折り紙付き
「ガフ!シノンとミクレットも呼んでくれたんだね!」
ニコニコ顔のヨクイさんの問いに、ガフがコクリと頷きます。
「是非、二人にやって欲しいことが有ってね。ズーリとも、間違いなく二人が適任だ、とね。」
シノンとミクレットを見るガフの顔は、優しい笑みを浮かべて、そして、その眼は自信が溢れた、どこか力強さを感じさせるもので。
「二人にピッタリなこと?」
ヨクイさん、眼をその耳の様に真ん円にして、そして、キラキラと輝かせながら尋ねます。そんなヨクイさんに、ガフは、あのフフフで応じます。
「そうさ。二人の得意とすることが、二人の特技が、私たちを大いに助けてくれるんだ。」
「そんなに期待されている、って知ると、だんだんと緊張してきたなぁ……。」
「期待に応えられるよう、頑張りますね!」
ガフの言葉に、シノンもミクレットも、少し畏まっているみたい。
「ハハハ。二人とも、大丈夫さ。二人の腕前は、よおく知っているよ。だから、二人のことを信じているし、だからこそ、二人を呼んだのだから。」
二人を見るガフの眼からは、その言葉が本物であると、確かなものであることが、伝わってきます。
「それに、私やズーリだけでなく、ヨクイさんも、シノンとミクレットのことを信じているだろう?」
「ウン!」
ヨクイさん、気持ちのいい位、大きな声で即答です。
「ほら、ヨクイさんからの折り紙付きだって有るんだから。大丈夫、大丈夫。」
「そうだよ~。僕の折り紙付きは、ゼッタイ、なんだから!」
ガフとヨクイさんの言葉に、シノンとミクレットも、自信を取り戻していきます。
「二人がそう言ってくれるなら……上手くやれそうな気がしてきたよ!」
「イイ物が出来るわ、きっと!」
これで気力はバッチリです。
「……ところでみんな、折り紙付き、って何?」
ヨクイさんのこの言葉に、一瞬、間が空いてから……
「アハハハハ……ッ。これは……っ。」
「いかにも、ヨクイさんらしいや。ハハハ……。」
「アハハ……ッ。ゼッタイなんだ、って言った、あの折り紙付きは、一体、何だったの~。」
「アハハハ。いやぁ、何となく、その場のノリで……。」
すっかり、さっきまでの緊張は解けて、明るい笑い声の勢いに乗って、何処かへ飛んで行ってしまったようです。