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霊感中年中岡真由香の事件簿?  作者: ミズモリ
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霊感中年中岡真由香の事件簿?(5)

真由香「あ、あたしの超情けない姿が、また晒されるぅぅぅ~(´TωT`)」


 観念したのにまた泣いてるのか……往生際の悪い(^_^;)


 そんな主役はほっといて、お読み下さい。宜しくお願い致します<(_ _*)>


真由香「よ、宜しく、お願い、いた、し、ます(絞り出すように)」


 ぶつ切りで話すのやめてよ( ̄▽ ̄;)


「お師匠様!」


 真由香の車へと向かって来る、師匠ユナの姿を見つけた真由香は、思わずドアを開けて外へと飛び出ていた。


「ダメですよ。中岡さん。『隣にいる方を下手に刺激しないで下さい』と言ったでしょう? いきなり飛び出て来たりして……驚かせてしまったらどうするんですか?」


 やんわりと怒られてしまった。


「……はい」


 項垂れる真由香。

 

「どうにも、余裕がありませんね。気持ちは分かりますが、もう少し心を落ちつけて余裕を持つように。と言ったはずですが……それに、写経100枚書いて下さい。と、お願いしていたのに、まだ、1枚も書けていないみたいですね」


 真由香はとにかく黙って項垂れるしか出来ない。


「……では、まず――」


 料亭の一人娘な真由香の師匠ユナは、お店の制服でもある藍色の着物姿。 

 

 一回り近く年上の真由香よりもずっと落ち着きがあって、口調にも所作にも余裕が感じられる。


「真由香さんの車の助手席にいる方は間違いなく『風雅(ふうが)』さんですね」


 と、ユナはあっさり言ってのけた。


「直接()てすぐに解りましたよ。姿は違っても、間違いなく風雅さんです」

「ええっ!?」


 真由香は顔を上げ車の助手席で、ぐったりしているみーちゃんを見る。


「えぇー……??」


 混乱する真由香。どう見ても、彼女は若い頃のみーちゃんだ。


「ふぅ……私も何故、風雅さんがこんな状態になっているのかは解りません」


 チラリと真由香を見て師匠であるユナは、軽いため息をついて言った。


「ご本人に聞いてみましょう」


 こともなげに言ってから、車の助手席側へと歩いて行く。


 真由香は車のキーを操って、助手席の窓を開ける。


 と――


「ん……あ? あ、ユナさん!」


 目を閉じていたみーちゃんが、窓から車内に入る生暖かい空気に気づき目を開ける。


「『風雅』さん。ご無沙汰しています。今、ご自分がどのような状況に陥っているか理解出来ますか?」


 ユナは優しい口調で問い掛ける。


「あ……は、はい。今、なんとなく理解しました……ユナさん。ありがとうございます」


 と、答えたみーちゃんの姿に変わりはないが、真由香の方に変化があった。


「――あ、あ、あー!? ふーちゃん!? え? あれ? あ、あたしどうしてふーちゃんをみーちゃんだなんて思ってたの? と言うか『みーちゃん』って誰!?」


 混乱する真由香。


「落ちついて下さい。中岡さん」


 たしなめるようなユナの声で、真由香の混乱が少しだけ収まる。が、未だ頭の中には『?』マークが渦巻いている。


(風雅……ふーちゃんよね? 間違なく。よね?)


 自分の車の中にいる友人は、学生時代からの友人『風雅』こと『ふーちゃん』だった。


「では風雅さん。今の状況を理解出来ている部分だけで構いませんから、私達に説明してくれますか?」


 ゆったりと話すユナの声。


(う~。あたしもお師匠様みたいに、落ちついて話せたらなあ)


 一回り近く年下なのに、何故にここまで違うのか。


 自分が単に年齢を重ねて来た()()。のように思えて情けなくなる真由香。


「ええと……」


 そんな真由香には気づかずに、

風雅は語り出した……。



「お恥ずかしいんですが、私、趣味で小説を書いていまして……」


 風雅が小説を書いていることは真由香も知っている。


(でも、趣味だっけなあ? プロ志望じゃなかったかなあ?)


 等と考える真由香を他所に風雅の話は続いて行く。


「私……半年ぶりくらいに、とても具合が悪くなったんです」


 真由香はその言葉を聞いて微かに青ざめる。やはり入院して集中治療室にいるのだろうか? と。


「でも、それは定期的に来るバイオリズム低下時期と他の要素が重なっただけで、今の私は自宅で眠っているはずです」


 が、そうではなかった。


(じゃあ、何故?)


 何故、昔の若い姿で生き霊になってここにいるのか?


「私は最初、夢を見ているんだと思いました。夢の中独特の、自分の意思ではどうにもならない感じだったんで、そう思ってたんです。私は、自分の意思とは関係なく話したり動いたりしてるし……」


 小さな声だが、風雅はゆっくりと話して行く。


「まーちゃ……いえ、真由香も私のことを、私が考えていた小説のキャラクターの名前で呼ぶし……そのキャラクターは友人から『みーちゃん』と呼ばれている設定で……私は病気になる前の若い姿だし……。あ、そのキャラクターは私がモデルです。もし私が病気になっていなかったら……と言うところから想像を膨らませて作り出したキャラクターなんです」


 風雅は本当に恥ずかしそうに俯いた。


 無理もない。風雅が小説を書いていることは、学生時代からの親しい友人と、両親と従姉妹の1人だけと真由香は聞いている。


 風雅は病気の後遺症で目を悪くしているので、真由香は時々、誤字脱字等がないか下読みをして欲しい。と頼まれるが、一度も読んだことはない。


(浜ちゃんと松ちゃんが、少しだけ読んでたわよね。確かその作品で何かのコンテストに挑戦して、一次選考に通ったって聞いた覚えがあるわ)


 それは真由香の勘違いだ。一次選考に残ったのは、全く別の作品である。


「今の私の状態は、自分が考えたキャラクターと私自身が混じっているような感じだと思います」 


 ユナは風雅の説明を聞いて、何やら納得したのか頷いている。


 真由香は今一理解が及ばない。


(自分が考えたキャラクターと混じる? 意味が……?)


 おそらくこの辺りは感覚で理解しなければならないのだろうが、想像力が足りない真由香では、理解は難しいだろう。


「ごめん。まーちゃん。ここに来るまでに酔っ払いのスポーツカーとニアミスしそうになったよね。多分、あれも私の生き霊の所為だと思う」

「へ!?」  


 思わず素っ頓狂な声を出してしまった。


「で、でもふーちゃんあたしの隣にいたわよね?」


 風雅は黙って頷き、説明を続けた。


「スポーツカーのボンネットにいたのは、私のキャラクターの一人で『女魔術師』さん。彼女が出てく来る中編作品は、大分前にまーちゃんに下読みをお願いしたけど断られちゃったよね。私は今、自分が作り出したキャラクターと混ざってるから、『女魔術師』さんとも混ざって出て来たんだと思う」


 風雅は下読みを頼んだ真由香に、『忙しい。そんなことやってる時間ない』と返されて、少なからず馬鹿にされたと感じたようだ。


 ユナには『趣味で小説を書いている』と言った風雅だが、本当は本気でプロを目指している。


 それを『そんなこと』と言われ、少しばかり怒りを覚えたらしい。


 しかし、学生時代からの長い付き合いなので、真由香が就職してから、いつも余裕がないことを知っている。だから断られるのは予想していたのだ。なので『やはり無理だったか』と落胆し、怒りはすぐに消えたはずだった。


 風雅は内容を真面目に読むのではなく、誤字脱字がないかだけでもお願いしたいと言ったのだ。

 

 長編ではなく中編作品だったのだので、普通に『忙しくて時間がない』と返せば良いものを真由香は『そんなこと』と言葉を入れて返した。


 真由香に取っては、『忙しいのにそんなことを頼んで来るな』と言う気持ちだったのだろう。


 だが、そのとき風雅は怒らず『忙しいのにごめんね』と返したはずだが、無意識に心の奥底では怒りの感情が残り、(くすぶ)っていたらしい……。


真由香「お、お読み、頂き、あ、りがとう、ござい、ます<(_ _*)>」


 まだ、ぶつ切りで話すし(-ω-;)


真由香「次、話、も、宜しく、お願、い、致し、ます……ずびっ(*T^T)」


 いい歳して泣かないでよ(;´д`)


真由香「良かった、ら、ポイント、と、ぶ、ブクマ、もお願い致します!<(_ _*)>(苦しげに)」


 えー、こんな主役の為にポイント、ブクマ、本当にお願い致します<(_ _*)>


真由香「ぶ、ブクマ……っ! あぁっ! う、嬉しいはずなのに……っ! あぁあぁぁ~っ!(頭抱えてる)」


 ……えー、葛藤している主役はおいといて、次話も宜しくお願い致します<(_ _*)>

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― 新着の感想 ―
[良い点] 病気にならなかったという仮定でのキャラ投影、いいですね。小説のあるべき姿ですね。
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