暗闇に明かりを
「ふぅむ……なるほどね。子供たちにプレゼントが届いていない……か……。」
「そうなんだ。」
3つのカップから、ゆったりと湯気が立ち昇る部屋で、これまでのことを話すヨクイさんとテロリン。
「それで私とズーリのもとへやってきた、と。」
「ウン。ガフとズーリに、子供たちへのプレゼントを作ってもらいたくて来たんだ。」
「町中の子供たちのプレゼント、か……大変なことだな……。」
「僕たちも手伝うよ!だからお願い!力を貸して!」
「フーム……。」
腕組みをし、何か、考え込むガフ。ヨクイさんとテロリン、その様子をジッ、と見つめます。
と、テロリン、ふと何かに気付いたようで……
「そういえば……ここはガフとズーリが一緒に作業してる小屋なんだろ?ズーリは、一体、どこにいるんだ?」
「そういえば……さっきから姿が見えないね。」
プレゼントのことで頭がいっぱいで、ウッカリ、ヨクイさんもテロリンも気付きませんでしたが、いるはずのズーリの姿が見当たりません。キョロキョロする二人を見たガフは、フッフッと笑いながら
「君たちは、今、ズーリの頭の上にいるんだよ。」
と、言うではありませんか。ヨクイさんとテロリン、顔を見合わせ、そろって足元へと目をやります。
「……頭の上?」
その様子に見ていたガフが、笑みを浮かべながら、ゆっくり立ち上がると
「こういうことさ。」
とタネ明かし。後ろにあるドアを開きます。すると……中は真っ暗。
「……?」
そろってキョトンとするヨクイさんとテロリンを、ガフが手招きします。
「こっちへ来て、見てみなよ。」
ドアの向こうを見るよう、促します。ドアの前まで行くと、ヒンヤリとした空気が二人の顔を撫でます。ガフがそばにあったランプを手にして、中を照らしてみると……
「あっ……!?」
明りに照らし出されたのは、下へと続く階段です。どうやら、地下室が在るようです。
「ここを降りていくと、ズーリが?」
テロリンの問いかけに、ガフが頷きます。
「そうさ。ズーリは今、焼物に取り掛かっていてね。この下で、乾き具合を見てるんだよ。丁度、焼いているものもあるんだ。」
「それが外の釜の煙、というわけか。」
「そういうこと。」
テロリンとガフの会話をよそに、ヨクイさん、地下室に興味津津のようで。階段をジッ、と覗き込んでいます。それを見つけたガフが
「さて、皆でズーリのとこへ行こうか。」
ヨクイさんをチラと見て、促します。
「ウン!」
元気よく返事をするヨクイさんに対し、テロリンは呆れ顔。
「おいおい、プレゼントは……。」
「まあまあ。」
テロリンの苦言を、ガフが遮ります。
「何にせよ、ズーリの協力だって必要だろう?」
「……まあ、そうだな。」
テロリンも納得し、皆そろって地下室へと降りていきます。すると……出入口でしょうか、薄っすらと明かりが見えてきました。