霊感中年中岡真由香の事件簿?(3)
真由香「またまたまた、真由香でーす! 読者様宜しくお願い致します!<(_ _*)>」
五
「まーちゃん! ごめーん! 車のタイヤがパンクしちゃったみたいでさあ。私は明日休みだから、自宅近くのガソリンスタンドにでも連絡して、タイヤ持って家族にここまで連れて来て貰うから、帰り。乗せて行ってくれない?」
従業員専用の駐車場で声を掛けて来たのは本屋部門の友人である。
時刻は陽が落ちたばかり、空には星と月の姿が見て取れる。
駐車場には友人と自分以外誰もいない。
電信柱に取り付けられた灯が一つ申し訳程度に辺りを照らし出している。
「……うん。いいよ。あ、途中でお師匠様のお店に寄るけど、いいよね?」
真由香は思い切って、言ってみる。
「うん。いいよ。私もユナさんに会いたいと思っ――あ、でも、私は行っちゃダメじゃない? ユナさんに会ったら絶対、悩みとか相談しちゃうよ」
友人は不安そうな表情になる。
「大丈夫。あたしはお師匠様の弟子なんだから、少しくらいは融通が効くわよ。って、言うか、あたしじゃ相談に乗れない?」
真由香の言葉に友人は微妙な表情になった。
「……まーちゃん。友人と言えどさ。人様の相談受けていいってユナさんに許可貰ってる?」
「……」
これには真由香も黙るしかない。
心霊系。超常現象系の相談を受けていいとは言われていない。
真由香には、まだまだ経験も知識も修行も足りない。
「……そ、そうだね。あたしは、まだ、相談受けていいって言われてないね……えーと、じゃあ、乗ってくれる?」
真由香は車のキーを操作してロックを解除する。
「ありがとう。まーちゃん」
友人はあっさりと助手席に乗って来た。
「ええと……じゃあ、行くね」
真由香は隣に座る友人を、チラリと見てエンジンを掛ける。
真由香の運転でゆっくりと車が動き出す。
(えーと、どうしようかなあ?)
助手席に座る友人を気にしつつ、真由香は車を走らせる。
「あ、そうだ!」
友人が突然声を上げた。
「ど、どうしたの?」
急に大きな声を出されたので、内心動揺したものの、出来る限りそれを表に出さないようにする。
「既読付いてるよ!」
(既読……?)
一瞬何を言われたのか理解出来なかったが、すぐに思い出す。
「みーちゃんから既読付いたの!?」
真由香は驚いて問うが。
「みーちゃんが見たのかどうかは解らないよ。松ちゃんか浜ちゃんかも知れない」
つまり、既読は付いたが誰が見たのか解らないようだ。
(そうだった。L○NEグループアカウントは誰が見たのかは分からないんだったわね……)
真由香は己の失敗に気づいた。
グループL○NEではなく、個人アカウントの方にも連絡を入れておけば良かったと。
(みーちゃんとあたしの個人アカウントがあるんだったわ)
と言うか、学生時代の友人達とはみんな個々でもアカウントを繋いでいる。
(いつもグループL○NEしか使わなかったから、忘れていたわ……)
真由香は己のポカを悔やみながら、赤信号に気づいて、思い切りブレーキを踏んだ。
――ギキッ!!
「わ! 怖い!! まーちゃん運転下手になったの? 元から上手い訳じゃなかったけど」
友人が助手席そのものにも掴まって、怯えた声で言った。
「あ、ごめんね」
と謝罪するものの、真由香は歯噛みしながら思う。
(誰の所為だと思ってるのよ!)
それでも、友人――みーちゃんには罪はない。
おそらく無自覚でここにいるのだろう。
(それにしても……)
うどん屋でうどんを食べているときも、途中までは気づかなかった。
(みーちゃん。どうしてここにいるの?)
六
真由香が『あれ』が多い。と言い出したときまで本気で気づかなかった。
(みーちゃんは怖い話。そんなに嫌いじゃないのに……なんであんなに恐がるんだろう? って考えたところで漸く気づいたわ)
怖い話が苦手なのは浜ちゃんだ。
それに、グループL○NEの人数を見て確信した。
真由香。みーちゃん。松ちゃん。浜ちゃん。
グループL○NEのメンバーの数は四人。
(ならば、目の前の友人は誰なのか?)
真由香が疑問に思った瞬間、目の前にいる友人が、病気になる前に本屋部門で働いていた昔のみーちゃんだと理解した。
(多分、生き霊……)
何故なら駐車場で見たみーちゃんには影がなかった。
(でも、こんなにはっきり、しかも若い頃の姿で現れるなんて……もしかして――無自覚に相当な生命力使ってるんじゃないの!?)
そう自覚したとたん、真由香はとんでもない焦燥感に駆られた。
(あ、あたし何やってんの! みーちゃんは原因不明の病気だったじゃない! もしかしたら、今、また、病院の集中治療室にいてもおかしくないのに!)
赤信号が青に変わる。
真由香は素早く左右を見て車を発進させる。
(もうすぐ。もう少しでお師匠様のお店に着く)
真由香の師匠は、とある料亭の一人娘だ。
その料亭の一室で心霊相談等を受けている。
「みーちゃん! お師匠様に電話して!」
真由香は思わず叫んだ。
(しまった!)
と、思ってももう遅い。
が――
「わ、私が電話していいの? 私はL○NEしか許可されてないよ? よっぽどのことがない限り――」
みーちゃんは躊躇している。
(あー! そうだった! 本人に自覚ないんだった! ……いや、けど、ここで自覚持たせてしまっていいのかな?)
真由香には判断がつかない。
「と、とにかく、お師匠様のところへ急ぐからっ!」
気持ちスピードを上げたながら、真由香は無言で車を走らせる。
「……えーと、ちょっとスピード上げすぎじゃないのかなあ?」
みーちゃんが不安げに真由香に問う。
おそらく他意はない。単純にスピードが上がって怖いだけなのだろう。
「大丈夫! 気を付ける! それよりみーちゃんは今どんな調子?」
真由香はさりげなく(のつもりで)問う。
「え、えーと、スピード上がって怖いかなあ? だってまーちゃんオートマ免許しか持ってないし……」
「今はオートマ車が当たり前なのよ」
「あー……そう言えば何かで聞いたなあ。最近はミッションは乗る人が減ってるとかなんとか……」
「そうなのよ。だから心配しなくて大丈夫!」
「ど、どこが『だから』なんだろう?」
真由香の師匠の店まであと信号一つ分。
が――
――パパパーッ!!
二車線道路の左側から、スポーツカーがクラクションを鳴らしながら追い上げて来る。
(走り屋!?)
直感的に真由香は思ったが。
「うわー。多分、酔っ払いだよ。あの走り方」
と、みーちゃんがサイドミラーを見ながら、嫌そうな表情で言った。
「酔っ払い? なの?」
真由香がバックミラーを見ると、確かに、スピードは早いものの、妙に不安定な走り方をしている。
「早くやり過ごそうよ。あれ、近づいたら危ないよ?」
みーちゃんは眉根を潜ませ、とにかくあのスポーツカーには係わりたくない。と言いたげな表情をしている。
(まさか、これって……お師匠様のところへ行かせない為の妨害?)
真由香は、チラリとみーちゃんを見てから、その考えを頭から振り払った。
真由香「お読み頂きありがとうございます! 次話は……明日出るかなあ(・・;) えーと、まだ、連載続きますのでブクマポイント宜しくお願い致しまーす!<(_ _*)>」