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16話:福島第一原発がやばい

 午後、アメリカ軍のヘリコプターで真水を大量輸送することが可能か東京電力から駐日アメリカ合衆国大使館への要請が行われる。14時12分、原子力安全・保安院は、福島第一原子力発電所の1号機周辺でセシウムが検出され核燃料の一部が溶け出た可能性があると発表した。


 15時29分、敷地内モニタリングポストにて毎時1015マイクロシーベルトの放射線が観測される。このモニタリングポストは、飯舘村の方向にあった。なお、東京電力から公表されたのは、3桁小さい原発正門付近での線量「15時半、毎時5.5マイクロシーベルト」であった。


 敷地内モニタリングポストの毎時1015マイクロシーベルトの値は公表が遅れた。15時36分、1号炉原子炉建屋で水素ガス爆発が発生。白い煙が確認され、東京電力社員2名、協力会社の社員2名が負傷した。


 なお、時間は前後するが、3時33分、2号機の非常用炉心冷却装置の原子炉隔離時冷却系「RCIC系」ポンプが作動していたことが確認された。19時55分、1号機の海水注入について内閣総理大臣が指示を出した。


 20時20分から1号機へ消火系からの海水注入が開始されたが22時15分に発生した地震により一時中断された。21時前に行われた枝野官房長官の記者会見では、15時36分の爆発について説明が始まった。


 爆発は、冷却機能を失った原子炉内において燃料被覆管を構成するジルコニウムと水蒸気との高温下での反応を由来とした水素を含んだ蒸気が原子炉格納容器内から漏れ出し建屋内に充満して発生した水素のガス爆発であり原子炉格納容器の損傷もないという見解が発表された。


 1時23分、3月12日22時15分から中断されていた1号機への海水の注入作業が、津波の恐れが去ったと判断されたため再開された。使用する海水には、中性子を吸収し核分裂反応を抑える作用のあるホウ酸が添加されている。


 1時50分、東北電力女川原子力発電所のモニタリングポストが21マイクロシーベルト/時間を観測。同発電所では震災対応の真っただ中であったが、炉心温度100℃未満の「冷温停止」状態にあった。


 加えて一部電源の破壊・停止もあったものの多重系により全原子炉の冷却系は稼働中であり、同発電所の原子炉からの放射性物質の大気放出を疑う要素は何らなかった。


 原子力安全・保安院は、検出された放射線は前日の福島第一原子力発電所1号機の水素爆発の際に放出された放射性物質によるものと判断した。2時44分、3号機の非常用炉心冷却装置の高圧注水系が停止した。


 冷却水が沸騰して水位が下がり、4時15分から燃料棒が露出し始めた。5時10分に非常用炉心冷却装置の原子炉隔離時冷却系「RCIC系」による注水を試みるも起動しない。


 そのため、東京電力は、5時38分に「冷却装置注水不能」として原子力災害対策特別措置法15条に基づく通報を行った。12日に爆発が起きた同原発1号機と同様に格納容器内の圧力が高まるため東京電力は放射性物質が混じった蒸気を外部に放出する準備を進め海水注入も検討した。


 8時41分、3号機の格納容器内の蒸気を排出し、内部の圧力を下げる弁を開けることに成功した。8時56分、放射線量の値が再び上昇し、制限値の0.5ミリシーベルト/時を超えたため、原子力災害対策特別措置法に基づく「緊急事態」の通報を行った。


 午前、福島県が合わせて22人の被曝を確認したと発表。敷地正門付近で中性子が検出されていた午前の段階で、3号機が炉心溶融に至っていた。午前の記者会見で、枝野官房長官は、1号機の原子炉圧力容器内部が海水で満たされていると判断されると述べた。


 1号機の水位計は正確に計測できない状態となっているため、ポンプの能力どおりに海水が供給されていることから判断したという。また、3号機については、9時5分に安全弁を開いたことで原子炉圧力容器内部の圧力が低下し、9時8分に真水の注入を開始したと述べた。


 9時20分には格納容器の排気が開始され、9時25分にはホウ酸の混入が開始された。12時55分には、燃料棒の上部1.9mが冷却水から露出したため、海水注入に踏み切った。

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