後ろから声をかけられた。振り向いた時に横からぶつかられ、ポケットを見ると財布をスられていた。


「んのガキ!!」


追いかけようとしたがもう人混みの中に入っていった。

逃さんぞ・・・財布に付着してる俺の魔力の残滓を辿って追いかける。スラムか・・・あった。あの建物だ。


「見つけたぞ・・・」


「ヒッ!」


建物の中に入るとそこには先程のガキとフードをかぶってる奴がいた。


「待て、その子に手を出すな。」


この女・・・足がねぇな。しかも傷口に碌な手当てしてないから膿んでる・・・


「はぁ、おい女。その怪我したのいつだ?」


「なんの関係が・・・」


「この場で生殺与奪は俺が握ってる。死にたくなきゃ大人しく答えろ。」


「チッ!2ヶ月前だ。」


「君は運がいい。俺の固有スキルは《回帰》。3ヶ月前まで対象物の時間を巻き戻せる。」


そう言って俺は女の足に手をかざす。すると徐々に治っていく。


そして数秒後には完治していた。というか戻った。元通りになった足を触りながら驚愕の顔を浮かべている。


「何が目的だ!」


「別に・・・強いて言うならこの子にもうスリをさせないため。」


「え?」


「運が良かったから生きてるけど俺じゃなくてもっとタチの悪い奴だったら問答無用で奴隷行き、もしくはその場で死刑だ。」


その後、俺は二人を連れて宿に泊まる。


道中、二人は終始警戒していたが特に何も起こらなかった。


部屋に戻ると早速話を切り出した。


ちなみに名前はチビの方がロゼで女の方がルナらしい。


「で、どうしたの?」


「足のことだ。本当にありがとう。」


「だから良いって。」


「これから私たちは孤児院に身を寄せようと思う。」


「あぁ。それが良いよ。あの子のためにもね。」


そう言ってベッドの上で寝息を立てている少女の頭を撫でた。


「この恩は忘れない。いつか困ったら私たちが力になる。」


「それは心強い。」


それからしばらく雑談をした。


俺も仲間欲しいな。


母さんの体調は良くなった、俺が居なくてももう大丈夫だろう。そろそろ旅に出ても良いかもしれない。


翌日、彼女たちは朝早くに出ていった。


「よし、俺も行くか。」


母さんに話をしたら好きに生きろと言ってくれた。


そして俺は今、森にいる。

目的は食料の確保だ。この辺の森には弱い魔獣しかいないから比較的安全だそうだ。


とりあえず近くの川に行って魚でも釣るか。


数時間後、結構な量の魚が取れた。


これくらいあれば十分かな。さて、帰ろうと思った時、目の前の茂みから物音が聞こえた。


・・・何かいるな。


慎重に近づいていくとそこにいたのは一匹のゴブリンだった。


しかし普通の個体とは違う点があった。


それは・・・ デカいのだ。


「《ファイアーボール》」


圧縮したファイアーボールを目に叩き込む。うまいこと潰すことができたみたいだ。よし、あとは火を消して素材を回収して・・・ ん?なんだ? なんか違和感がある。

その正体はすぐに分かった。さっきの魔法で死んだはずのゴブリンが起き上がった。


「嘘だろ・・・」


こうなりゃ確実に首を切り離して殺すしかないか。


そう思い剣を構えようとした瞬間、後ろから悲鳴が聞こえる。


後ろを振り向くとそこには女の子がいた。えぇ・・・?なんでこんなところに・・・?それにゴブリン引き連れてるし。 いや、今はそんなこと考えてる場合じゃないな。


急いで助けないと。


しかし、どうやら間に合いそうにない。


クソっ! もういい!《変換》する!


『今まで集積したエネルギーを変換しますか?』

はいを押し変換する。


何かいいの出てくれ、なるべく攻撃力高いの!


『エネルギーを固有スキル《射出》に変換しました。』


説明を見てみると自身の体から射出できると書いてあった。試しに指を弾いてみると空気の弾が射出されてゴブリンの頭を吹き飛ばした。


うわぁ・・・グロいなぁ。


そんな事を思いつつ女の子に駆け寄る。


しかし、彼女は震えていた。

そりゃそうだよな、あんなもん見たんだから。


落ち着かせるために背中をさする。しばらくして落ち着いたのか話しかけてきた。


てかよく見たらこの子獣人だ。猫耳か?これ。


「初めまして、ワーキャットのラフィです。」


「俺は冒険者のハル。」


それから自己紹介をして少しだけ話した。


なんでも一人で狩りをしに来たらしい。


確かにこの辺りならまだ危険度が低いしね。


「初めての狩りで緊張して・・・」


まあ、初めてだとそうなるよね。


俺だって最初は怖かった。


「そうだ!お礼したいからウチに来てください!!」


「あ、ちょ!力強!」


強引に引っ張られ山奥のワーキャットの集落に連れて行かれた。

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