いざ、森の小屋
森の中をしばらく歩いていると、一軒の小屋が見えてきました。どこか品の在る、ステキな小屋です。
「……着いた……!」
「ヨクイさん、ここは?」
「ここが、ガフとズーリの作業場だよ。」
「作業場?」
「ガフとズーリは、ここでお皿とか、イスとか、テーブルとか……えーと、そうゆうのを何て言うんだっけ?こー……コーゲ、コーヒ……」
「工芸品か。」
「そう!それ!」
よく見ると、小屋の周りには何やら色んな物が……。山積みになった丸太に、レンガ、でしょうか。色取り取りの山盛りの土、井戸、それに大きな窯。今も煙突からモクモクと煙が立ち昇っています。
「何だか、凄そうな所だな。」
「でしょ。」
「でも、ここで何をするんだ?」
「作ってもらうんだよ。」
テロリン、頭に「?」です。
「作ってもらう、って……何を?でっかいテーブルか?」
「プレゼントだよ。」
その返答に、テロリン、今度は頭に「!」。ヨクイさんへと向けた視線を、小屋へと戻します。ヨクイさんの立てた計画が、分かってきたみたい。
「ここでプレゼントを作って、それを子供たちに配る、ってことか……!」
「ウン!」
「なるほどな……。今からサンタクロース探すよりかは、確実だな。」
確かにそうかもしれません。でも、
「……今から作って、パーティーまでに、いや、せめて今夜中、それでも間に合うか……。」
テロリンの言う通り、時間はあまり在りません。太陽はもうそろそろ、真上へと昇りそう。
「それに、突然、とんでもない数のプレゼントを作ってくれ、と言って、向こうがウンと言ってくれるかなぁ……。」
テロリン、またちょっぴりと心配に。ですが、
「大丈夫だよ。」
静かな、でも、力強い口調で、ヨクイさんは答えます。
「きっと分かってくれるよ。きっと伝わるよ、僕の気持ち……!」
「……いってみますか。」
「ウン!」
胸いっぱいの想いを抱えて、いよいよ小屋へと乗り込みます。コンッ、コンッ。静かな森に、ドアをノックする音が染み渡ります。すると……
「……どうぞ。」
しばらく、間を置いてから返事が。ヨクイさん、勢いよくドアを開けての第一声。
「たのもー!!」
小屋はおろか、森中にまでヨクイさんの大きな声が、グワァッ、と広がります。
「……ヨクイさん、それ、違うんじゃないか?」
テロリン、ちょっと、あきれ顔……。
「気持ち的にはこうだから、いいんだよ!ウン!」
まあ、そうなのかな、と、どこか押し切られた感じのするテロリンは、控えめに。
「えーと、スイマセン。おじゃまします。」
そんな二人のやり取りに、大きなテーブルの前、ペンを手にした一羽の影がフフフ……と、小刻みにその身体を揺らします。