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【累計PV80万突破!!】出会い系アプリから始まる結婚生活 ~童貞ラブコメ作家が結婚したのが女子高生だった件~  作者: 結乃拓也
3・5章 【 夏休み編終わると思った? まだまだだよ! (8月)  】
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第129話 『 何処までもお供します、ミケ先生! 』

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 ミケは依頼された絵以外にも、趣味で絵を描いている。


「ミケ先生って。本当にずっと絵を描いてますよね」


 今日は作業終了! とペンを置いたミケだが、三十分ほど休憩したところでまた絵を描き始めた。

 そんな冬真の質問に、ミケは絵を描き続けながら答えた。


「あー、もう癖みたいなもんすよ」


 絵描きなんて大体こんなもんす、と言うミケは続けた。


「描いてないと落ち着かないというか、体がムズムズするというか、とにかく、何か描いてないと落ち着かないんす。ハル先生も同じっすよ」

「つ、疲れたりしないんですか?」

「んあ。……あぁ、ぶっちゃけ疲れるっすよ」


 カラカラと笑いながら答えたミケに、金城は言葉が詰まる。

 それならどうして休まないのか、そんな疑問を抱く胸裏を見透かされたようにミケは言った。


「うちらは病気なんすよ。描いてないと落ち着かない病」


 暇な時間があれば描く。ゲームをやるくらいなら描いた方が上達する――自己犠牲、それと似て非なる畏怖を感じて、無意識に拳が握られた。

 これは愚問だ。そう理解して尚、問わずにはいられなかった。


「……ミケ先生は、絵を描くことに後悔はないんですか?」

「微塵もない……とは言い切れないっすかね」


 即答と思いきや予想外の回答を受けて、思わず頬が硬くなった。

 ミケは絵を描くのを止めると、ペンを顎に置いた。


「私、物心つく前から絵を描いてて、そこから今までずっと絵だけを描き続けてきたんすよ。絵は友達、みたいな」

「…………」

「そんなんだから友達はろくにできなかったっす。まぁ、絵を描ける人って珍しいから色んな人から「あれ描いてー!」とか「これ描いて!」とかせがまれましたけど」


 自分の思い出を振り返ってみれば、確かに絵が上手い人にお願いする人たちはいた。


「特段イジメられた経験もなく、かといって注目を浴びた経験もなく、ただ好きな絵を描く。……いやぁ、もう病気に近いな」


 フッ、と自嘲したミケ。


「そーんな、一人ぼっちの人生を送ってていいのかなー、と何度も思ったことがあるっす。友達と一緒に買い物に行ってみたり、お泊りしてみたり」


 そこで一度言葉を区切るミケは、諦観のような、羨望のような感情を瞳に宿していて。


「――誰かを好きになってみたかった……そういう憧れ? みたいなものはありました」

「……ミケ先生」


 彼女の瞳が、ほんのわずかではあるが、寂寥を帯びたように揺ぐ。

 その弱々しい笑みに、どうしてか、冬真の心は寄り添いたいと思ってしまって――。


「な、なら僕としましょうよ!」

「――ほえ?」


 気が付けば、華奢な手を握り締めていた。


「こ、こんな不甲斐なくて頼りない僕ですけど! ミケ先生がしたいことのお手伝いは出来ると思います!」

「は、はぁ……」

「だって僕、ミケ先生のアシスタントですから! ミケ先生のお供ですから! 爆弾持って飛龍に突撃することも勇敢に立ち向かうこともできませんけど……でも! ミケ先生の為ならなんだってやります!」

「女装も?」

「そ、それは……が、頑張ります!」

「冗談すよ」


 顔を真っ赤にして首肯すれば、ミケはケラケラと笑った。

 こんな時でも変わらないミケに辟易としつつ、冬真は真剣な目を向けて続ける。


「頼りないアシスタントですけど、全然こき使ってくれていいです。むしろ嬉しいです。僕は貴方の役に立ちたい。――僕の一番大好きなイラストレーターさんの力になりたいんです!」

「――っ!」


 真っ直ぐに見つめて、想いの全てを吐露すれば、ミケが息を飲んだ。


「……キミは私を過大評価し過ぎっすね」


 ぽつりと、ミケが何か呟いた。けれど、心臓の音のせいでその言葉は聞こえなかった。

 ただ、俯いていた顔には小さな笑みが浮かんでいるように見えて。

 やがて俯いた顔が上がると、ミケは破顔を魅せた。


「なら、今から私と花火大会の取材に行きましょう!」

「え今から⁉」


 驚けば、ミケは「そうっす!」と白い歯を魅せながら頷いた。


「今夜、近くで花火大会があるみたいなんすよ。丁度ネットに浴衣キャラ描いて上げようと思ってたんで、屋台とか花火の構図資料が欲しかったんすよね」


 ミケは一拍息を整えると、微笑みながら問いかけた。


「――頼れるアシスタントくん。私に付いて来てくれますか?」

「――っ!」


 その問いに対する返事は、一つしかなかった。


「はいっ! 何処までもお供します、ミケ先生!」

「にゃは。ありがとうっす」


 強く肯定すれば、ミケは嬉しそうにはにかんだ。

 それから、ミケは「金城くん」と少し照れくさげに名前を呼ぶと、


「……そろそろ、手を離してもらってもいいっすかね」

「手……?」

「流石の私もハズいっす」


 照れるミケに、冬真ははてと小首を傾げた。

 なんの事だろう、と思ってゆるゆると視線を下げると――何故か自分がミケの手を硬く握り締めていた。


「…………」


 数秒思考が停まって、ようやく自分の行為を理解した瞬間。


「すいませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」


 尊敬して止まない女性の人の手を無意識に握り締めていた現実に、冬真は全力で土下座をしたのだった――。


「にゃはは! キミは本当にブレないっすねぇ……にゃははは!」

神企業なミケ先生は対応も神でした。

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