おまけ
(前世のフィンとアイネ)
勇者のフィオンと他の3人のメンバーの合わせて5人組で旅をしていた時の事。
「アイネ、アイネ!」
キャンプ中、森の中に冒険しに行ったフィオンが満面の笑みで帰ってくると、アイネの傍に脇目も振らずに近寄った。両手を後ろに何かを隠している。
「どうしたの? 今新しい魔法を考えてて忙しいんだけど」
「森で見つけたんだよ!はい、リコの実」
「リコの実?」
「好きだろ?」
「うーん…?」
「……違った?」
「ううん、ありがとう」
目的を果たしフィオンは満足したようで、また森に入っていった。すると二人のやり取りを少し離れたところで見ていたメンバーの一人がアイネに近づく。からかうつもりでいたのにアイネの様子を見てやめる。
「アイネ、変な顔」
「わたしってリコの実好きなの?」
「違うの?」
「食べたことないと思う」
「フィオンの勘違い?」
「うーん…。 フィオンって私の事誰かと勘違いしてるのかな? "誰か"というか…、 "なに"か?」
「どういうこと?」
「たまに、 『今日は飛ぶ訓練をしよう!』みたいなこと言ってくる」
「何それこわっ」
「本当に魔王倒せるのかな?」
「……アイネが絡まなければ?」
(前世の勇者パーティ)
「アイネ、僕の仲間を紹介するよ!左から戦士のディーバ、賢者のパージ、遊び人のリョク」
それぞれ名前を呼ばれた彼らは挨拶をしてくれる。
「アイネです。 田舎でしがない魔法使いしてました。 ディーバさんは戦士、バージさんは賢者、リョクさんは遊び人ですね」
「アハハ!さんなんていらないよ!」と、ディーバが豪快に笑いながら言う。
「そうそう。この人たちけっこう適当だから」と、一番落ち着いて見えるバージ。
「困ったことがあったら俺を頼って! 賢者とか意味わかんないしょ! カッコつけてるけど地図とか読む係だよ」と、リョク。
「遊び人ってどんな仕事なの?」アイネはずっと思っていた疑問をぶつける。
「え、どんな、仕事……?」リョクが困った顔をした。
「仕事……」
「アイネ、遊び人は遊び人だよ」フィオンが真面目な顔で対応する。
「何を遊ぶの?」
「遊べるものならなんでもだよ」
「なんでもって?」
ギャンブルでお金を稼いだり、魔獣の皮を法外に売り捌いたり、綺麗な顔を活かして女の子に貢いでもらったり。エトセトラ。
「……お金が大好きな、ありがたい人なんだ」
無垢なアイネにそのまま答えられない様子をディーバが腹を抱えて爆笑している。流石にアイネは空気を読んでそれ以上聞かなかった。
(今世のフィンとアイネ)
並木道を散歩中の二人。フィンは何かを見つけるとアイネを置いて走ってそれを手に取った。そしてまた急いでアイネの傍に戻ってくる。満面の笑みを浮かべている。
「アイネ、アイネ!」
「フィン、どうしたの?」
「アイネは小さな虫も食べるよね?」
すぐそばをデート中の若いカップルがぎょっとする。
「食べないわよ!」
「そうだっけ…昔は美味しそうに食べてたよね」
「フィン、流石に記憶が混ざりすぎよ!」
「ごめん、喜んでくれたのが嬉しくて、忘れられないんだ」
「とにかくその手に持ってるものは捨てて!」
「わかってる。冗談だよ怒らないでアイネ」
(今世のアイネと弟のアイル)
「ねえ、アイル…フィンって私がいないところでは普通に生活できてるのよね?」
「うん、むしろ成績は優秀だし、跡取りとしても安心されてるって話だよ」
「そう…それならよかった」
「それだけに姉さんの前だけ何であんなに残念なのか不思議なんだ」
「ほんとそうなの」
(フィンとアイル)
「フィン、お前、姉さんのこと大事にしてるんだろうな?」
「当たり前。 心配しすぎ」
「お前は自由すぎるんだよ。 お前が俺を生徒会長にするように仕組んだってわかってるんだからな」
「ごめんごめん義弟よ」
「ちがう!義兄だ!!敬え!!」
「優等生のアイルはどこ行った?」
「うるさい!」
「そうだ姉さんのこと子鳥ちゃんって呼ぶのやめろよ気持ち悪い」
「でもアイネって鳥っぽい時あるだろ?」
「あるけど本人は気づいてないんだよ」
「いやそろそろ自覚を促すべきか悩んでる」
「なんでだよ」
「鳥のつもりで階段5段目くらいからたまにジャンプしようとする」
「あー…」