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プロローグ 『 私の運命を変えた告白 』

作者からの一言は、今日という日を迎えられて嬉しさでいっぱいでございます。






 ――「なぁ、お前。俺と結婚しないか?」


 今思えば、なんて最低で最悪なプロポーズなのだろうと思った。


 いや。今じゃなくても、その時も同じく思ったはずだ。


 本人の意思なんて関係ない。ただ利己の為に持ち掛けた告白。


 呆気に取られて、開いた口がうまく塞がらなかったことをよく覚えている。


 ――馬鹿だ。


 心底そう思った。


 だって、自分は偽って、騙そうとしたのだ。最悪、彼が不名誉を負い将来が破滅する可能性だって多分にあった。なのに、それをどうでもいいと言うように、一蹴した。


 ――おかしな人だ。


 どうして、出会って数時間の女にそんな大胆かつ無茶苦茶な事が言えたのか。


 性格が悪くない。なんて初めて会った人間の本性をこの数時間で知ることなんて大抵不可能だ。


 けれど彼はすぐに自分の嘘を見抜いて、さらには呆れもしなかった。


 ――不思議な人。


 何の為に、不利益でしかない自分なんかに告白しただろうか。


 可愛いと言われたのは最初だけで、さらに好意があるアクションすらなかった。一緒にいて心地よさを提供できた覚えもない。だって彼は、ずっと退屈そうにしていて、唯一笑みを見せたのは自分の仕事の話をする瞬間だけだった。


 いったい自分のどこに惹かれたのだろう。


 彼ならば、自分よりもいい相手をすぐに見つけられたはずだ。


 家事ができるか、と質問されて〝はい〟と答えたからだろうか。


 でも家事なんて、自分より上手にできる人は他に山ほどいる。


 包容力がある女性なら、探せばすぐに引っ掛かる。自分は、包容力を提供できるような女ではない。


 ――でも、私でいいのなら。


 彼の思考はその時も、そして今もよく分からない。

 けれど、彼と居れば自分を選んでくれた理由と、こんな卑屈な自分を変えられるような気がしたから。


 ――「なぁ、お前。俺と結婚しないか」


 そんな最低で最悪なプロポーズを――。

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