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17話:原子炉建屋の爆発と2012年の出来事

 水位低下で核燃料が露出して溶融する恐れが出たため、13時12分から3号機の原子炉に海水の注入を始めた。13時52分に第一原発の周辺でこれまでで最も多い1.5575ミリシーベルト/時を観測したが、2時42分に0.1841ミリシーベルト/時に低下した。


 枝野官房長官は午後の記者会見で、「爆発的なことが万一生じても、避難している周辺の皆さんに影響を及ぼす状況は生じない」と述べた。しかし、1号機と3号機は依然として十分な水位が確保できず、燃料が露出した状態になっており、海水注入後も水位に大きな変化が見られない。


 2011年3月14日1時10分、汲み上げ場所の海水が少なくなったため、1号機と3号機への海水の注水を停止した。7時50分、3号機の「冷却機能喪失」により、原子力災害対策特別措置法第15条に基づく特定事象の通報を行った。


11時1分に3号機の建屋が爆発し、大量の煙が上がった。この煙は灰褐色で、1号機のものと比べるとより高くまで上がり、炎が上がる様子も見られた。


 枝野官房長官は1号機と同様の水素ガス爆発であると発表。この爆発で建屋は骨組だけになり、作業をしていた東京電力と協力企業の作業員、および自衛隊員の合わせて11人が怪我をした。


 このうち重傷を負った東京電力の作業員1人は被曝した。さらに、3月27日付の英テレグラフ電子版では、3号機が爆発した時現場に居合わせた陸上自衛隊中央特殊武器防護隊の6人が、爆発に巻き込まれ死亡していたと報じている。


「ただし3月28日現在の政府広報発表では、この事故によって死者が出たとの報告はない」。この爆発を受け、原子力安全・保安院は原発周辺20km以内に残っていた住民600人に屋内退避を勧告した。


 枝野官房長官は、「原子炉格納容器の堅牢性は確保されており放射性物質が大量に飛散している可能性は低い」と発言。アメリカ海軍第7艦隊は、震災の救援のために三陸沖に展開していた原子力空母ロナルド・レーガン所属のヘリコプター作業員17人から低レベルの放射能を検知したと発表。


 同空母は福島原発の北東160kmほどを航行していたが、この汚染を受け、発電所の風下から移動した。13時25分、それまで安定していた2号機でも原子炉内部に冷却水を送り込むことができなくなった。


 そのため、「冷却機能喪失」として原子力災害対策特別措置法第1条に基づく特定事象の通報を行った。これにより2号機の原子炉の水位が下がったため、16時34分より海水の注水による冷却が開始された。


 19時45分、2号機の冷却水が大幅に減少し、燃料棒がすべて露出した。14日夕方より海水注入を行っていたが、ポンプの燃料が切れて注入できなくなっていた。東京電力は20時頃から再び海水注入を開始し、次第に水位は回復した。


 21時37分、福島第一原発の正門付近でこれまでの最高となる3.13ミリシーベルト/時の放射線を観測。22時7分、福島第一原発の10km南に設置されていた放射能のモニタリングポストで、通常の260倍にあたる966マイクロシーベルト/時の放射線量が観測された。


 22時、福島第二原発のモニタリングポストMP―4にて通常「約0.04から0.03マイクロシーベルト/時」を超える放射線量を観測され始め、3.84マイクロシーベルト/時の放射線量を観測。


 23時39分、2号機の「原子炉格納容器圧力異常上昇」により、原子力災害対策特別措置法第15条に基づく特定事象の通報を行った。23時50分、福島第二原発のモニタリングポストMP―4にて大規模な放射線量の上昇が確認され始め28.1マイクロシーベルト/時の放射線量を観測。


 3月14日、東北電力三居沢発電所「水力発電所、最大認可出力1000kw」が設備点検を終え、被災発電所としては始めて営業運転を再開。絶望的だった東北南部太平洋岸地方の送電再開に一歩前進する。


 なお、その後3月14日、関東の一部で1時間余りの「計画停電」が実施された。また、現在も福島、第一原子炉の汚染水、浄化後も基準2万倍の放射性物質が大問題として残っている。

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