煌めく世界へ
「ところで、ヨクイさん、今向かってるのは……。」
「森だよ。あ!」
話していると、その森の入り口が見えてきました。木々の枝々も、この時期は白く飾り付けされて。遠目からだと、メレンゲみたい。
「森に来たはいいが、ヨクイさん、ここにサンタがいるのか?」
「違うよ。さ、行こう。」
森の中も一面、雪だらけ。それに木漏れ日が反射して、イルミネーションの様にキラキラと光ります。
「森……そうか、森にはトナカイがいるな。トナカイにサンタの居場所を聞く、って訳か。」
「違うよ。」
「オロ?違うのか……。」
「トナカイさんたちにも用が有るけれど、それより何より、僕はガフとズーリに用が有って来たんだ。」
「ガフとズーリに?ガフとズーリが知ってるのか?」
「ウーン……たぶん、知らないと思う。」
「おいおい、どうゆう事なんだ?サンタを連れて行くんだろう?」
「そうだよ。」
「でも、この状況だと、探し出すことなんて不可能だぞ?」
「探さないよ。」
「……何だって?!」
「サンタさんは探さない……僕がなるんだ。」
「……え?!」
思わず足が止まるテロリン。ヨクイさんが突然、サンタになると言い出すのですから、無理もありません。
「僕が、あの子たちのサンタさんになるんだ……!なってみせる!」
驚きのあまり、まだ動けないでいるテロリンに、ヨクイさんが呼びかけます。
「テロリン!ほら、早く、早く!急いで、急いで!」
「お、オウ……。」
そうして、二つの影は、柔らかく光り輝く森の奥へと、消えてゆくのでした。