サンタがやって来た?!
コンッ、コンッ。それは突然。ドアを打ち鳴らすノックの音。
「およ?誰だろう……?」
パーティーには、まだ少し早い、ちょっと、せっかちなお客さんの様です。
「はいはーい。」
ガチャリ。ドアを開けた、その先にいたのは……
「やあ、ヨクイさん。メリークリスマス。」
「あっ!テロリン!」
積もった雪の中、荷を背負い、佇む1羽の影。あちこちを旅して回る、テロリンでした。
「メリークリスマス、テロリン!」
「うん。メリークリスマス、ヨクイさん。」
「いつもよりも早いよね?どうしたの?」
「ん。たまには飾り付けでも手伝おうと思ってね。ほら、いつも皆の中で、最後の方に来てたからさ。ここに着くまでの旅路も順調だったし。」
「そっか。ありがとう!あ、とりあえず、中に入ってよ。」
「ん。そんじゃあ、お邪魔しますか。」
と、2人が家の中に入ろうとした、その時……
「あ!サンタさん!」
大きな声が。見ると、子供がテロリンを指差しています。
「ウソ⁉本当にサンタさん?」
「でも、赤い服、着てないよ?」
「見て!おっきな袋!プレゼントが入ってるんだよ!」
「プレゼント⁉本当⁉」
あちらからも、こちらからも、子供たちが次々と集まってきて、あっ、という間に、テロリンの周りを埋め尽くしてしまいました。
「サンタさん?俺が?」
突然のことに、テロリンは、ポカン。大きな荷袋を背負った姿は、確かに、サンタクロースに見えなくもありません。
「サンタさん、どうして今年はプレゼントくれないの?」
「イタズラして、お母さんやお父さんを困らせたから?」
「私は、ちゃんと良い子にしてたよ?」
「サンタさん、どうしてなの?サンタさん。サンタさん……。」
子供たちが一斉に問いかけます。中には、今にも泣きだしそうな子も……。
一体、どうしたのでしょう。テロリンも、すっかり困り果ててしまいました。
「ちょ、ちょっと待ってくれぇ。オレはプレゼントなんて持ってない……わけじゃあないけど、とにかく、サンタさんじゃないんだって。」
テロリンがそうは言っても、子供たちの必死の訴えは止みません。
「お願い、サンタさん!これからは、もっと良い子になるから!お母さんとお父さんの言うこと、ちゃんと聞くから!だから、プレゼントちょうだい!」
「あたしも、もっと良い子にする!」
「ボクも!だからお願い!」
「お願い!」
「お願い!サンタさん!」
こりゃあ、まいった。と、テロリンとヨクイさん、相談し合います。
「弱ったなぁ……どうしたらいい?ヨクイさん?」
「ウーン……僕に聞かれてもなぁ……。」
ヨクイさんも、すっかり困り顔。
「……とりあえず、この子たちをお母さん、お父さんのところへ連れて行ってあげないと。きっと心配してるよ。」
「そうだなぁ。」