霊感中年中岡真由香の事件簿?(6)
真由香「お読み下さい読者様! 宜しくお願い致します!<(_ _*)>」
おー! 腹を括ったね。
真由香「あたしの不甲斐ない姿が晒されてあるのに! 読んでくれる読者様が少ない! 何か……悔しいっ!」
良かったよ。それでこそ真由香さんだよ(^-^)
では、改めて、お読み下さい読者様。宜しくお願い致します!<(_ _*)>
「で、でも、ふーちゃんはここにいるのに、あのスポーツカーの上にもいたの? ……お師匠様。そんなことってあり得るんですか?」
真由香は理解が及ばず師匠であるユナに尋ねる。
「風雅さんは原因不明の大病を得て、何度も死の淵まで行ったにも関わらず、後遺症は残ったとは言え、こうして生き延びたのです。普通の人なら多分助からなかった……」
ユナの目はどこかここではない場所を視ているようだ。
「風雅さんはとても生命力や『気』の強い方なのでしょう。今回は具合が悪かったから、無意識にご自分の作り出したキャラクターと混ざった状態で生き霊を飛ばしてしまった。そして――」
ユナは真由香を、じろりと睨んだ。
「不用意な言葉を発して、真剣に物語を書いている風雅さんの気持ちを蔑ろにしてしまった中岡さんに対して、燻っていた怒りの感情が、風雅さんのキャラクターとしての形で現れてしまった。と言うところでしょう」
暫し真由香に非難するような、残念ものを見るような眼差しを向けるユナ。
「では、風雅さん。今から貴女を体に戻します。ですが、無意識とは言え二体の生き霊を飛ばしてしまった貴女は、暫く具合が悪いままだと思います。何故、風雅さんが生き霊を飛ばしてしまったのかは解りませんが……心当たりは具合が悪かったということだけですか?」
ユナの問いに考えを巡らせる風雅だが、具合が悪く、真昼なのに気を失うように眠って、気がついたら昔働いていた仕事場にいたとのことだ。が――
「あ! もしかしたら、物語の骨格やキャラクターの性格や設定を考えている途中だったからかも……『みーちゃん』と呼ばれるキャラクターは本屋で働いている設定にしましたから」
とは言うものの、それでも心当たりとしては弱いそうだ。
何しろ風雅は物語を考えているとき、真由香のことなぞ頭の片隅にもなかったのだから。
「それでは風雅さんの『力』……あ、霊力ではなく、思い込みの力……いえ、少しニュアンスが違いますね……そうですね。強い想像が作用した結果……そして、ご自分をモデルにしたキャラクターだったから、昔働いていた仕事場に魂だけ来てしまった……のでしょう」
それは、ユナにしては歯切れが悪い物言いだった。
(人の心は自分自身のものでも御しがたい。不調、生命力の強さ、『気』の強さ、更にはアマチュアとは言え創作者としての情熱。それら全てが合わさって起きてしまった現象……としか私も理解出来ません。ご本人もこの事態が最初は夢だと思っていた訳ですし……この世には、化学的にも理論的にも説明のつかない事象があるものなのですから……今回のことは『そういうこともあるのだ』と……それで納得するしかありませんね)
ユナとて万能ではない。自身もまだまだ修行の最中にいるのだと思っている。
「では……今度こそ風雅さんを体へと返しますね」
ユナは着物の袖口から数珠を出し、何やら口の中でお経のようなものを唱えながら、風雅の額に片手を当てた。
すると――風雅の姿が空気に溶けるが如くに少しずつ少しずつ薄くなって行く。
真由香は2人の会話を全て聞いてはいたが、それでも理解が及ばなかった。
やがて――風雅の姿が完全に消え去り、ユナがお経のような何かを唱え終わると、ゆっくりと真由香の方へと顔を向けた。
「さて……中岡さん。風雅さんはお昼頃から以前勤めていた仕事場にいたのですね? どうして、電話してでも私に繋がなかったのですか!? 異常事態ならば私は解るから、おかしなことがあったら連絡して下さいと言ったでしょう!」
そうなのだ。真由香はすっかり忘れていたが、確かに師匠であるユナにそう言い含めてられていた。
「……そして、今私達が話していたことも今一理解出来ていませんね?」
「……」
……黙るしかない真由香であった。
十
その後――真由香は師匠
からガッツリお説教を食らった。
「中岡さんは、今、仕事場で上司と部下から板挟みの状況にあります。それは中岡さんの運命です。けれど、運命は自力で変えられるものです! その為に修行をしているのに、貴女ときたら『般若心経』も覚えていない! あれはちゃんと写経して、覚えようと思えば3ヶ月もあれば覚えられるものですよ!」
真由香が師匠であるユナの弟子になって半年。そろそろ全ては無理でも半分くらいは覚えていなければならない頃合いだ。
しかし、真由香は一行も覚えていない。
「以前、風雅さんがここへ相談に来られたとき、『般若心経』について質問されました。『亡くなった叔父の為に3ヶ月間毎日写経を続けて唱えられるようになったけれど、イントネーションは合っていますか?』 と」
「えっ!?」
まさか風雅が『般若心経』を唱えられるとは……しかも、3ヶ月も毎日写経をしたとは思いもよらなかった真由香である。
「……それから中岡さんは最後まで気づいていませんでしたね。今までここにいた風雅さんが生き霊ではなく意識体だったことに……」
「……意識体?」
師匠が言っているのは、『意識の一部を飛ばす』ということだが、これも今一ピンと来ない真由香である。
「……とにかくまずは毎日写経を続けて下さい。風雅さんのように……」
「――で、でもふーちゃんは仕事してなくて無職なんですよ! あたしは仕事があって――」
「風雅さんが! 以前私のところへ相談に来られたのは三年前です。今より身体が回復していない頃ですよ!」
そう言われてしまっては、ぐぅの音も出ない。
「私も仕事をしながら人様の相談を受けられるまでの修行をしました。条件は中岡さんと同じです。出来ないとは言わせませんよ?」
「ふぅ~」とユナは深くため息をついた。
「中岡さんが、自分でやる気を起こさなければ、現在の状況も自身の弱さも、何も変わりません。忙しい。余裕がない。その状況から抜け出したいのなら、やる気を起こして下さい。余裕のなさを言い訳にしないで……」
最後に……いつまで経ってもやる気を出さない弟子に対してユナは「ふぅ~~」と深く深くため息をついたのだった。
真由香「お読み頂きありがとうございます! あたしの無知で不甲斐ない姿、とくとご覧くださいましたでしょうか! 次話は明日の朝に投稿となります。宜しくお願い致します!<(_ _*)>」
すっかり開き直ったなあ……それでこそ真由香さんだね。
真由香「ブクマ大歓迎! ポイントもお願いします! ミズモリの予定ですとシリーズ化するつもりです。ただし、別作品を書いてる途中でもありますので。次の話はいつ投稿されるのかは解りません! でも! あたしの修行時代をしっっかり書いて行くので。今回のエピソードがあたしの一番無知で不甲斐ない姿となるでしょう。これからも、宜しくお願い致します!<(_ _*)>」
真由香さんも腹を括ったし、是非とも最後まで読んであげて下さい!次話も宜しくお願い致します!<(_ _*)>