サプライズ²
話をするために、暖炉のある暖かな集会場へと場所を移したヨクイさんたち。
「ヨクイさん、この子たちを一体どこで?」
「えーと、それがね……。」
皆にことの顛末を話すヨクイさんとテロリン。
「……で、オレのことをサンタ、サンタ、って。」
「みんな、プレゼントが貰えなかったから、プレゼントが欲しい、って言うんだ。」
二人の話に、親たちはビックリ。
「それじゃあ、この子たちは、サンタクロースを探しに行ってたのか⁉」
「プレゼントを貰うために……。」
子供たち、静かに頷きます。その顔は、やっぱりどこか悲しそう。
「プレゼント、欲しかったから……。」
「アンタさんに直接お願いしたら、くれるかも、って……。」
「どうして今年はくれないのか、知りたかったし……。」
すっかり、ションボリしてしまっている子供たちに、お父さん、お母さんたちも困り顔。
「ねえ、みんな。一体、何がどうしちゃったの?」
「ヨクイさん、それが……。」
話を聴いてみると、いつものクリスマスの朝には、ちゃんと在るはずのプレゼントが、今年は影も形も無い、というのです。
「それじゃあ、この子たちは、本当にプレゼントを貰ってなくて……。」
「そうなんだ。枕元はおろか、どこを探してもプレゼントの姿が無いんだ。」
「それどころか、サンタが来た気配すら無いんだよ。」
「足跡も、スス汚れも無くて……。お礼に出しておいた料理に、手を付けた様子も無いんです。」
思わず、顔を見合わせるヨクイさんとテロリン。
「もしかしたら、本当にサンタさん、来てないのかな?」
「だとしたら、理由はなんだ?」
「ウーン……。忘れちゃってるのかな?」
「一軒、二軒ならともかく、こんだけの数だぞ?第一、プレゼントだって余るんじゃあないか?」
「ウーン……そうだね……。」
「それが……ヨクイさん、テロリン、実は……。」
「町中の子供たちに届いていないんだ。」
あまりの事実に、ヨクイさんもテロリンも、ビックリ仰天!
「えぇっ⁉」
「町一つだぞ⁉そんなことって在るのか?」
これは大変なことになりました。
子供たちを見るヨクイさん。どの子も、みんな、とっても悲しそう。
「……何とかしないと……!」
ヨクイさんの表情に力が入ります。
「何とか、って……一体どうするんだ?サンタを探す旅にでも出るのか?」
「それじゃ時間がかかり過ぎちゃうよ。それに、会えるかどうか分からないし。」
「じゃあ、どうするんだ?」
「考えが有るんだ。テロリン、手伝って!みんなもお願い!」
「ヨクイさん、何をするんだい?」
「ボクがサンタさんを連れてくるよ!だから、みんなはここを飾り付けしてて。約束するよ。必ず連れてくる!」
辺りが一気にザワザワ……と。
「本当に?本当にサンタさん来る?」
「本当だよ。ボクを信じて!」
「プレゼント、貰えるかな……?」
「もちろんだよ!」
子供たちの顔が先程までとは打って変わって、一気にパァッと明るくなります。
「やったぁ!サンタさん、来てくれるって!」
「プレゼント、貰えるんだ!」
部屋は、あっという間ににぎやか、大騒ぎです。
「オイオイ……ヨクイさん、さっきと言ってることが違うだろ。自分でも会えるかどうか分からない、って……。」
ヨクイさんの突然の宣言に、慌てるテロリン。親たちも、これには驚きです。
「ヨクイさん、大丈夫なのかい?」
「一体、どうやって……。」
「大丈夫!ボクに任せて!」
どうやらヨクイさん、何か思いついた様で。
「さあみんな、クリスマスパーティーの準備だよ!」