あとがき ②
物事に真っ直ぐ向き合い受け止めて、決して突き放さず投げ出さない強さと優しさ。
それはひょっとすると…子供であることを手放した代わりに陽葵ちゃんが手にした資質なのかもしれません。
だとしたらそれは喜ばしい事と言うより悲しい事と言ったほうが近い気がします。
陽葵ちゃんは“ママ”の看取りをその最期まで懸命に愛情を込めて行いました。
だからこそ天国での“ママ”は現世での苦しみや悩みや負の感情から解き放たれて慈愛の“人”になれたのではと思います。
しかし残された陽葵ちゃんはプラムガーデンの家にたった一人で…ネグレクトされます。
その主たる当事者の父、康雄さんは…“ママ”の闘病中から陽葵ちゃんの不信を買っていたので…逆に陽葵ちゃんは父からのネグレクトに耐え得ることが出来たのでしょう。
ただそんな哀しい状況の自分自身を陽葵ちゃんが自覚しないわけがなく…学校や塾での友達や街中で見かける親子に羨望のまなざしを向けていたのだと思います。
前作『ぼっちポチ』で陽葵ちゃんはスーパーのお姉さんをナンパして回るのですが、それは…与えてくれる愛が無いのなら、それを求め作り出そうとする…陽葵ちゃんのあまりにも悲しいフロンティアスピリットなのです。
陽葵ちゃんにとって最も悲しい事。
それは拒絶。
前作の中でも、陽葵ちゃんは自分の言動や自分自身を伊麻利さんがどう思っているのかという事にとても敏感に反応します。
そして『不都合な子供たち』の『子供の“幸せ”って? ③』で、伊麻利さんに「人の不幸に首を突っ込む子は大っ嫌い!!」と言われてしまいます。
なるだけ陽葵ちゃんにどっぷりと浸かろうしておりましたので…
この章は、私、本当に辛くて…
陽葵ちゃんが、自分は『不都合な子供』だと思い込み『生きるって気が削がれる』と感じ、伊麻利さんのために一所懸命に作ったオムレツを『いただいた命に申し訳ない』と、ただただ口に運ぶシーンを涙ボロボロで必死に書きました。
なのでただでさえ下手な読みづらい文章がもっともっとガタガタです。
だけれども絵の方は、私の画力以上のものが描けたようで(デッサンは狂いまくりですが)目の表情が心に刺さります。
たぶん陽葵ちゃんにどっぷりと浸っていたから描けたのだと思います。
実は昨日、中学生になってサーフィンを始めた陽葵ちゃん…この物語の冒頭のシーンを描いたのですが、相変らずデッサンガタガタですが…陽葵ちゃんの顔が幸せそうで…涙ぐんでしまいました。
次回に続きます。
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