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ほんのちょっと、だけど、大騒ぎ

 ひとまず、子供たちを連れて、お母さんたち、お父さんたちのところへと向かうことにしたヨクイさんとテロリン。その道中でも、子供たちの哀しみの声は止みません。

「ねえねえ。本当にサンタさんじゃないの?

「まだ、イタズラしたこと、許してくれない?」

「お母さんやお父さんに、お話聞くの?」

「もしかして、もうずっと、プレゼント貰えない?」

「そんなの、イヤだー!」

「いやー!」「うぇーん……!」「ヒック、ヒック……。」

とうとう、泣き出す子たちまで……。ザクッ、ザクッ、という足音までかき消す騒々しさです。

「こりゃあ、早く話を聞いてみて、何とかしないと……。」

「だね……。皆、プレゼントが欲しい、って、何だか、プレゼントが貰えてないみたいだけど……。」

「それがよくわからんな。」

 広場に着くと、子供たちのお母さんにお父さん、お祖父ちゃんやお祖母ちゃんたちも集まっていました。こちらも大騒ぎです。

「やっぱり。皆、心配だよね。」

「だな。」

 「みんなー!」

ヨクイさんが大きな声で呼びかけます。

「あぁ、ヨクイさん。それにテロリン。あれっ?あれは、うちの子じゃあないか!」

「まぁ!私の坊や!」

「うちの子もいるぞ!」

「うちの子もだ!」

皆、我が子に気付くと、わぁっ、と駆け出し、そして、ぎゅうっ、と抱きしめます。

「どこに行ってたの!突然いなくなって……母さん、どれだけ心配したか……!」

「ごめんなさい……。」

「このバカ息子!お母さんが、どれだけ、お前のことを心配していたか……!父さんだって同じだっ……!」

「お父さん、ごめんなさい……ごめんなさい……!」

「いいんだ。お前が無事に戻ってきてくれた。それだけで、もう……。」

ほんのちょっと、だけど、永遠にすら思えた別れの後の再会に、ヨクイさんとテロリンも、胸にせまるものがあるようで。

「……よかったね。」

「だな。」

「……こうゆうの、なんか、イイね。」

「……だな。」

「……だな、ばっかりだ、な。」

「……だな。」

思わず笑い合う、ヨクイさんとテロリンでした。

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